表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
助けてください、魔王様!  作者: けとし
第1章
24/34

第22話 フー

「わぁ、パパの服ちっちゃーい。これなんていう素材なの?」

 俺の体で一回転しながら、フーは俺に尋ねてくる。


 “返事はない。ただのしかばねのようだ”


「もう、ふざけないで教えてよ」

 そういいながらも楽しそうに笑うフー


 みなさん。俺、幽霊になりました。


 正確に言えば聖剣の中にある魂と所有者の魂を入れ替える『ウェクセル』という、聖剣の能力によって俺の魂は聖剣へ、フーの魂は俺の体へと。


 何度かこれに助けられたことがあるが、今回ばかりはまずい。


 “おいフー!気配を抑えろ”


「ふえ?」

 何のことといった顔するフー。自覚なしかよ。


 聖剣は、必要な時以外では鞘から抜くことができない。それはなぜか? 理由としては安直でその圧倒的なオーラに、本能的に膝をつかされるのだ。ダンジョンの中にいるモンスターを除いた、全ての生命が。

 作られた生命体である人形ドール種にはそこまで効果は無く、あっても多少動きを鈍らせる事が出来るくらいだ。

 フーを外敵に渡さないために人形種の守護騎兵ガーディアンだったのもそのためだろう。最も、暴君タイタンだったのには驚いたが。


 さて、ここで問題である。もしフーの魂こそがオーラの源だとして、聖剣も彼女の魂から漏れ出るそれを抑えるためのものだとすれば。

 そんな彼女がむやみに『ウェクセル』なんて使って入れ替えてしまったらどうなるのか。


 その答えを代弁するように、スカーレットゴーレムは——膝をつくどころか、やってしまったと言うばかりに、オーアールゼットの体勢になっていた。


「あれ? お人形さんどうしたの」


 “ほれ、言わんこっちゃない”


 ため息を吐きたくなるのは無理ないよね、これ。

 先程までダンジョンの意思に従い、侵入者を倒そうとしていたゴーレムが戦意が抜けたかのようになっているのだ。正確にはフーのオーラに押しつぶされかけている。


 えー、つまんないという風に頬を膨らませるフー。頼むからそろそろ気づいてくれ。


「あ、そうだ!」


 おぉ! やっと気づいたか?


「あっちにいるお兄ちゃん達なら遊んでくれるのかな?」


 “あっかぁぁぁぁぁん!”


「ひゃ!? ぱ、パパ……?」

 思わず声を上げてしまい、驚かせてしまう。だけどそんなこと知ったことではない。


 “だだ漏れ! フー、オーラだだ漏れだから抑えてくれ。お前のことばれたら面倒この上ないから早く”


「え? え?? ——あ!」

 ようやく気づいたらしい。どうすれば出来るのか忘れていたフーのオーラは忙しなく出たり入ったりしている。見てられなくなり、制御の仕方を教えてやること数分。思い出したのか、あっさりと漏れまくっていたオーラを押さえ込むことに成功した。これでら多少なりとはごまかせると思ったその時。フーに影が差し掛かる。


 それは、先程まで絶望したかのような態勢をしてたスカーレットゴーレムの拳だった。


 “へ?”


 そんな間抜けな声をだしてるうちにもどんどん近づいていき、今にも俺の体を叩き潰そ迫っていたその拳は。


 パシッ


「!?」

 スカーレットゴーレムには声帯器官がないと分かった俺だが、それでもかなり驚いているのは俺も分かった。

 なんせ、自分よりかなり小さな少年が、片手で何倍も大きな自分の攻撃を、後退させることもなく受け止めたのだから。


「ふふ、やっと遊んでくれるのね、私嬉しいわぁ」

 フーよ。なんかキャラが変わってません?

 霊体に近い状態の俺だが、無い体から冷や汗をかいているような錯覚があった。


 観戦してる側からしたら心臓に悪い。

 フーは難なくスカーレットゴーレムの拳を受け止めた右手に自身のオーラを纏わせ、そしてゴーレムの手に指を減り込ませた。

 危機を察知したゴーレムは掴まれた腕を売り上げようとした。

 だが足元に放たれたオーラが、タコの足についている吸盤のように大地に引っ付いたせいでフーは持ち上がらず、ゴーレムはそれでも頑張ったが、むしろそれは悪手となり自分の手を自ら自傷するように破壊する結果になった。




 ギギゴギギギ!


