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五段腹でも勇者になれるもん  作者: おりひん
俺のハーレム生活開始!?
8/16

ダイエットは自分との戦い

まだ模擬試験が終わっていないのですが、24時間以内に投稿すると宣言したので書き上げました。

 あれから何時間も走り続けて、足は棒のように地面に触れる。まるでミイラみたいに足を曲げず、片足ずつ歩いているようだ。額から汗がだらだら流れる。ダイエットは、いや……ダイエットに限らず何でも継続は力となる。だから限界目前で今日は引き上げる事にした。汗が服に染み込んで服は前の二倍の重さになっている。


 孤児院に戻ると夕日が綺麗だった。いつも見ている夕日と何かが違う気がした。いつもよりも夕日が綺麗に見えた。ゲームの中だから綺麗に見えるのかな?もしかしたら何もかも同じかもしれない。俺が変わったから見ている世界も変わっているのか?


 俺の視界には恥ずかしそうに頬を赤くした夕焼けと外で楽しく遊んでいる孤児院の子供たちの姿が映った。


「あ、おにいちゃん!」


 マリーとその仲間たちが俺に駆け寄ってくる。


「おにいちゃん、すごい汗だけどどうしたの?」


「冒険ギルドに入ろうと思ってな。そのために体を鍛えていたところだよ」


 生意気なジョーが「冒険ギルド」と言う言葉を聞いて、駆け寄ってくる。


「冒険ギルドに入るって、その脂肪の塊で!?」


「ジョー君、酷い!」


 ジョーは冒険者になるといっていたな。冒険者になることを否定され八つ当たりしているのか。しかし、マリーを含め女子たちに怒られてジョーはさらに落ち込む。


「マリー、別に良いよ。本当のことを言っているんだから。冒険者になる前に脂肪を落とすよ。しかし、ジョー。八つ当たりはよくないぞ」


「別にそんなんじゃねぇよ」


 またジョーは走っていってしまった。


「ごめんね、おにいちゃん。いつものジョー君は……」


 ジョーのことは何も知らないが「分かっている」と告げておく。


「そういえば、汗を流せる場所は無いか知ってる?」


 さすがにこのままでは、寒くなって風邪を引いてしまう。


「今日は皆で川に体を洗いに行くの。お兄ちゃんも一緒に行こう!」


 川で体に付いた汗を流すのは初めてだが、この世界ではしょうがない事なのだろう。


 それからしばらくして、孤児院の皆で川へと向かう。俺と個人院の子供たちは歌を歌いながら楽しく笑顔を見せながら川の中に入る。さっ寒すぎる!こんな寒い所に居ると体温が奪われ、風邪を引いてしまう。引き返そうとするが、子供たちが俺を抑える。道連れさせるな!


「お前ら寒くないのか!?」


 マリーは「慣れているから寒くないよ」とだけ告げ俺のぶよぶよの腹にしがみ付く。


「何をしている!」


「おにいちゃんのお腹、柔らかくて気持ちい!皆も触ってみて!」


 子供たちが次々に触ってきた。これは見世物ではないぞ。


「さわるな!少しは気にしているのだ!」


 子供たちのおかげで「痩せたい」と言う気持ちが増してきた。よって、俺は川の流れに逆らって歩き始めた。これは足腰を鍛えるのだ。子供らに「何しているの?」と聞かれたので、そのまま説明した。そして俺は真剣に泳ぎ始めた。これは肺を強くすると聞いた。仕方ないだろ、こっちは真剣に痩せようとしているのだ。すると、子供たちも俺のあとに着いて来た。おい、俺を抜くな!年上としてのプライドがズタズタにされる。


「お前ら、少しは俺の気持ちを考えろよ!俺は真剣に痩せていようとしているのに……」


 俺の視界にテレシアさんの綺麗な体が映った。水着など高いものは無いようなので、布を巻いている。その布越しでも、巨乳だということが分かる。俺はしばらくテレシアさんの魅力に釘付けだった。仕方ないだろ、だってボンキュッボンなのだから。肌の汚れも川で落ちて行き、空の色とは逆の雪みたいな白が見えた。綺麗……この漢字二文字で俺の頭は満たされていった。前世では到底見られないボディを持っていた。


「おにいちゃん!」


 マリーが騒ぐ。


「またテレシアお姉ちゃんをいやらしい目で見ていた。おにいちゃんの最低!」


 これには返す言葉が無い。マリーの機嫌を取り戻そうと、マリーを肩車した。あ……だめだ、これ以上するとガタが来る。そんな訳で、俺はすぐにマリーを降ろし泳ぎ始めた。この頃には、俺の体温も川に慣れてきたみたいで外に居る方が寒い状態となった。充分に泳いでから、川から出る。そしてテレシアさんに貸してもらった乾いたタオルと言うか布を借りた。俺は他のタオルも借りて、子供たちの体を拭く。


「こんな事までして貰って本当にすみません」


「いえ、別に。それよりもこの子達はこの冷たい川で?」


「はい、何分金が無いもので。まあ、もう少ししたらこの生活も終わるでしょう」


 この生活が終わるというのは、孤児院が潰れると言う事か。


「こんな事を聞いては失礼かもしれませんが、仮に孤児院が潰れたとして……もちろん孤児院は俺が救います。しかし、万が一って時、この子達はどうなるのですか?」


「運の良い子は誰かに拾われて裕福まではいかないでしょうが、孤児院と比べれば良い生活が送ることが出来るでしょう。しかし……」


「しかし……」と言い残したテレシアさんの顔を見た。そこには綺麗な涙があった。


「運の悪い子は奴隷にされてしまいます」


「奴隷!?」


 どういう事だ?奴隷制度は俺が……ゲームの主人公が廃止したはずなのに。クソ、奴隷制度の廃止は撤回されてしまったのか。


「テレシアさん、悲しい気持ちにさせてすみません。しかし、俺がこの子達を奴隷なんかにはさせません」


「ノゾムさん、やっぱり私には分かりません。何故そこまでして、この子達を守りたいと思うのですか?ここで育った私さえもノゾムさんみたいに強い意志をもてませんのに」


「いや、テレシアさんは良く頑張っていますよ。皆も慕っているじゃないですか!」


「この子達のためなら性奴隷にでもなるという強い意思は私にはありません」


 テレシアさんはいたって、真剣だった。「性奴隷」と普通は衝撃を受けてしまいそうになりそうな言葉も躊躇わず、はっきりとした言葉で言っていた。


「俺は昔、虐めを受けていました。だからと言ってはおかしいかもしれませんが、困っている人を見ると昔の自分を思い出しているようで……助けなきゃ!って思うんです」


 もちろん、これは事実ではある。しかし、やっぱり一番の理由はテレシアさんに良いところを見せて「ノゾムさん、好きです。付き合ってください」と言ってもらいたいからだ。


「ノゾムさんはとても良い人なんですね」


 すみません。下心で動いています、とは口が裂けても言えないだろう。





 さて、冒険者になっても困らないように少しでも脂肪を落とすか!


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