第15話 様々な戦争形式
うわぁ、14日に投稿できなかった。ちくせう
今日は恐らくこれもふくめて二回投稿すると思います。というか頑張る!
ワイバーンの品種改良によって生まれた速伝種が持ってきたのは、イーリリン王国から宣戦布告がされたという、悲報であった。
この国一体には侵食結界というものが貼られていることは前にも話したと思う。アノマリア他歴代魔王の家系の者たちが魔力を補っているという、あれ。実は魔族の魔力だけでは足りないのだという。
この国を破壊するのは魔王の家系の者なら一人でも充分可能だろう。しかし、持続させる魔法はにがてなのだ。魔族というのは。
どうやら一つの魔法を毎に魔力の消費がバカにならないということらしい。人間で言えば8人分は使うらしく、とても燃費がいいとは言えない。種族特有の魔を吸収する能力がなければ、一般の魔族なら4、5発でガス欠になるらしい。
そんな彼らが結界を維持できているのは、その能力ともう一つ、大気中の高濃度の魔が随時供給されているためである。
この国に入るためには、空間を割く『空間魔術』を使って侵入する他ないのだが、その力があるのは魔族だけであって、他種族では取得出来ているものは見られない。残念ながら、流石の勇者である俺も入手する事が出来ていない。
それに侵入できたとしても光属性の『光膜』が使えるものか、天族による加護がなければ、人間は長時間の滞在は不可能で、持って半日と言ったところだ。ただし、貿易や商業を営む者たちはそれぞれ国から吸収石が嵌め込まれた装飾品を支給され、石が魔を体内に入る前に吸収してくれる。4日ほどならなんとかなるというものだ。
ただし、吸収石は特殊な金属と小さな文字を掘る技術。それと中にこれまた希少な素材によって作られたインクを掘った部分に流しこんで乾燥させることで、初めて完成する代物だ。一つ売れば街を作ることの出来る額が懐に入ってくることになるだろう。
布告してきたということは、つまりこの国ファムーゲン一体に充満していた魔は人が入ってきても影響がでないほどに減少していることを意味している。それ即ち、侵食結界の効果が発動していないことを指している。
………と。魔族のお偉い方様は考えるだろう、普通は。
しかし俺は知っている。というか分かっている。どうしてイーリリン王国の奴らが喧嘩を売ってきたのか。ガゼルも検討が付いてるのか、ため息を、漏らしながらも俺を——俺の中に眠る何かを見つめていた。
「まさか、聖剣が損失したのを利用して戦争を吹っ掛けてくるとはな。コタロウ」
「……なんかすんません」
思わず現代日本で習得したDOGEZAを行う。
「なんだそのそれ」
「土下座っていう、俺が転生した世界で最大の謝罪方法だよ」
「ほう」
そんな俺の格好をまじまじと見て、急に破顔するガゼル。
「お前が俺に謝るとはな、ククク」
「うっせ。お前にしかこの事話してねーだろ」
「まあな、そうだ、一応お前にも見せておこう」
そういいながら取り出したのは、折りたたまれた一枚の羊皮紙。ヒガンバナの刻印は王家エクシリトーシュのモノという証明である。
「あー、こりゃマジだわ。何を考えてるんだあのブタ」
「ブ、ブタ?」
「あぁ、王位継承位第一位のトゥレリオスの事な。俺が初めて会ったときの感想がそれだったから」
「……そ、そんなに醜いのか? 美しい王族として名の知れた者たちだろ? エクシリトーシュ家は」
「まあな。俺も勇者として招集されるまでは思ってたさ。あいつの姿を見た瞬間、王族は優雅な人達ばかりという甘い幻想をぶち壊された」
「あー……ご愁傷様」
「んで、上の連中はどうしてるんだ?」
聞きながら俺は紙を広げて書かれている文を読んでいく。
『お前達が我が城に侵入して聖剣を奪ったのは分かっている。大人しく返すだけじゃ済まさない。国も寄越せ悪党共!』
意訳するとこんな感じ。2枚入っていたが、ほとんどはこちらへの威嚇文だった。
こういった重要な文を書けるのは王のみ。つまり今のあいつは王様……うへぇ。あいつが王とか、似合わなさ過ぎるわー。影の努力者ポジションでひっそりとくらしとけよ。
「コタロウ、お前もその“上の連中”の一員なんだがな」
「知るか。で、どうなの」
「まず、即座に返信を送ったようだ。聖剣なぞ知らないという文をな」
「で、返信は無かったと」
「いや、あった。ただしその紙はクシャクシにされていたがな」
