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助けてください、魔王様!  作者: けとし
第1章
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第11話 帰還

遅れてしまい、申し訳ありません、最新話です。

 その後俺はスミレ、シエラ、ウーバの三人にマイを紹介し、このダンジョンについてなどを説明した。もちろん俺のことやルシフェルのことは教えてない。


 俺は向こうでも使うかもしれない道具をストレージに放り込むと、帰還用として設置したエレベーターの形をした魔法具に入り込み、魔力を流し起動して帰る準備を整えた。


 三人は疲れた体を休めてもらうためシャワーを使わせている。もちろん男女別々。ウーバはバッハに使い方を教えてもらってるだろう。女風呂の方はスミレに住んできた東の国の風呂事情を聞き、やり方が近い事を伝え使い方を書いた水属性抵抗アクア・アンティスタシーを掛けた羊皮紙を渡してある。大丈夫だろう。


「それじゃぁ、俺は行くから。三人は頼んだぞ」

「うん、気をつけてね。お兄ちゃん」

「はは、久々に聞いたわそれ」

「う、ううう煩い!! さっさといけっ」

 ポコポコと腕を振り回し叩いてくるマイの頭を撫でて宥め、俺は魔法具を発動させるキーワードを口にして、自分とルシフェルの作ったダンジョン『黄昏のスキマ』から姿を消した。



 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽


 や、やっと行ったわね。ったくラークのやつは……。私は自然とため息が漏れ、しかし心の端に追いやっていた寂しさに自信の体を抱いてしまっていた。


「……ちっこくなったのに、中身は変わらずか。お兄ちゃんは」

 再度ため息。しかし、恐らく私の顔にら笑みが張り付いていることだろう。




 ——あとは、ここの管理を頼む——




 そう言い残し、私の前から姿を消したのは30数年ぐらい前だった。当時の私はこのダンジョン、『黄昏のスキマ』を管理するだけで精一杯で、ちゃんと返事してあげることができなかった。

 1年経った頃には4つのフロアを安定させる事に成功し、3年、8年と経った頃には、全30フロア全て余裕を持って管理することができるようになった。




 だけど、気づいたら私を作った二人は消えていて——。




 ラークがこのダンジョンに転移してきたときは驚いた。

 見た目は違くても、使った魔法の波長ですぐにお兄ちゃんだと気付いた。


 ダンジョンコアである私の中には、ラークシお兄ちゃんと、ルシフェルお兄ちゃん。二人の魔力が血のように体を巡っている。そして、お兄ちゃん達が魔法を使うと、私の中の魔力と共鳴して、どんなのを使ってるのか教えてくれる。ルシフェルお兄ちゃんはこの世から消えたけど、まだ私とラークシ(・・・・)お兄ち(・・・)()()の中に、残ってくれてる。だから大丈夫。寂しくはない。


 それに何故かはしらないけど、ルシフェルお兄ちゃんの魔力が入ったラークシお兄ちゃんとは、心がつながったような気がしなくもない、といった感じ。よくわかんないけど、お兄ちゃんが今どこで何してるのかが、なんとなく分かる。転移して姿を現したお兄ちゃんを見てると確信がつきそうなつかなさそうな……。



 あー、焦れったい。それよりも。さっさとお兄ちゃんに頼まれたことをしないとね。


 頼まれたこと……うん、いい響きね。


「さてと、 そろそろ四人……いや三人と一匹は上がった頃だよね」


 私はある方向を見た。ここは応接間に作られた隠し部屋。中はとてもシンプルで、お兄ちゃんから記憶を読み取らせてもらったときに映ってた畳は複雑そうなので作れなかったけども。そこは二階と一階の間に存在しており、松に似た木などが置かれた中庭よりもさらに先。そこに大きな木の扉がドンと立っている。スミレ達はあの奥で風呂に入っているのだけど、一緒に入らなくてよかったかしら。でも入ったらその間に忽然と姿を消すのがお兄ちゃんだもん。


「ちょ、シエラ! あっちは見ちゃいけません!」

「なんで〜? お兄ちゃんと洗いっこするの〜」

「だ、だめなものはダメです! お風呂上がったら一緒におねんねしてくれるでしょうから我慢しなさいっ」

「あははは、残念ですがお部屋も男女別々ですよぉ」

「え、ちょそれ今言ったら……!」

「ふぇ……お姉ちゃん、嘘ついたの?」

「い、いや違うよ。ここには今日来たばかりでしょ? だからわからなかったの。ね、ごめんだから泣こうとしないで?」

「ふ、二人きり……」

「え?」

「二人きりになったら父ちゃん達みたいに変な鳴き声あげるんでしょ!?」

「いや、意味わからんのだが」

「ウーバ殿、シエラお嬢ちゃんがいいたいのは———ということです」

「いや知ってるから。そしてそんなことをする理由ないし」

「うわぁぁぁん、パパみたいに取っ替え引っ替えするんだわぁぁぁんっ

「どんな野郎だよ!? ゆるせんな」

「ぐすっ……男の人とも変な鳴き声あげてた」

「「…………」」

「だから、そんなことがないようにお兄ちゃんは私と寝るの!」

「愛されてますね、ウーバ殿」

「うるせぇ! 何悟りましたよみたいな目で見てんだゴラッ」



 ……行かなくて正解かもしれないわね。



 今日何度目かわからないため息を吐きながら、私は三人が上がってきたときのために着替えを用意するため、部屋を後にした。





 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽





 転移した日も含めて二日経った今日。俺は魔王城へと戻ってきた。

 聖剣を取り返した次の日は中々に濃厚な1日だと思う。



 勇者時代の別荘を掃除したり魔王としての力を試したり。部屋を管理するために人生初の奴隷を購入して、任せたり。



 魔王の力を使ったのは、スミレ達を俺の別荘まで連れて行った時のことだ。


『絶対服従』。これは相手に言うことを聞かせ時に使う、『魔王』という称号を持ってるものが使える“技”のようなものである。最高ランクまで達するのが困難だが、割と使える力ということだが、どうやらそのようだな。


