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ただいま迷走中!?  作者: 呪理阿
四月 入学したらさあ迷走
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36/102

36 カオスすぎる交番前

 暑い! 学ラン暑い! 坂道登るのも暑い! そしてだりぃ!

 岳だ!

 今日の最高気温は二十五度よりも上。曇りだったから良かったけど、晴れてたらとんでもねぇ事なってたな。部活行ってねぇから、太陽が照りつける中坂道を……想像すんな、俺。よけい暑くなるぞ。

 多少の坂はあるものの、真っ平らに近い道路のところまで帰って来た。そこをずっと行って、家に帰るなら曲がんなきゃいけねぇとこに小さい交番がある。

 交番のドアは開いてて、机の所にお巡りさん。何か摘み上げて見てるけど……。電気の光で光ってて、ぶらぶら揺れてるからキーホルダーでもついてんのか? 鍵でも届けられてたのか。

 ……俺じゃねぇよな。俺落としてねぇよな。確認しとこう。

 鞄の中の小さいポケットに、小六の修学旅行で買ったマリみたいな形のお守りが付いた鍵があるはず。落としてなけりゃ。ちなみにこのお守り、開運ってなってたけど買ったその翌日に自転車でこけた。怪我は無かったけどな。効くんだか効かねぇんだか。

 で、鍵……あぁ、あった。無かったらどっから落ちたんだって話になるけど、あって良かった。帰った時家に誰も居ねぇ事あるから。

 さ、帰ろ……。……なんか、変なの居る。

 交番の前で胡坐かく、サラリーマンっぽい人。

「どーせっ、家の商品なんか売れねぇんだよっ」

 とか言いながら鞄を放り投げた。……酔ってんのか? 真昼間から?

「……ちょっと、もしもし、そんなところで座り込まないでください」

 お巡りさんが出てきた。そりゃな、交番の前に座りこまれたらな……。

「え、なんで警察が!?」

「……後ろをご覧ください」

「ほい」

 くるっと向いて、

「分かりましたか」

「はい」

 こくんと頷く。

 その二人の後ろで、腕をうねうねさせながら横歩きする男が……。怪しっ! つか、変。シルクハットかぶってる時点でかなり浮いてるのに、着てるのはジーンズに長袖Tシャツ。街ですれ違った十人が十人とも

「ちょっとそこのあなた! 何なんですか!」

「はい? 私? 何かお巡りさんにお世話になるような事しましたでしょうか」

「滅茶苦茶怪しい動きされてたじゃないですか!」

「あぁ、商売柄……」

「どんな商売されてるんですか!?」

 もっともな質問だな……。どんな商売してたら、あんな怪しい動きするようになるんだよ。

「コレですよ、コーレ」

 シルクハットを脱いだら鳩がポポポ……。飛んでった。……こういうのってさ、普通白い鳩じゃねぇのか? 普通の、青と灰色の混ざったような色した鳩だったんだけど。

「あぁ、はいはい、魔法使いですね」

『えぇ!?』

 今のかなりベタじゃ無かったか!? なんで魔法使いになるんだよ!

「冗談ですよ、分かってます。詐欺師でしょ?」

「世界中の手品師達に謝れ!」

「ごめんなさい。ただし私の隣に居る奴を除く」

「なんでだぁ!」

 なんで怒鳴るんだよ。さりげなく手品師って認められてたじゃねぇか。

「はいはい、もういいから、仕事に戻りなさい」

「今から寝に行くところだ!」

 ……この時間から? たしか三時代か、四時代だぜ?

「はいはい、分かりました。じゃ、さっさと家に帰って下さい」

「……家、無いんだ」

 お巡りさんがすごく面倒そうに眼を逸らした。

 その背後に居たサラリーマンっぽい人は逆に、目を輝かせた。

「家、ありますよ! いかがですか!」

 ……ひょっとしてこの人はセールスマンか?

「今ならなんと、六万円!」

「高い!」

「六万円ですよ!? こんな安い家、無いですよ!」

 いや、六万円ってそれ、家賃だろ? もっと安いトコいっぱいあるだろ。

「新築一戸建て、それを六万円で売ろうってんだすよ!?」

 売ってんのか!? それはそれで明らか裏ありまくりだろ!

「それでも高い! どうせ買うなら、食べモン買いうよ!」

「……手品の道具売れよ」

 お巡りさんが何か呟いたぞ。

「商売道具を売れと言うのか!? いくらで買ってくれる!?」

 売る気満々かよ!

「要りません」

「安くしとくからさっ。どうだい、このシルクハット! 一万円でどうだ!」

 高っ!?

「要りませんっ! 大体これ、シルクハットじゃなくてフェルトハットだろ!」

「母さんが夜なべして編んでくれたんだ」

「手袋か! 大体コレ毛糸じゃ無いだろ!?」

「ほら、安いでしょ! 六万円ですよ! 段ボールハウ……いえ、小ぢんまりしてて、住み心地もなかなかですよ!」

 カオスだな。

 ……カオスだな。

 で、俺はなんで立ち止まってんだ。

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