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助けてください、魔王様!  作者: けとし
第1章
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第10話 ダンジョンコア“マイ”

昨日は申し訳ありませんでした。

ということで最新話その1。どうぞお楽しみください。

 なんということでしょう、あんなにボロボロだったお部屋が————ってリフォームを紹介する番組あるけどさ。



 これ、出れんじゃね?



 だって、石で作られていただけの簡素な住まいがこんなデカく……って拡張されてますね、はい。


 何がいけなかったのだろうか。三人とも驚いてくれたみたいだからいいけども。あ、盗人猿スティーファッフも顎が外れそうになってる。


「さ、さてと。それじゃあみんなはここに座っていてくれ」

 中に入った俺は、床の間に三人を置いてクリエイターの元へと向かう。


 クリエイターというのはまぁ、ダンジョンコアのことだ。説明面倒、カットさせてくれ。え、だめ? マジか。


 ダンジョンコアというのは、まあ例えるなら半無限に動く電池を内蔵した製造機のようなものだ。

 無限ではなく、半無限。そういった理由は自然物と人工物との間にある質などの差が大きい。

 自然のダンジョンコアは、空気中のマギが異常をきたして生まれるもの。そしてそれは空気中に散布されてる魔を取り入れることによって無限に動くことができる。空気中にあるものを全部遮ったり吸収したりすることはまず無理である。


 対して、人工のダンジョンコアはとあるスライムからとれる液体を特殊加工したものに、三体の巨獣からとれる素材の中にある高密度の魔力を中に流し込むことで完成する。

 しかし、作ったはいいが動かない。あるいは魔力が足りず失敗して魔力の渦に巻き込まれ、化け物に変わるなんてことがよくあるため……いやそもそも素材となる巨獣が強すぎるゆえに作ろうと思えるものがいないのだ。

 メリットとしてある程度自分の好きなようにすることが出来るが、掛け金(ベット)は自分の『命』。デメリットが怖くてやってられないだろう。だが、それを平然とやってのけたバカがここにいる。そう、俺とルシフェルだ。


 ここのダンジョンコアは俺とルシフェルが昔ふざけて巨獣狩りしまくって手に入れた最も魔力密度の高い素材——心臓を全て使い作り上げたのだが……えげつないことに、最大の難点である大喰らいを克服してしまったのだ。正確にいえば、空気中の魔だけでも足りるようになったというかなんというか。

 まぁ最初はやっちまった感しかないが、ダンジョンにしかならない鉱石を手に入れることができるため、素はすぐに取れたから結果オーライといったところか。




 さて、そんな話をしてるうちに俺は目的の場所、ダンジョンコアがある最深まで来たようだ。


 目の前には厚みのある軽くて丈夫な黒金の扉が…………あいつ(・・・)やりすぎだろ。


 はぁ、と一つため息。まぁ仕方ない。俺のイメージが影響したのだろうから、な。どれどれ、中はどんな風にしてんだ? というか、この木材どこから取ってきたんだよ。ダンジョンには動く木(トレント)も生まれないのに。


「おい、帰ってきたぞ」

 ノックを二回。しかし扉が厚すぎるからか全く聞こえていないようだ。


「おい、舞! 聞こえてんのか? おい!!」

 コンコン、カンカン、ゴンゴン、と明らかにイライラが募るのに合わせてノックに込める力が強くなっていく。扉が凹んでる気がするが、大丈夫だよな。


「わわわ! ま、またんかバカモノ!! これ以上したら壊れてしまうわいっ」

 聞こえてきたのは、可愛い女の子の声。

 なんだ、いるじゃんか。ノックしていた方の扉が大きく凹み、僅かに隙間ができていたようだ。って、めっちゃ分厚いんだな。小学生である俺が手を二つ広げて合わせてたぐらいあるじゃねーか。


