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助けてください、魔王様!  作者: けとし
第1章
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第14話 歴史を学ぼう(1)

ギリギリセーフ……だと思いたい!




「——! ———ん!」

 あの襲撃の後、俺は自分の部屋に戻り、そのままベッドに吸い込まれるように潜ると眠ってしまっていた。思った以上に魔力を消費したらしい。魔力量とそれを使える容量というのは、大分意味が違う。

 容量というのは身体のことで、これが低ければすぐに限界を迎えてしまう。

 今回は日本などに伝わる現代兵器である銃を元に作ったのだが、俺でも相当な負担が掛かるということはこの世界の人間には使える者はいないということになる。



 そして翌朝、様子を見に来たガゼルに何があったと聞かれそのまま話すと、何故か謝られた。

 どうやらこの国にも古参派と新参派という、二つの派閥が出来ているようで、今回の暗殺者は古参派の連中が送ってきたものらしい。



「———たら!————きてよ———」


 昔の仕来りを大事にする古参派からすれば邪魔者でしかない俺の容姿は、簡単に消すことができると思わせるに十分なほど、貧弱に見えるのだろう。容姿だけならな(・・・・・・・)。まさか先代魔王ルシフェルを殺した張本人である勇者デュークが召喚されるなんて、考えてもいないだろうな。



「———! ——ろうくん!」


 その結果、暗殺部隊はかすり傷を負わせるどころか、たった一回の攻撃で戦闘不能にさせられ、あの時俺が放った死なない雷撃ノンリータルエレクトロの光を見たラッジと巡回兵達が駆け付け、捕縛したとのこと。

 今日の昼頃から尋問をするようだが、果たして簡単に漏らすのだろうか。



「————ろうくん、ねえ聞こえてるの!?」


 一応暗殺部隊に依頼した人物の目星はついている。あのスチュワという爺さんだ。

 現状では彼が一番怪しい。

 あの嫌がらせ連中とは違い、今回のは気配の消し方も上手く、あの中に魔力を感知するやつがいたら面倒なことになってたと思う。ま、その場合は天へと登ってもらう事になるけど。



「おきろぉぉぉ!」

「!?」

 突然影が現れ、何かが振り下ろされる音がしたので思わず手でつかんでしまった。

 掴んだそれは、加工された木の棒だった。あぶねぇ。


「……なんだよフィーシ」

 ギロリと、攻撃してきた張本人を睨むが、紫色の瞳をもつ少女、フィーシは良かったと呟いた。


「なーんだ、起きてるじゃん。それと、フィー姉ちゃん。でしょ?」

「知らん、それよりも何の用だ」

「もう、ベルゼが呼んでたよ。今後について話しがあるってさ」

「あー、分かった」


 俺は了承した後、読んでいた本を持って庭を出て行った。



「もう、アレが本当のコタロウなんて信じられない」

 そんな呟きが聞こえたが、知ったことではない。




 二日前の、襲撃が会った日の翌日にガゼルと話し合った後のことだった。


「コタロウ、いる?」

「あ、フィー姉ちゃん」

 ノックもせずに突然、フィーシが入ってきた。何時もならちゃんとノックしてから入ってくるのだが、今日はどうしたんだ?


「その、ね。コタロウ」

 首を可愛く傾げてみる。我ながら気持ち悪いとしか思えないのだが、召喚前ではこれをすると周りは良くしてくれていたもんだ。


「コタロウは、子供じゃ……ないんだよね」





 ……ん?



「フィー姉ちゃん?」

「大丈夫! 元々この世界の人だったんでしょ?」


 反射的にガゼルの方を振り向くと、バツの悪そうな顔をしていた。


「悪りぃな、モッヅ(・・・)。全部話しちまった」


 モッヅ?


 ……。


 …………。


 ……………??


 言ってる意味が分からず顰めた顔をしてると、フィーシが慌て始めた。


「あぁ。大丈夫よモッヅさん。ベルゼに助けられたから分かると思うけど、魔族はそんな怖い存在じゃないから、ね」




 あー、なんかやっと合点がいったぞ。

 ガゼルの奴、昨日の襲撃で一人じゃ保たないと思って誰かいないかと思い、ふとフィーシが適任と思ったのだろう。

 だけど勇者の生まれ変わりなんて話しても信じる信じないの前に、悪い展開に行くのは間違いないから、代わりの名前を作ったわけだな。


 どうしてフィーシなのかは分からないが、前から何人か教えてもいいんじゃないかとも言ってたし。もう過ぎた事はいいか。


「あぁ、そうか。教えてしまったのか。ガゼル」

「すまん、だけど協力してくれるっていうんだし、いいだろ」

「まあな。だけど今度から俺にも伝えてくれよ。お前だけの判断でされたら、嫁が困るだろう?」

「っ! あぁ、気を付ける」

 頭を掻きながら謝罪をするガゼル。取り敢えずこれで動ける範囲が広くなったから、いっか。


「んじゃぁ、改めてよろしく。フィーシ」

「うん、でも皆の前では」

「フィー姉ちゃん、だろ?」

「うん! えへへ〜」


 そう言うとフィーシは頬に手を当てイヤンイヤンし始めた。


 どこにデレるところがあったんだ。




 そして翌日、もっと友好を深めるために彼女と城の周りを散歩することになった。


 城の周りといっても、王国のように厳戒に警備されてるもんだとおもっていたのだが、この国はどうやら違ったようだ。

 至る所で祭りのごとく屋台が配置されており、どこからも美味しそうな香りがしていた。というか活気が凄かった。

 恐らく俺が魔王として召喚された事を祝ってのことだろう。門の警備をしてる爬虫類の魔族に聞いてみると、もうかれこれ3週間はこの有様だということだ。



 さて、そんな中で俺たちは楽しもうとした。したのだが、ここでちょっとした問題が起こった。


 俺は普段通り接するつもりだったのだが……。


『「じゃ、じゃあ行きましょ」


「こことか、いいよ……ですよね!」


「えーと、苦手なものとか……ありますか?」』


 向こうがガッチガチに緊張していました。そりゃもう話してて噛んだときなんか避雷爆散蛙トリニトルトフロッグ(言ってしまえば避雷針でTNT爆弾な蛙。自爆テロの達人)の爆発寸前のように顔を真っ赤にしていたし。

