第7節
「何の用だラービー。君は宝さがしに行くんだろ。急いでいるなら早く出発したほうがいい。鰹節の件はもういいぞ」
「それはお前のせいだ! いや違うんだ。その、お前たちに協力してもらいたいと思って、俺はここにいる」
「お断りだ!」
私は唾液を撒き散らす。
「お前の場合、食料を落とした前科があるだろ。そして虎太郎はその強靭な顎と水を移動できる利点がある。人間は陸を移動するし、川を下ったほうが海に出るのは早いって長老様もいってた」
「しょうがないけれど私が本当に海までの道を教えるから、そっちにしなさい。君なら上手く逃げられる」「保証はないだろ。お宝を見つけたら、分けてやるよ!」
「そんなものはないよ」
「そのお宝ってザリガニとかかな」
虎太郎が呑気な声でいった。
「そもそも浜辺にあるなんて嘘くさいだろ」
「長老様が埋めたんだ。すごいものに決まってる」
「猿にとっては、かもしれん」
ラービーが一歩踏み出した。
「僕はさっきの経験で思い知った。宝探しには仲間が必要だ。助け合う仲間が! 人質にしたのは謝る。あとでたらふく鰹節をごちそうしてやるから」
「結局それで釣るのか」
ラービーは私ばかりでは埒があかないと思ったのか、虎太郎に視線を移す。
「虎太郎は協力してくれるよな」
「わ、わかったよ」
「なんだって!?」
「だ、だってザリガニ……」
「いつのまに宝箱の中身が甲殻種になったんだ」
「カフカ、お前はどうする。冒険だぞ。雄なら一度は憧れた響きだろう!」
「ぼ、ぼうけん……」
私の意志とは裏腹に、昔の血がたぎってきた。
身体は正直というやつだろうか。
「カフカお願いだ。僕たちだけじゃ不安だよ」
君はいつのまにそっち側についたんだとツッコみたくなるのを押さえて、私は不本意ながらも、暫し黙考した。
寸秒後、
「……わかった」
と、私は呟いていた。
気がつけばコイの大群は消えている。
「よし! ならさっそく出発だ!」
ラービーが毛むくじゃらの腕を振り上げた。