「さ、さぁ用意できたぞ。入ってくれ」

 ノックしてないの方の扉が開き、そこから光が漏れてくる。


「ったく、いるならせめてへん……じ…しろ…」

「んふふぅ、どうじゃ。私の部屋は」

 その部屋は、ある意味俺にとって懐かしい部屋だった。

 ピンク色の壁紙に可愛いクマのぬいぐるみや犬、猫のぬいぐるみ。

 小さなは丸椅子がチョコンと、部屋の真ん中にあり、そこにはこの部屋の主が座布団に腰掛けて待っていた。


 その主とは白い服の上に青いジャンパースカートとよばれる物を着た、一人の金髪黒目のゴスロリ少女だった。


「おぉ〜、待っておったぞマスター……いや、我が愛しとのダーリあだっ」

 パァッと、日の出と共に咲くアサガオのように満面の笑みを作ると、彼女はこちらに——向かってきたので脳天に向けてナイフハンド(チョップ)をきめてやると、痛そうに頭を抱え蹲ってしまった。が、それはこいつの演技であることを知っている。故に俺が通る行動はただ一つ。


「にゃっ!? 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いぃ〜!」

 ちっ、アイアンクローも効かないか。むしろ楽しんでる気がする。


 ならば。


「え、ちょっとマスターなんで後ろに回りこんで頭を持つの? え、ちょっと何、手に魔力込めてる理由をオシエテホシ」

 ゴキリッ。もし効果音があったらそんな音が鳴っていただろうというぐらいに、目の前のゴスロリ少女は首を180度回転させ、地に伏せてしまった。








「もう、マスターのバカバカバカバカバカバカバカ! どうしていきなり首をやるんですかぁ! もう少し順序ってものがあるでしょ!!」

「順序ってなんだよ順序って。相変わらず凄まじいよな、お前は。人間なら死んでるだろうに、まだしぶとく生きてるんだもん。Gかよ」

「へ? ジー? ジーってなに?」

「人類の敵。それと同類」

「そんなっ!?」

 バックに衝撃を受けたみたいなエフェクト作らなくていいから(・・・・・・・・・)。そしてそのまま飲む前にその前に首をどうにかしなさい貴女は。なに俺が首をやったまま、平然とお茶を飲んでるんだよ。つか器用だなおい。どうやったら手に持ったお茶を後ろに回転した首まで持っていけるんだか。あ、スライム(・・・・)だったなこいつの素材(・・・・・・・・・)


「さて、マイよ。俺が言ってたこと覚えてるかい?」

「え……」


 あ、こいつの忘れてやがったな。


「今度ここで働かせる奴らが来るまでに造れと、建て直してくれと言った。だけどさ………なんっだよ、このお屋敷は! 加減しろっていたよな!」

「……だってぇ、誰も見てないんだし、派手派手しいのでも大丈夫じゃにゃ!?」

 デコピンを一発。


「よくねーよ。緊張させてどうするんだよバカタレ」

「うぅ……」

「うーじゃない。この小動物」

「小動物じゃないもん! 私の方が大きいんだよ?」

「じゃあ中身は小動物」

「ぬぐぐ……」

 ちょっと涙目になりながら睨みつけてくるが全然怖くない。幼なさがありすぎる。確かに死んでから数十年放置だったけどさ。もう少し大人になってろよな。こんな見た目は子供中身勇者ってのもアウトだけど。


「それに、ここだってもう大人……だにゃん!?」

「胸を寄せんな押し付けるな。娘がこうだとルシフェルも泣くぞ。いいのか?」

「いいもん! あんな浮気者」

 う、浮気者って。魔族が一夫多妻制なのがそんなに嫌なのか? 東の国以外の人間国もそうなんだけど。


「……なんか前置きが長くなりそうだからさっさというけど、今日からあの三人の世話を頼む」

「え!? は?」

「ファンムーゲン戻るんだよ。2日も開けるのってギリギリなんだからな?」


 ガゼルに頼んだはいいが、何時まで効果があるか……あいつは時たまおバカ行動するからな。正直心配だ。それに今回置いたホログラムは触れることは出来るが近くから体内の魔力などを調べられると偽物だってバレる代物なんだ。

