35 ダーツの針にはお気を付け下さい
10点と、50点と、2×3が6点で合計66点。……もう一回。
「あれ、何コレ。何の紙?」
岳だ。
リビングでダーツをしてる。向こうのテーブルでは、姉ちゃんが何かの紙を見つけたらしい。
「あぁ、入部届? 岳、何部入るの?」
パッと取って、見てみたらしい。…………俺、もう入部届は出したぞ。昨日提出だから。
「へぇっ? 岳、野球部入んの? 意外。明日は雪? 霰? それとも雹?」
どんだけ珍しいって言いてぇんだよ。自分でも思うけどな。翔に誘われて、体験どころか見学すら行かずに入った。
「姉ちゃん、その紙よく見ろよ。上の方」
「上の方? …………あれ、これ入部届じゃないじゃん」
そうだよ。もうとっくに入った後だ。
「退部届じゃん! え、もう退部すんの!? 早っ!? いつ入ったの!?」
「今日入部届提出した」
「早ぁ!? なんで入ったの!?」
「翔に誘われて、断んのがめんどくさくなるほどしっつこかったから」
「……ちなみに、どれくらいしつこく言って来た? 時間で」
「3分から5分くらい?」
「…………あの兄にしてこの弟」
姉ちゃんだって兄ちゃんの妹だろ。
ダーツの点数は……っと、3点、20×3が60点、50点で113か。うん、それなりに狙ったところには行ったな。3点はともかく。
「ねー、なんでそんな早くやめんの?」
「周りが坊主だらけで怖かった」
絶対やれって言われるだろ。絶対嫌だ。女々しいのなんのと言われようが嫌だ。
「なんて正直」
「あと、ルールがややこしいだろ、金かかるだろ、ランニングとか絶対ごめんだろ」
「正直すぎない!?」
「もっと言っちゃえば、着替えるトコからめんどくせぇ」
「…………」
黙って目ぇ逸らしたところ見ると、姉ちゃんも似たような理由で帰宅部やってたらしいな……。
「そーだね」
「な」
何だこのダメ姉弟っぽい会話。
点数は……、18点に20×2の40点で、1×3の3点、合計は5……じゃなくて、61点。……最低得点。狙ったトコから少し右にそれただけだってのに。
「ただいま~」
あ、光が帰って来たな。はーちゃんかみーちゃんの家にでも行ってたんだろ。
「あ~、お兄ちゃん、ダーツやってる~。やらせてやらせて~」
「ん」
赤と黒の3本のダーツを光に渡してやる。
「最高得点は~?」
「113」
「よ~し」
トン、トン、トン、って音を立ててダーツが刺さる。磁石のダーツもあるけど、今は針のダーツの方使ってんだ。こっちの方が『外しちゃいけない』って気分になるからな。
そんな気分になっといて、姉ちゃんと会話しながらやってたけど。
「何点~?」
18×3で……24+30だから54点と、ド真中の100点……かと思ったら少しずれてるから50点、3×3で9点。54+50+9点で……。
「113だな」
「うぅ~。20点の3倍になる所狙ったのに~」
少しずれるだけで60点の筈が9点に。
「あ、何かあたしもやりたくなってきた」
「外しちゃだめだよ~?」
「……大丈夫大丈夫」
始めの間は何だよ!?




