第19話 今日も特に目立ったことな……あ?
復活第一回目の投稿でごわす‼︎
恐らく六時間ごとに投稿されるようするかもしれません。一週間以上もの休暇はでかいですから、2日かけて合計8話投稿できたらと考えておりまする。
「ヴァイス班はここで夜営の準備。仮テントを頼む。シュバルツ班は周辺の警戒をしつつ水の確保を、グラオ班は鉱山へ偵察に向かってくれ」
城から出発き、鉱山と森の間ぐらいの場所に来た頃には陽が暮れてもうじき夜になるといったところだった。
勇者だったころ、長旅をになると分かっていれば夕方にはテントを立て、乾燥した食材を水に浸して元に戻したり、硬いパンを熱々スープに浸して食べると、時間毎に番を交代しながらも、皆早々に眠っていた。
しかし混色騎士団は夜なんぞへでもないようだ。
魔族は基本的に夜目が効き、さらには闇魔法の力も増大するので、ある意味敵なしな状態である。
対して天族の皆さんは、夜の暗さに目が慣れるのがおそく、また彼らの光魔法は味方の目も潰してしまう恐れがあるため使えない。各々の得意な武器を使った肉弾戦のみとなってしまう。ただの翼の生えた強靭な肉体を持った人間でしかなくなる。そのため、夜は野営場所の見張りぐらいしか、やることがない。
俺がそんな夜営準備の現場にいるということで察してる方もいるとおもうが、あの過保護なルフォートは俺が同行することを許してくれた。
———分かりました。私のそばから離れないと約束してくださるのでしたら、一緒についてきてください———
多分1分ほど経って、ルフォートは苦渋の顔をしながらそう決断してくれた。
彼の頭の中では一秒につきどれだけの会議が行われたのやら。
さて、いよいよダンジョンへ向けて出発だ! と思った方々よ。残念なお知らせがある。
彼の意識が俺を守ることに向いてしまい、あたり一面に威圧をかけてしまったのだ。ファンムーゲンの魔物達は通常よりも遥かに強いのだがルフォートが発し続けるためか、クマ型の魔物すらこちらにお尻を向けて逃げて行ってしまった。
つまり、戦闘がなかったのである。過保護恐ろしや。
地面に座りながら野営している所をみていると、影が差し掛かる。振り向くと、ルフォートだった。
「コタロウ様。疲れたでしょうからテントの中でお休みください」
「うん」
ルフォートに促され、俺はテントの中へと入っていった。
中に入ると団長のクーラムバインと副団長エリカが荷物を入れていた箱の上で座って話し合っていた。
「あ、お疲れ様ですルフォート殿……と、それとコタロウ様」
「お疲れ様です、魔王様」
ここはまぁ、天族と魔族での違いだ。仕方ない。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん。コタロウでいいよ?」
「は!? し、しかし……」
俺の口から出て来た言葉に慌てふためくエリカ。しかし反対にクーラムバイン——クーでいっか——彼は比較的冷静に見える面持ちで俺を見ていた。
「よろしいのですかな? ルフォート殿」
「えぇ、コタロウ様のお決めになったことには逆らえませんから」
そういいながら笑う。
「それでは……コタロウクンで、いいかな」
「そ、それじゃあ私はコタロウちゃんで」
「んー……うん!」
俺がはにかむとクーの方は表情を変えなかったがエリカは愛玩動物を見たかのようにキュンとした顔になった。小さいうちの特権って怖くて強い。
エリカの表情に気づいたクーは、彼女方を叩いた後、ルフォートと共にテントの外へと入ってしまった。
クーの座っていた箱の上に座ろうとしていると、エリカに抱き寄せられた。今は鎧を外しているため圧迫されていたお胸さんがこれでもかと顔を挟んでくる。これ、絵的には羨ましがられる光景なのだろうが、転生した影響か性的衝動もないのでどうとも思えない。フィーシやアネモネ、バーレン達よりあったとしても、そういった感情は込み上げて来なかった。来ないものはこないのだ。
「コタロウちゃんって、異世界から来たのよね。異世界ってどんなところなのかな」
「うんとね———」