 昔仲間に心配かけさせないために作ったものを現代に存在するプロジェクターを真似て改造した、言わば『ぱちモン』。それが空間魔法のストレージ内にたまたま入ってたから使ったのだ。不安だ。なんかダメダメコンビニ任せてる感じ。


「や、やだよ。私はここの管理で大変だし、ラークがファンムーゲンに連れて行けばいいじゃないか!」

「無理だ。魔族には人間嫌いがまだ多く存在しているんだ。そんなとこに連れて行けばどうなるか、目に見えている」

 召喚されて2ヶ月。その間なにもされなかったわけではないのだ。


 人間が魔王なんて! とイチャモンつけるやつなんてマシな方で、不意をついて魔法や暗殺部隊を派遣して消そうとするものもいた。もちろん全て乗り切ってやったが。

 あるものは遠隔で魔力盾や空気中の炭素を一時的にダイヤモンドに加工した盾を作り塞ぎ。


 ある時はわざと誰もいないところへ行って誘い撃退。


 夜中の暗殺者にいたっては俺に近づいた瞬間、自動的に発動する麻痺結界スタンフィールドでおやすみさせて転移魔法で適当な魔物生息地域に飛ばして行ったりしている。


 だが、それを依頼した奴は見つかっておらずである。


「俺が召喚されてから2ヶ月。その2ヶ月の間に何度も襲撃や不意打ちが来ていたんだ。そんなところにあの三人を連れて行けば、格好の的だろ」

「うぅ、それはそうだけどさ。モンスターに襲われたら管理者の私でも制御できないわよ」


 ここで、いやもっと前に疑問に思ったものはいるだろうな。魔物とモンスターはどう違うんだと。


 簡単に説明させてもらうぞ。まず、自然から生まれるのが魔物。ダンジョンから生まれるのがモンスターだ。そしてダンジョンに最深部へと誘われて住み着い魔物のことをクリミナルと呼ぶ。逆に外へと出て行ったモンスターをインベーダーと呼ぶ。


 自然に生まれるダンジョンは、外にいる魔物を必ずクリミナルにしようとするのに対し、人工的に誕生したダンジョンはそういう行動を起こそうとしないのだ。


 とある研究者が「せっかく高品質なダンジョンを作ることができたらその中で研究をしよう」と考えても、彼の研究の成果が欲しい奴らに攻め込まれ最深部まで到達されれば、クリミナルのいないダンジョン最深部はキーパーのいないサッカーゴールと一緒、それを作ったやつが多少武術に心得があっても殺され、奪われるだけだ。


 しかし、例外が存在する。というか目の前にいる。彼女、マイだ。


 彼女を造って半年ぐらいかな。大分ダンジョンも成長したのでAランクパーティを誘い込み戦わせたことがある。ジュエル系の称号をもつ冒険者でも勝つのは困難だと思うほどに、強くなっちゃったのよね〜。

 普通のダンジョンコアが四角や丸い真珠なのに対して彼女は人型。攻撃されても抵抗出来ないそれは魔力の塊と言ってもいい。じゃあそれが動くことができ、なおかつ魔法も使えるとしたら? 答えは、勇者や魔王に並ぶ最強の存在が生まれるのだ。


「それなら、バッハの兄弟を、作ればいいじゃないか。似て非なる存在とかさ」

「うぅ……どうしても、だめ?」

「あぁ、こればかりはな。俺なんかを召喚するのに何人かが命と人生を散らせてしまったからな。せめてそれ相応の働きをしないと」

「……分かった」

 ふくれっ面になるなよ。ったくしゃーねーな」

「きゃっ!? え、えっ? ラーク……?」

「3日だ。3日毎に様子を見に来るから、それで勘弁してくれ」

 頭を軽く撫でながら、諭すように話しかけると、マイは渋々頷いてくれた。よしよし。いい子いい子。


「はわわわ……えへへ〜」



 ……やっぱ小動物だわ、こいつ。

さてさて、第2話はおそらく12時以降になるかと……。が、頑張ります。(まだ三割も描けてない)

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