第9話 初めての魔物と、俺の修復能力
村の外に出る。
そこには、黒い毛皮を持つ獣がいた。
狼に似ている。
しかし大きい。
「魔物……」
俺は息を飲む。
剣を持った村人たちが前に出る。
「下がっていろ!」
俺は言われた通り下がろうとした。
しかし。
妙な違和感を覚えた。
魔物ではない。
その後ろ。
地面だ。
「……何かいる」
「え?」
俺は地面を見る。
黒いものが、土の中から伸びている。
「これ……」
世界樹で見たものと同じだ。
黒い根。
魔物は、その根に触れている。
苦しそうに唸っていた。
「待って!」
俺は走った。
「何をしている!」
村人が叫ぶ。
俺は魔物ではなく、黒い根に手を伸ばした。
触れた瞬間。
頭の中に情報が流れ込む。
侵食。
汚染。
異常。
そして。
修復可能。
「……直せる」
俺は手を当てる。
「戻れ!」
光が広がった。
黒い根が崩れていく。
魔物の体から黒い影が抜ける。
魔物はその場に倒れた。
静寂。
誰も動かない。
「……」
俺も動けなかった。
俺は魔物を倒していない。
黒いものだけを取り除いた。
村人の一人が呟く。
「……魔物を治した?」
俺は自分の手を見る。
「違う」
「俺は……」
そこで言葉が止まった。
修復者。
壊れたものを直す。
もしかすると。
この能力は。
物だけを直す力じゃないのかもしれない。