と、エリカと話に花を咲かせるのだった。
少ししてから、俺にとっては懐かしい野戦食を食べながら、団長達と共に楽しくだべっていた。途中、俺のことを知らされていなかった団員たちから色々言われたが、気にしなかった。俺だけはな。
エリカとお風呂に入ることになったりなんやかんやあってたその深夜。俺は一人、誰にも気付かれないよう空を飛んでいた。
召喚される前の世界でも魔力は存在していた。しかし、何から生成されているのかなんて、産まれてから7年しか生きていない俺には分からないさ。この世界の事も、図書館で借りた本で始めて知ったもんだし。
まぁ、唯一あちらの世界に存在する魔力について分かったことといえば、不定期ではあるが、魔力が異常上昇するということだろう。産まれてから5年経った時に発生した、東北地震なんかがそうだ。
その魔力を扱う方法が判明しても、全員が使えるわけじゃない。流石に、遺伝子? だっけか。多分それが関係しているのだろうけど、魔力の扱いに長けたものとそうでないものがいる。どの世界にも優劣はあるものだ。
さて。どうして俺が、突然こんなことを話しているのかというと。この世界に召喚……というか戻ってきて早2ヶ月半ほどだろうか——カレンダーがないのがここまで辛いこととは——、今日までのに濃い日々を過ごしてきたせいで薄れてしまっていた、小学校へは僅かしか行けなかったが、そこで出来た友達が言ってたひとことを思い出したのだ。
『大きくなったら、空を羽ばたいて行きたいんだ』
今思えば飛行機などの空を飛ぶ機械に乗ってということだったのだろうけど。
ごめん、和明。先に飛んでるね。
そんな死亡フラグのようなセリフを心の中で呟いていると、後方から魔力を感知した。
この魔力は——クーラムバインか。
俺は辺りを見渡し休憩するのに最適な場所を探し、見つけるとそのまま降下する。クーの奴も少しずつ高度を下げているので、どうやら俺を追跡していたようだ。
俺が降り立った場所は、大きな湖がある広々とした所だった。
もう少しすればクーも降りてくる。その間、この風景でも見ておこうか。
「こんな遠くまで散歩ですか、 コタロウ様」
……降りてくるの早いんだよ。空気読め。俺の超絶上手い風景描写がお披露目になるところだったのに。
え、いらない?
「あ、クーにいちゃん。こんばんはー」
「はい。こんばんは。風魔法を使って飛んできたといってましたけど、本当にお上手なんですね」
「えへへぇ」
褒められたので照れてみた。不思議と気分は悪くない。
「ですが……今はだれもいません。なので、
素でお話ししていただけないでしょうか」
「へ?」
げ。こいつもまさか気づいていた?
「そう身構えないでください。別段誰かに告げ口するわけでもありませんので、ご安心を」
「……でしたら、天族の誓いを」
天族の誓い。これは自身のかした言葉に嘘偽りがないことを証明するために、大天使達が考えた魔法である。もちろん、天族限定で発動し、もしその言葉に反したことをしようとすれば、警告として体に痛みが走り、破って仕舞えば、300年もの間、人間の姿になって、修行しなければいけなくなるのだ。
アイモネが地上にいるのも、自身が作った契約をあっさりと破ってしまっのが原因だっ。
ちなみに。どんな内容だったのかといえば女の子としての悩みであった。なんなのかはご想像にお任せします。
これは天族としてそうやすやすとは……。
「はい」
マジか。
「我、クーラムバイン・ハニエルはこの場にてコタロウ・ヤマオカ殿のとの会話を他へと漏らさないことを誓う」
彼が言い終わった途端、俺の頭の中に何かがら紛れ込んできた。正確には、魔力である。
「この契約をした瞬間、それを聞いたものの頭の中に、天族の中の上位に位置する人によって書き込まれていくんだよ」
それって頭の中を改造——ゲフンゲフン。
「さて、言われた通りのことをしたよ」
「……はぁ、わーったよ。クー」
「ふふ、それが貴方の素ですか。コタロウ……いや、デュークよ」
「そこまで分かるのか。流石、魔眼『鏡よ鏡』の継承者だな」
