第4話 修復者という、よく分からない職業
「修復者って、何をするんです?」
俺は歩きながら尋ねた。
「壊れたものを直します」
「……そのまんまですね」
「はい」
「じゃあ、何でも直せるんですか?」
「何でもではありません」
リナはそう答えた。
「あなたの能力には限界があります」
「レベル1だから?」
「それもあります」
俺はステータスをもう一度見る。
レベル1。
体力42。
筋力18。
……弱い。
たぶん。
「これ、戦ったら死にません?」
「可能性はあります」
「正直だな」
俺は苦笑した。
勇者でもない。
剣士でもない。
魔法使いでもない。
ましてや最強でもない。
十六歳の体になっただけ。
「じゃあ、修復って何を直せるんです?」
リナは小さな石を拾った。
ひびが入っている。
「触れてください」
言われるまま触れる。
すると。
頭の中に奇妙な感覚が流れ込んできた。
石の状態が分かる。
どこが壊れているのか。
どう壊れたのか。
そして。
どうすれば元に戻るのか。
「……分かる」
俺は驚いた。
手を離す。
もう一度触る。
同じだった。
「これ……」
「修復者の能力です」
「じゃあ、直せる?」
「試してください」
俺は石を両手で包んだ。
「……直れ」
何となくそう言った。
淡い光が走る。
ひびが消えた。
「……」
俺は石を見つめる。
「本当に直った……」
リナが微笑んだ。
「あなたは、壊れたものを見つけることができます」
「そして、直せる」
「はい」
俺は思った。
それは、昔から自分がやってきたことと同じだった。
機械の異常。
小さなズレ。
壊れる前の兆候。
俺は、それを見つけることだけは得意だった。
まさか。
異世界に来てまで。
同じことをするとは思わなかった。
「結局、異世界でも異常を見つける仕事なのかよ……」
誰も答えなかった。




