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第5節
「飛び乗れ!」
コイの群れをかき分けて私の足元へ近づいてきたのは、デコボコの表面を持つ甲羅だった。
その一歩先には巨大な頭部があり、私に視線を投げている。
「いいタイミングだ虎太郎!」
私は後ろ脚を筏に付けると、力を振り絞って甲羅の上に飛び乗った。
「さすがの身体能力だ、カフカ」
渋く鈍重なその声は水しぶきの雑音をもろともしない。
「悪いが、彼も、助けてくれ」
見れば甲羅の面積はとてつもなく広かった。
しばらく見ない間に頑丈な甲羅は数メートルに増えている。
そんなワニガメの虎太郎は、はいよと呟くと、強靭な力を持つ顎を開いて、コイたちを威嚇していく。
そうして黒い大群の中に道ができ、私は筏にしがみ付いているラービーと目があった。
「早くこっちへ来い!」
ラービーはすかさず立ち上がる。
タイミングを見計らい、綺麗な動作でこちらへジャンプした。
「ッッ!」
ラービーの重さで甲羅全体が浅く水に沈むが、虎太郎はすぐに持ち直すと、水中を猛進する。
「落ちるなよお前らァ!」
私は顔に強い風を受けながらも、近づく岸辺を視界にとらえて、ほっと息をついた。