魔眼『鏡よ鏡』とは、ざっくばらんにいえば相手の正体、本心などを見ることができるチートである。
「おや、そこまで知っておられたのですか」
「勇者としての最初の試練で、先代に会ったからな」
「そうですか。祖父が——」
水面を見つめながら呟く彼の目には、光るものが見えた気がする。そういえばあっちのハニエルも、事情ありな感じだったし。というか祖父って。あれどう見ても20代だったんだけど。
「貴方は、どうしてまたこの世界に? いや、大方気づいてはいますけど」
「気づくも何も、この通りだよ」
ポケットから取り出したのは、なんの変哲もやい一枚の板。それに魔力を込めながら、ステータスを可視化する魔法を唱えた。
「ほう、これはこれは」
呟く彼の目には、別段驚きが含まれていなかった。魔眼ではステータスを見ることはできないのだが。
「大体の想像はつきますから」
そりゃそうだわな。魔族に魔王として召喚されたのだもの。
「……ところで、貴方ワザと油断してますね?」
「あら? そういうクーこそ」
「……」
「………」
どうやら、彼も湖の底からこちらの様子を伺ってる奴に気づいていたようだ。そいつもバレたと自覚あるのか、ゆっくりと浮上し始めたようだ。
「先手は、どうしますかねぇ」
「先手というより、これは隠密だろ?」
「あぁ、なるほど。それでいて、時間をかけてゆっくりとね」
「いや、個人的にはさっさと殺って血抜きを——っと」
俺とクーラムバインは、とっさに左右へと展開した瞬間。何かが地面かを貫き、俺達がいた場所を抉り、空の彼方へと消えていった。
張本人であるそいつから放たれたのは、恐らく水圧のブレスだろう。中々にでかかったけども。
そいつは不意打ちが効かなかったと分かるや、再び浮き上がり始める。
そして、湖面が盛り上がり飛沫をあげながら現れたのは、ふた首の蛇……いや、鰻。
全身を水だけではなく、自らの粘液でテカテカと光ったその黒い体表。二つの首それぞれに、左右に目があるのとは別で、第三の目があり、備わっていた。
鰻は口を半開きにして威嚇してくる。口内の中には普通の鰻では存在しない歯があった。それもぎっしり。
「こいつは初めてだな」
「そうなのですか。これは双鰻といって元々首は一本だけなのですが、番と結ばれると、結合して一体の魔物になるんですよ」
「ほう。魔力の……っと。豊富なココ限定っぽいな」
「えぇ。ここ……っの湖が綺麗なのは、よっと。かの魔物が呼吸するたびに周りの濁った水を吸収し吐き出したときには綺麗になったりするのですよ」
それぞれの口から吐かれる水圧ブレスをお互いに避ける。その際に一瞬見えたが、魔法か何かで水の形を螺旋状に形を変えているようだ。ただでさえ威力の強いそれにドリルのようなものがついているのだ。そりゃ水の中から地中に放っても貫通して俺たちに届くわけだ。
向こうも避けたようだな。
「なあ、倒そうと思えばすぐに倒せるけど、そんなの面白くないからお互い縛りなんてどうだ?」
「縛り……ですか?」
「そ。不得意な技で、とか。この魔法一択とか」
未だ吐き出される水圧ブレスを右に後ろにと避けながらも、お互い言葉を交わす余裕は十分あるようだ。
「なるほど……一理ありですね。しかしこの双鰻がいなければ、この美しい湖は汚れてしまいますよ?」
確かに、ここの湖は綺麗だ。あの双鰻が水面にも写ってるんだが、それが水鏡の如く綺麗に、波紋がなければ『水に浮く月と番いの龍(もしくは蛇)』と題名が付けれそうなほどに、美しく写っている。水面越しから見ればだ。
しかし、こいつがこの湖から姿を消せば、年が経つにつれ水が濁っていき、この風景も見れなくなってしまう。
「あーそれなら心配するな。下の方にこいつらに似た魔力を感じるから。それもだいぶ大きいやつの」
「そうですか。なら安心して」
「「食えるね(ますね)」」
俺とクーラムバインの目が光ったのは、多分気のせいだと思ってくれ。
既に俺の中では飯になっているけどきにするな、鰻ちゃん?
すんません、6時間ではなく結局12時間になってしまいました。30日も二話投稿……できるかな(遠い目
正午もお楽しみ!




