第9話 我が別荘へようこそ
昨日午前3時に投稿と言いましたが、申し訳ありません。間に合わずどころか睡魔に負けてしまいました。申し訳ありません。
代わりとして少し長くしました。では、どうぞお楽しみください。
【アン・リコーシュ】というらしいカフェを出た俺たちは街で軽くショッピング……とする時間も残ってないため、俺はこのまま外に出ることを考えた。
しかし……今の彼らの姿では外に出ることも出来ないだろう。なんせ、ネグリジェのようなものを着込んだ二人のオンナと半袖半パンの少年。どう考えても街の外に行く姿ではないのだ。
そういう俺だって不法進入してるし。え? ちゃんと通行料払ってると思った? 馬鹿らしい。ここの通行料銀貨10枚も取られるんだぞ。
この世界の通貨だが、国によって違う効果とされている。といっても配合されてる金銀の分量は全く一緒だが、そこに彫られてる絵が変わる。
今すぐ教えてもいいが、それはこの三人に教える時でいいかなと思う。
べ、別に忘れたわけじゃないぞ? 別荘に戻ればとか思ってるわけじゃないんだからね!?
……コホン。ちょっと気持ち悪すぎたな。自重しよう。
さて、外に出る準備をしようじゃないか。
「それじゃあ三人とも、こっち来てくれないか」
俺は路地裏を、指差しながら聞いてみる。
「はい、ご主人様!」
桃色の髪をしたシエラは幼く、翡翠色の瞳は、自分がこうなる事が当たり前だと思ってる感じがする。
市場での紹介では、奴隷の間に産まれた子供だそうだ。
彼女はとても純粋な目で辺りをキョロキョロしてたのが印象に残っている。
「かしこまりました」
スミレは艶のある黒髪を腰まで伸ばし、まだ幼さを感じる顔をしているのだが、吸い込まれそうない瞳をしている。なんだっけな、宝石のパールに黒い奴があるんだが、それを連想させるようだった。
彼女は紹介されている時は、何かを諦めたかのような顔をしていた。が、今は生き生きとしている。
ふむ。彼女は東の国の人間なのだろう。とすると、この国の人間には受け入れられなかったと。解せぬ。
「……」
ウーバ少年にいたっては、もはや無言。彼が商品として紹介されてる時は、威圧などが凄まじく、とてもではないが飼いならす事が出来なさそうに思えた。
そう、俺以外では、な。
……というかこの銀髪少年、同じ奴隷どったシエラとスミレを俺から守れるようにみたいなポジションにいるんだが。黄色の瞳からは敵意しか感じない。
「あ、あのご主人様? どうしてこのような場所に? どう見ても……」
鼻を押さえながら聞いてくるスラム。まぁ、ここは見た目通り、孤児などが住み着くスラムである。臭いも凄まじく、よくここで生きられるなと思う場所である。
ウーバは更に俺を警戒し、シエラはあまりの臭いに涙目。
「あぁ、普通の喋り方でいいぞ。というか許す。東の巫女よ」
「っっ!?」
目を大きく開き驚いてみせるスミレ。
俺の事は覚えてないだろうけど、俺は覚えてるからな。
「あとウーバ、シエラを撫でてやってくれ。三人とも。もうしばらく待っててくれないか?」
そして俺は、無詠唱でシエラたちがいる場所から俺少し先にある曲がり角までの間に、無音結界を張る。
懐からチョークもどきを取り出すと、それを使い、円を一つ、その中に三角形を二つ合わせると星になるような位置に描く。
最後に、指定ポイントへと飛ばしてくれるよう文字を書いていけば。
「よし、試すか」
そう呟きながら、魔力を少しずつ流していく。
「魔法発生陣……」
「え、なになに凄いピカピカ光ってる!」
「……っ」
三者三様、だな。
シエラの言う通り、魔方陣は何度か点滅をはじめ。そして数分もすれば——安定する。
「ちょっと一旦試してみるわ」
「え? は、はい」
俺は魔方陣の中へと入っていく。すると、景色は一瞬安定し、そして気がつけばそこは森の中。
木が生い茂り日の光が殆ど入ってこないような場所。
ちょっと家まで遠いな、どうしようか。
いや、大丈夫だな。ついでに試そうか。
考えが決まり、もう一度中に入っていく。
最初目に入ったのは三人のポカンとした顔だった。驚いてくれたようで何よりだ。
「ご、ご主人様は魔法使いなのでしょうか」
「まあ、そうなるね。さぁ、中に入って……あ、ウーバはシエラの手を握って一緒に行ってやってくれ」
「ちっ……」
第一声が舌打ちかよ。ちょっと心配だな。
まぁ、なんだかんだで言うことを聞いてくれるのだし、いっか。
さぁてと、さっさと帰りますか!