 何かがこすれ合うその音はゴーレム悲鳴にも聞こえたが、自然に作られたこのゴーレムにはそんな感情的部分もない。


「こんなに簡単に壊れちゃうの? つまんないなぁ」

 フーは肩を落とし本当に残念そうな声をだす。


 んー、そういえばガゼルが遊び場に高濃度のコアが必要とか言ってたな……ならちょうどいいか。


 “あのな、フー”


「なぁに、パパ」

 不貞腐れたように答えるフー。


 “あいつのコア。絶対に壊すなよ?”


「どうしてー」


 “お前がもっといっぱい遊べるようにするためには、ちょいと必要なんだ。だから、な?”


「ほんと!? なら我慢する!!」



 そういいながらフーは、年相応の子供のように天井すれすれまで跳ねた。頼むからそんなにジャンプしないでくれ足が折れる。


 “コアの取り出し方を教えるから、その通りしろよ?”


「はぁーい!」



 そこからは、俺からすれば一方的なものだった。

 フーの操作するオーラによって体を地面に固定されたスカーレットゴーレムは、俺が教える通りの手順でコアを外されると同時にただの鉱石へと変わってしまった。



 フーの力がどれだけ凄いのか改めてみた俺は、フーをほめることもなく沈んでいた。


 また、フーを戦わせてしまった。今の俺が体の小さな少年だとしても、あのままジリ貧だったとしても。人形ドール種といえども、命を刈り取らせたくなかった。


 後の祭りだ……仕方ない。そう考えている時だった。


 何かがこちらに迫ってきているのが、探知に引っかかった。そしてそれが何なのかわかった途端。俺は気が遠くなりそうになった。


 それは確実にこちらへと向かってきており、そいつらの足音に合わせてダンジョン内が震える。



 そして、洞窟の奥からスカーレットゴーレムが二体、現れた。




 勘弁してくれよ、人形種にツガイがいるなんて初めて聞くんだけど。というか、今まで戦ってたの……あいつらの子供?


 あははは、表情は分からないけどさ。あれ怒ってるよね。




「あ、もっと遊べる」

 え、なにあれと戦うの? 俺の体保つかなぁ。





 あはははは……。






 皆さん、さよならまた会う日まで———。





 なんて事にはならなかった。



「コタロウ様ぁぁぁぁぁ!」


 声とともに、俺の横を二つの魔法が通り過ぎていき、右側のスカーレットに着弾し、その巨体を吹き飛ばし、左側のに当たると思っていたその魔法は、だんだん降下していき、ゴーレムに当たることなくその真下に落ちた。

 それと同時に、突然地面からつたが現れ、ゴーレムの体を絡め取っていく。


「ほえ?」


 “まず……フー、今すぐ変われ!!”


「えー」


 “えーじゃない、早くっ”


「ブー。分かったよう」

 景色が先ほどまでとは変わり、フーに乗っ取られる前と同じに戻っていた。


「コタロウ様無事でしたかというかなんていう無茶をなさるのですか貴方の身に何かあったらと思うと自害してしまいそうでしたよというかどうやってスカーレットゴーレムを倒したのですか後で説明してもらいます」


 息継ぎもせずにそんな言葉を乱射してくるルフォート。唾が目に入りそうだった。


「まあまあ。コタロウ様が無事だったのですからいいじゃないですか。そんなことよりもスカーレットゴーレムが先ですよ」

「そんなことだとぉ!?」


 右手に魔法陣を作動させながらルフォートと一緒に来ていたクーラムバインが言う。しかし逆効果でルフォートの眉間に深いシワを作らせるだけだった。



「お、落ち着いてお兄ちゃん」

「コタロウ様は後でお説教です!」


 そ、そんなぁ。俺は今度こそ自分の意思で肩を落とした。

中途半端ですがここで切ります。もっとちゃんとしたルフォート達の登場シーンを描けばよかったと思ってるので、書き足したりするかもです。



ポイント評価、お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