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異世界転生した。勇者? 魔王? ……いや、修復者だった  作者: 森羅万象
異世界と世界樹編

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第11話 修復者の仕事は、戦うことじゃない

第11話 修復者の仕事は、戦うことじゃない


 翌朝。


 俺は村の外れにある畑にいた。


「……なんで俺が畑仕事をしてるんだ?」


 昨日、魔物を救った。


 魔王軍の話を聞いた。


 世界樹の異常も見つけた。


 それなのに。


 今やっているのは、壊れた農具の修理だった。


「修復者なんだから、これくらいできるだろ」


 村長に言われた。


 まあ、確かにできる。


 壊れた鍬を手に取る。


 刃の部分が欠けている。


 能力を使う。


 頭の中に、いつもの感覚が広がった。


 どこが壊れているのか。


 どの程度壊れているのか。


 そして――どう直せばいいのか。


 光が走る。


 鍬が元通りになる。


「おお……」


 農夫が驚いた。


「これなら、まだ使える」


「……便利だな」


 俺は鍬を眺めた。


 すると、別の農具が持ち込まれる。


 壊れた荷車。


 割れた桶。


 欠けた鍋。


「ちょっと待って」


「修復者なんだろ?」


「いや、そうだけど……」


 次から次へと仕事が増えていく。


 俺はため息をついた。


「俺、異世界に来てまで修理屋やるのかよ……」


 だが。


 嫌ではなかった。


 むしろ。


 少し懐かしい気分になった。


 壊れたものを見て。


 原因を探して。


 直す。


 元の世界でやってきたことと、何も変わらない。


 ただ一つ違うのは。


 ここでは、魔法で直せるということだった。


 昼過ぎ。


 村の子供が俺のところへやってきた。


「お兄ちゃん」


「ん?」


「これも直せる?」


 差し出されたのは、木でできた小さな人形だった。


 腕が折れている。


「もちろん」


 俺は笑った。


 人形を修復する。


 折れた腕が元に戻る。


 子供が目を輝かせた。


「すごい!」


 その笑顔を見て。


 俺は少しだけ思った。


 悪くない。


 勇者じゃなくても。


 英雄じゃなくても。


 こういうことなら。


 できるかもしれない。


 その時だった。


 頭の奥に、突然違和感が走った。


「……?」


 村の外。


 世界樹の方向。


 何かがおかしい。


 俺は立ち上がった。


「まただ……」


 工場でも。


 世界樹でも。


 同じ感覚。


 異常が近くにある。



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