doing beetween No.005 最終話
恒久登録まであと1日。
鉄平は党う画面の前に座り、一晩中何も食べず、キーボードの上を指がさまよう。
「○○支持します」これを打てば、総てがリセットされるかもしれない。
でも何かが変だ。どうしても変だ。けど、俺には何も変えられる手段はないのだ。
その言葉を直接主張するべきか、でも、投稿した瞬間、「制度批判派」として新たに分類され、別の相属が始まるのだろうか?
主張の罠だ。
朝が来た。窓から差し込む光が部屋を白く染める。鉄平はスマホの電源を切りテーブルに置いた。
ーーーもう、何もしないーーー
恒久登録の日、ポストに最後の封筒が届いた。
最終登録通知
貴殿による最終上書き表明の確認ができなかった為、
「○○反対(積極的反対派)」を恒久登録としました。
適用開始:即時
・社会的信用情報 :反対派として共有
・SNS自動タグ :#反対派 /#有並
・二次相属 :家族・同居人
あなたは、明確な「立場」を持つ者となりました。
社会言論相続機構
鉄平は通知を読んだ後、焼却した。
スマホの電源を入れると、受信音が、鳴りやまなかった。
"鉄平、おめでとう・やったね!・すっきりした・よかったね・・・・"
全てが終わったように見えた。
変わらないのは、自分の胸の奥の空白。
主張を強いられ、立場を押し付けられ、沈黙さえ奪われた今、何も決めていない自分がいる。
誰にも所属しない、誰にも解釈されない、小さな小さな消えないクウハク。
世間ではSNSの波が更に拍車がかかった。
新しい「相属」が別の誰かに始まっている。
ーーー主張を持たない選択は、許されないのかもしれないーーー
持たないままでいることが、できるのか?それが最後の誰にも奪えない精一杯の抵抗だった。