 称号の中には、ランクの変わるものと変わらないものが存在する。変わらないもので代表的なのが平民。変わるものでは王様がその部類に入る。


 ま、ぶっちゃけるとその称号に見合った力が使えるというわけだ。俺の称号は「見習い」とついてるため、強力ではない。服従とあるが、見習いだと実際は「お願い」に近いのかもしれない。


 称号にこういったものがあるのは知ってはいたが、実際に手に入れたことはなく、称号である「勇者」は固定だった。


 大まかにするとこんな感じだ。また別荘行くときは多分、この城の者たちと一緒に行くことになるだろうけど……ま、なんとかなるか。


 ところで——。


「なにやってんのガゼル」


(俺のうっかりで)禿げ上がった頭をした暴食王、ベルゼことガゼルはなぜか扉を押さえつけていた。


「おう、帰ってきたか! 早く布団に潜り込むんだ」


「いや、だからどうした……ん?」

 小声で話しかけてくるガゼルを怪訝に思ったところで、扉の向こうからこちらへと向かってくる……というかもろ走ってくるやつの魔力を感じた。勇者時代の時も感じたことない、変わった魔力だ。だけどなぜか知ってる気がする。


「なんか迫ってきてるぞ?」

「くっ、急げっ。正体ばれたくないなら早く!」

 なんのことかは分からないが、とりあえず言うとおりに入る。もちろん魔法具であるホログラムの効力を消すのは忘れない。


 俺が入ったのを確認したガゼルが、扉から緊急回避するがごとく(いや、完全に緊急回避だわ)右に跳んだ。


 俺の部屋へと走って迫る魔力は速度を緩めぬまま、そして——。



「コタロウちゃぁぁぁん!」

 硬いものがぶつかって鳴る打撃音と共に取り付けるための金具が破損し、扉は俺の寝ているベット横スレスレへと吹き飛んで行った。あぶねー。数センチ横を通り過ぎて行ったぞおい。


「コ、コタロウちゃん、大丈夫?」

 扉があった場所に立つのは、灰色の髪を首下まで伸ばし、パッツンとした前髪の下にある瞳は緑色をした、一人の女性だった。


 背はガゼルに負けず劣らずある。肌の色が少し黒いのと長い耳は彼女の種族がダークエルフだという証である。


 彼女は必死の形相で俺に近づいていき、ベットにいる俺の手を取り出し握ってきた。


「うん……だぁれ?」

「えっ!?」

 ……衝撃を受けた顔をするダークエルフの女性。なんなんだ一体。


「あー、バーレン様。一度もお会いしたことありませんよ。というか危ないですから離れてください」

「イヤよ! 二カ月経っても来なくて、今度は体がこの世界に慣れてないから倒れたって聞いたから慌ててきたのに。なんで合わせてくれなかったのよ」

 なるほど。異世界人によくある症状だな。確か『魔力酔い』だっけか? 酷い時は魔力波で周りに被害を与えたりするものという、この世界に来た人たちが必ず一回はなる病である。


 だいたい召喚された日も含め2ヶ月半の間に起こるのだが、そこは元この世界の住人。瞬時に体内の魔力の量切り替えるなどして発症しないようにしてたからな。二カ月経っても症状が現れいため、そろそろそれっぽいものを起こしておこうかと考えていたのだが、すっかり忘れていた。


「私がコタロウ様のそばにいる理由、分かってますよね」

「わ、分かってるわ。分かってるわよ……でも」

「でもじゃありません。それに、ようやく安定したところなんですから、安静にしてやってください」

 渋々頷くダークエルフの女性、バーレン。だが彼女は「でも」と続ける。


「安心できるようになったら、絶対私の元に連れて行ってきてください。それが条件です」

 あ、ガゼルがすんごい嫌な顔した。というよりも話を聞いてないのかって顔だなありゃ。


「はぁ…。分かりました、それでいいですから」

 絶対よ! そう言い残し、バーレンは壊れた(彼女が壊した)扉から出て行った。


「……で、あの女はなんなんだ。いきなり入ってくるわ身勝手なことを言うわ、まるでガキみたいだな」

「実際に子供さ。あの方は136歳。まだ人間でいう13歳なのだから」


 魔族は基本的に寿命が長い。その中でも最も長寿命なのがダークエルフ。天族の聖人ヒジリビト、エルフとは正反対のため、別名、邪人ヨコシマビトと呼ばれている。


 最大で2000もの時を見てきたものが、今は知らないが存在していた彼らだが、一つだけ問題があった。それは、精神の成熟が極端に遅いということだ。だいたい10年で1歳ということなのだが、体は逆に熟すのが早い。女はハリのある肌を、男なら安直に言えば細マッチョといったらところだ。たまにガリガリもいるが。


 そんな年端も行かぬダークエルフのバーレンはどうしてこの城にいるのだろうか、。


「……あの方は、バーレン・アノマリア(・・・・・)。先代魔王ルシフェル様の、妻であられる方だ」

不定期更新ですが、なるべく毎日更新をさせていただきます。


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