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「あああああの!! ご主じ……じゃなくて“デューク”様?」
「ん? どうかしたかい?」
不安げな顔で僕を見下ろすスミレ。
「うわぁ、お兄ちゃん。このコ、モフモフゥ〜」
「こ、こらシエラ! 食べられちゃうぞ」
「大丈夫〜。ほら、耳をみょ〜ん」
「ぁぁぁぁぁ!?」
……オーバーリアクションありがとう、ウーバよ。
シエラが乗ってる白犬もどうやらお前を気に入ったようだから俺の家に置いておくかな。
俺たちは転移陣をつかい森の外に出た後、3人…というか2人だな。シエラとスミレにご主人様と呼ぶのことを控えてもらった。
スミレは安堵し、しかしシエラはなんでなんでと聞いてくるので、代わりにデュークと呼ぶようにしてもらった。
俺が自身にかけていたスキル『隠れ蓑』を解除した時の反応は傑作だった。
シエラは小さくなったぁと年相応の反応を、スミレは「こんな小さな子供に……」となにやらブツブツ呟いていた。ウーバは開いた口が塞がらないといった感じだった。
「その、後ろの魔物達は大丈夫なのでしょうか」
そう言う彼女の視線の先——皆さんも疑問に思っただろう。いつのまに犬なんて現れたのだと ——には、十数匹もいる魔物達が、桃太郎よろしくについてきているのだ。
「大丈夫、既に俺の部下だから」
「はあ……?」
そういってる彼女も、盗人猿の赤ん坊を無い胸で抱いている。灰色の毛に覆われたその魔物も、あって欲しかったものがなくて残念といった感じにため息を吐くが、それが落ち着いているのだと勘違いしてるのか、スミレは顔の筋肉を緩ませ、ニヤニヤとしている。
「可愛いのは分かるがスミレ、こいつが大人になっても可愛がる自身はあるかい?」
「ゔっ……」
「ききぃーっ」
俺たちが通っている獣道に生えている木々。その枝を細いものまで器用に掴んで移動する二体の盗人猿がいた。
そいつらは番い。そして、スミレに抱かれている子供の親でもある。
だが、スミレは認めないだろうな。なぜかって言えば。
「私は認めません。こんな、いかにも泥棒みたいな顔の猿から産まれたなんて信じません!」
「「キャッ!?」」
言われた内容が分かったのか、二匹はショックを受けたかのように、そして……木から落ちていった。大丈夫か?一応風のクッション作ってやったけど。
「キィ……」
「キャキャッ……」
2匹ともに考え込みはじめた。相当ショックだったらしい。
まぁ、しゃーないよ。そんな口周りの毛が黒くて目がある場所から後頭部に位置する所までの毛にいたっては濃い緑をしており、日本の古くから聞く盗み人に見えなくも無いのだ。哀れ、スティーファッフ。
他にも鳥系や狼、山猫のようなものもおり、しかし醜い小人や豚鬼はいない。というか、逃げていった。
奴ら限定で威圧を使ったのだ。ガゼルのこと言えないな、俺も。
どのくらい時間がかかったのだろうか、木々が少なくなり辺りに岩が見え始める。
そして、目の前には聳え立つ山が、視界を埋め尽くす。
「ここだ」
「え、ここって……洞穴?」
「そうだ。ま、正確にいえばダンジョンだけどな」
「え?」
「さ、行くぞ。君たちもくるかい?」
鳴き声を上げる魔物たち………なんかさらに増えてない?