 午後の昼食時に奢ってもらってからだろうな、いつもの調子を戻したのは。歳上振りたかったのだろう。気を使えなくてすまん。





『「ねえねえ、明日は図書館へ行こ!」』

 彼女が突然そんな事を言い出したのは城の中へ戻った夜のことだった。


『「なんだよ、突然」

「だってその……あ」』

 何かを思い出したかのように俺の耳元に顔を寄せてくる。息が少しくすぐったい。


『「召喚されてから、転生した後何があったのかとか調べてないでしょ? 私と一緒なら多分大丈夫だからさ」』



 というわけで今日の朝集合した俺たちは図書館へと向かったのだが、それがある場所は城の地下で館ではなく室だったよ。この世界では広い部屋の事をたまに“館”って言うの忘れてた。


 本を借りることも出来るとのことなので俺は自身の知識と変わったところがあるか、それと転生してから起こったことを調べる為に何冊か本を借りると、天気もいいから中庭で読んでいたのだが、目が疲れて休んでいるところを勘違いされ、冒頭に戻る。


 さて、本を読んでいて今のところ収穫があったかと聞かれれば、答えはあんまり。といってもまだ数冊残っている。ゆっくり読んでいけばいいさ。



 だがこの世界で魔法が生まれた経緯は中々に面白かった。




 魔力というのは、元はと言うと毒だったらしく、ある日突然湧き出した視認不可のマギにより、多くの人が人ではない何かに変わっていったとのこと。

 魔力に抵抗出来ず死んだ者はゾンビとなり、死ぬことは免れたが廃人同然となった者はグールと化す。魔物が存在しなかった当時は相当大変だったと思われる。


 コレらは生物本能に従い、人や動物を襲い始め、瞬く間に数を増やしていった。それに比例するように生物達は数を減らしていき、残り少なくなったという時、とある夫婦の間に変異体……環境に適応した存在が産まれた。その名はゼイデン・バームン。初代勇者である。


 彼の体には魔を力に変える魔力変換機能があり、それにより自由に扱えるようになった魔力を使った技を、魔を調律し、のりこなすということで名付けられた魔法により、絶滅の危機にあった人間たちを守っていくが、一人では限界がある。そこで彼は眷属を作ることにした。

 そして産まれたのが、前にも話した山族、海族、空族である。

 それぞれの種族から選ばれし存在によって、徐々に、世界を取り戻していき、やがて世界の9割を取り返した時に、また2つの種族が現れた。それが天族と魔族である。

 彼らはそれぞれ特殊な力をもっており、天族は全ての生物に加護を与え、魔を受け入れる能力を。魔族は魔を吸収し、己の力に変える能力を。


 初代勇者はあるお願いをした。天族にはこの世界に存在する者たち全てに魔と順応する力を。魔族には濃すぎる魔を吸収し、減らしてほしいと。二種族は自身の故郷へと一旦戻り、再び来た時には、実行するに必要な人数を連れてきた。


 その時初代勇者は、対価としてこの世界に二つの土地を分け与えた。


 天族は空に浮く大陸を。魔族は魔に汚染されてしまった土地を。


 そして、この世界に9つの国が生まれた。


 それぞれの種族が共に手を取り合い友好を深めていっていた中、それは起こった。


 後に二代目勇者と呼ばれるモルトボァ・クアローが突然、魔族に宣戦布告をした。

 魔族が国を作ったそこは、元々クアロー一族の統一していた国があった場所だったからだ。

 代わりを要求する魔族。しかし彼は聞く耳を持たず、戦争が勃発してしまった。


 結果は魔族の圧勝。魔を多く取り込んだ彼らには、傷一つ付ける事が出来なかった。

 この戦争は別名、【愚かな勇者の負け戦】と称され、クアローは時代を超えても笑い者としてその名前を知られている。ということだ。





 今日読んだところを簡単に説明すれば、こんな感じである。本当は一つの場面が5ページあったりするのだが、流石に解説がしんどい。


「おい、通り過ぎるなよコタロウ」


 おっと。考え事に熱中しすぎてしまったようだ。

 後ろを振り返れば、扉が一つ。そこからガゼルが顔を出していた。


「すまん、それで今後についての話らしいけど何があったのかのか?」



「人間国の一つであるイーリリンから、宣戦布告の書が届けられた」


 浮かない顔をしながら、爆弾を放り投げてきた。

さて、お知らせです。


来週の月曜から28日までの間、【助けてください、魔王様!】の更新はお休みさせていただきます。


理由としては、高校最後のテストと、教習所の卒業テストがあり、更新することは困難になる事が予想されるためです。


それと、今日の最後で立てちゃった戦争フラグを綺麗に回収するためにストックを作るためであります。


次回のタイトルに関しては全くの別物になります。


ではまた、明日の更新を、お楽しみください。

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