「ちなみに内容は?」
「しらばっくれるなクソ共」
「あいつらしいわぁー」
そうなのかと尋ねてくるが、無言で返す。短期は治ってなかったか。
「戦争形式は『チェス』に決まったようなもんだけどさ、その詳しい内容はまだなのか」
「あぁ。それに対しての返信はまだきていない」
来ていないというか、頭に血が上りすぎて考えてなかっただけだと思う。
『チェス』というのは、転生した日本でいうボードゲームではなく、実際に国同士が戦う事を指す。
70人まで戦術した後、『歩兵』・『騎兵』・『偵察兵』・『魔法兵』・『弓兵』に分けなければならず。最低でも五人は振り分けなければいけない。編成期間は2日ととても短く、スパイを送り込む暇もないし、それをすればペナルティがついてしまう。
勝利条件であるは、『敵大将を倒すこと』。兵として選ばれたもの達は全員が峰打ちなどといった技術がないため、天族に魔法をかけてもらい非殺傷武器にしてもらうのが義務付けられている。
熟練国なら、余裕を持って編成することができる。逆に経験の浅い国は1日まるまるつかってようやく出来たというのもあれば、最悪『チェス』当日になってようやく決まるなんてこともある。
編成期間内の行動と、戦争中の機転で決まる。『チェス』のようで『チェス』ではないのだ。これは。
「ちなみにこの国、ファンムーゲンは『チェス』をしたことは?」
「恐らく、一度もない。しかし今回はお前がいるから、大丈夫だろうとは思っている」
「あー、申し訳ないけど。したことないんだわ。『チェス』は」
「は? ならルシフェル様との対決は違うというのか。人間が定めた戦争方法を無視してお前は、お前達は!」
「落ち着け。『チェス』の他に戦争形式はあるだろ」
「分かっている。『リバーシ』、『ライアー』、『カード』、『ジャック』の合わせて5つ——あぁ、『ジャック』か」
そう、戦争にも色々と種類がある。
簡単に説明しよう。
『リバーシ』は敵の兵を捕まえ味方に引きづり混み、敵を一定の人数にまで減らしたほうが勝ち。
『ライアー』はその国に変身用のアイテムで変装した者を最大2人送り込み、それぞれ勝利条件である『情報』を入手し、国へと持ち帰るというもの。見つかって牢に入れられれば、新たに派遣できる。
『カード』はそれぞれが国で封印、もしくは召喚板で召喚したモンスターを操り戦わせるという戦争法。全滅させれば勝ち。
『ジャック』に至っては、もはやゲームという名の殺戮である。それぞれ無制限に兵を送り込むことができ、大将を殺すことがでいれば勝ちという戦争らしい形式である。
俺が勇者だった当時、ファンムーゲンに提示した形式はこの『ジャック』である。
「そうか、悪いな。てっきり闇討ちかと」
「……親友に、できるわけないだろそんなの」
「そう……だよな」
言われてハッとなったガゼルは、小さくすまんと呟いて俯いてしまった。
「………ルシフェルは、なんでアレを呑み込んだんだ」
「それは、流石に分からんよ。何を考えていたのか最も謎だった時期だったからな」
「………」
二人して考えていると、扉をノックする音が響いた。
許可を出すと、入ってきたのは男バトラーだった。あのお偉いさん方との食事のさい、後ろで控えていた二人のうちの一人だ。
「ガゼル様、会議の時間にございます」
「もう時間か。わかったすぐ行く」
「それと、コタロウ様」
「なーに?」
「スチュワ様が、会議に出席するよう来ていますが、どうしますか」
「なっ!?」
あんのクソジジイ、何を考えてやがる。
「おい、それはどうしてかちゃんと聞いているのだろうな」
「もちろんにございます。『魔王たるもの会議ぐらいにはしっかりと出席し、皆の意見などを聞いておくべきである』とのことです」
「ふざけるなよ。まだ子供のコタロウ様に一介の大臣の分際で……あぁなるほど。そういうことか」
古参派のスチュワからすれば、絶好のチャンスなのだろう。これであの人間のガキごどれだけ無能なのかを主張して、魔王の座を取り戻すことができる。とでも思ってるのか?
「(どうするつもりだ、コタロウ)」
『思いよ届け』を介して尋ねられた俺は、もちろん行くさと答えた。一瞬驚かれたが、一応無能呼ばわりされまくるのだけは、勘弁だからな。
さぁて、どんな会議になるのやら。
フロー「あれ、あそぶやくそくは?」
次回もお楽しみ。