「ダンジョンって、正気かよ」
「お兄ちゃん、メッ!」
うっは、自分より年下の女の子に怒られてやんのウーバのやつ。
「ククッ、いいんだよシエラ。三人とも、この中に入ったら主従関係なしに接してくれ。中にいる奴らもそれを望むだろうし」
「中にいる奴って、どう考えてもモンスター以外のなにものでもないでしょ……私の運もここまで?」
おいこらスミレ、何をこの世の終わりみたいな顔をしてるんだ。それと、何か勘違いしてるようだな。
「この山だよ」
「……は?」
「この山そのものが、俺の別荘だ」
何言ってんだコイツという顔で見てくる二人。シエラは白犬と戯れてるため除外した。
「まぁ、百間は一見にしかずってな」
なんでこんなちびっ子が知ってるのよと失礼な事をいうスミレを無視して、俺は洞穴の横、ガーゴイルを模した像に手を置くと。それ向かって話しかける。
「ガーゴイル、認証『ラークシ・F・デューク』」
なるべく小さく言うと、像が僅かに輝いた。
そして突然。その像は背中に生やしている二対の翼を広げ、立ち上がった。
「認証完了。ようこそ、ダンジョンマスター」
「きゃぁ!?」
おいおい、像が動き出したぐらいで驚くなよ。
「これは失礼、可愛いお嬢さん。私、このダンジョンを管理しているガーゴイル、バッハと申します以後お見知り置きを」
そしていつの間に持ってたのか、一輪の桃色薔薇をスミレに渡してきた。
「あ、ありがとう……?」
「ふふっ……主よ、首輪はどうしますか?」
「え?」
あー、それは後でって決めてたんだが。
「中に入ってからでいいかと思ってる。案内してくれ」
「かしこまりました」
深く頭を垂れる姿は、まるで執事のよう。しかし、全身を青銅色に染めたその身体と頭から生える二本の角、そして翼が、彼が魔物だという事を教えてくる。
「さぁ、では参りましょう。そしたら、とってもいいことがございますので」
その言葉はいらない気がするんだが。
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「う……わぁ」
私、白堂菫……いや。今はスミレと、苗字を奪われた私は目の前の光景に目を奪われていました。
また転移陣に入ると言われた時はとてもいやでした。だって作動してからの浮遊感や暗転が酔いを誘ってくるのです、気持ち悪くなるのは仕方ないことでしょ?
だけど、そんな酔いも吹き飛ばしてくれるほどに、この場所……デュークの住んでるというダンジョンの最深部、そこはダンジョンではなく、お屋敷だったのです。
石を使わず、木だけで作られたその建物は、西洋文化のものではなく、私の暮らしていた東の国のものでした。
東の国だけにまつわる木だけを使った建造法、秘匿の筈なのに、どうしてこの子はしってるのだろうか。
「驚いたかい? まだまだらこれだけじゃないんだよね」
そういったデュークは私たちを連れて中に入っていきます。ニヤニヤしてたのはとてもムカつきましたが、驚くのは仕方のないことだと思います。
中に入ると、お出迎えはありません。てっきりダンジョンのモンスターがお出迎えすると思いました。ちょっと残念です。ですが、ちょっと不思議に思えることもありました。
「ここで脱いで、そこの下駄箱に入れるんだよ」
そういいながら脱ぎ始めたデュークをウーバがちょっと待てと言ってきました。
「どうして靴を脱ぐんだ。それじゃあ足が汚れてしまうじゃないか」
もっともな話です。汚ない場所を裸足でなんて。
「大丈夫だよ、昨日できたものだし」
「今日の朝でございます」
「あ、そうなんだ」
……ちょっと何言ってるかわからない。今日完成した? いや、貴方朝は……。
そこで、もう一人。いや一匹の存在を思い出し、納得しました。
ダンジョンというのは、基本的に自然の摂理の一部として、そして場所を選ばず、突然生まれる空間のことを意味します。
そして、作られたダンジョンにはコアがあり、その地域で最も強い魔物を奥まで誘い込み、最適な環境を作って住まわせボスにするのが普通です。
しかし、稀に人工的にコアを作る人がいます。その人たちは様々な素材を使うのですが、簡単に手に入るものはなく、失敗した場合は作ろうとしたものを巻き込み消滅してしまいます。
だからといって成功すれば終わりではありません。人工的に作ったコアが保有している魔力の量によって成長速度、その限界。作れるモンスターの数などが変わっていき、ひどい場合は野生の犬ぐらいしか誘い込めないということもあります。
これは全て、滅んでしまった東の国の一つに纏わる秘術として知られていましたので、巫女である私は教えてもらってました……しかし、この規模となると、そうはいきません。作るのにどれだけ希少な魔物の素材、鉱石などを使ったのか……私は少し、目の前のシエラよりも小さい少年が怖くなりました。
……抗ったら、殺される。私は酸っぱいものがこみ上げてくる感覚をこらえながらも。彼の言うとおりにしました。
はい、家の中に入ってませんでした、チクショウ!
明日は朝から用事があるので、投稿出来るか分かりませんが、投稿出来るようつくさせていただきます。




