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【第2の厄災完結】世界崩壊後、日常生活スキルで俺が最強拠点を作ってしまった件  作者: ナマケモノ


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87/120

見えない支配と潜入作戦

第87話です。宜しくお願いします。


 犬飼から聞いた情報を、俺は会議室で皆に共有した。

 ただし、すべてを一から細かく話すことはしなかった。

 犬飼がここまで来て説明した内容だけでも、十分に重い。

 さらに隊長、副隊長のスキルを一つ一つ長々と説明していけば、話し合いの焦点がぼやける。

 だから俺は、重要な部分を整理するように伝えた。

「まず、強襲隊隊長の凛堂。スキルは《日光浴》。太陽を浴びた時間で身体能力を上げる。蓄積もできる。正面戦闘ならSPМ内でも最強クラスだ」

 陸斗が静かに頷く。

「スケルトンキング戦でも、かなりの戦闘力でしたね」

「あぁ。敵に回ると厄介どころじゃない」

 俺は続ける。

「強襲隊副隊長の柿原。スキルは《聖火》。火をつけた武器や道具に、無限に火を灯せる。火縄銃の連射、火炎瓶による広範囲攻撃が得意だ」

「市街地で暴れられたら最悪ね」

 未来が顔をしかめる。

「そうだな。火災が起きれば避難民にも被害が出る」

 次に、少しだけ言葉を選んだ。

「戦術隊隊長、門脇。スキルは《ガチャカプセル》。カプセルを当てた対象を縮めて閉じ込める。内側からは壊せないが、外側からなら壊せる」

 門脇の名前を出した瞬間、犬飼の表情が苦しそうに歪んだ。

 それを見て、俺は一瞬だけ言葉を止める。

 門脇は、犬飼にとって上司であり、尊敬する人物だ。

 その相手を敵として考えなければならない。

 それがどれだけきついかは、俺にも分かる。

 でも今は、そこから目を逸らすわけにはいかない。

「次に影撃隊隊長、影山駿。スキルは《影法師》。生物の影に入り込んだり、影を切り取って操作したりできる」

 コン太が耳をぴくりと動かした。

「影に入るコン……?」

「あぁ。だから、どこから来るか分からない」

「怖いコン……」

 俺も同感だった。

 影を使う相手は、想像以上に厄介だ。

 普通の攻撃とは違う。

 視界の外から来る。

 足元から来る。

 こちらが安全だと思っている場所が、安全ではなくなる。

「影撃隊副隊長、影山潤。影山駿の双子の弟だ。スキルは《雨宿り》。対象の上に屋根を出し、その周囲に身体を溶かす酸性雨を降らせる。屋根から出れば雨に当たる。つまり、拘束と攻撃を兼ねたスキルだ」

「それ、相当嫌ですね」

 陸斗が眉をひそめた。

「影で押し出されたら、酸性雨に当たるということですか」

「そうらしい」

「防御が間に合えばいいですが……初見で受けるのは危険ですね」

「だから知っておく必要がある」

 俺はそこで少し息を吐いた。

「支援隊隊長、世良芽衣。スキルは《美魔女》。対象の自己免疫力や潜在能力を上げる。身体能力強化もできる。凛堂みたいな前衛にかけられると厄介だ」

 芹沢が少し嫌そうな顔をする。

「美魔女って名前はちょっと気になるけどぉ……敵の強化役ってことよねぇ」

「あぁ」

「じゃあ、できれば早めに無力化したいわねぇ」

 普段なら語尾に甘さを混ぜてくる芹沢だが、今はかなり真面目だった。

「支援隊副隊長、安藤桃香。スキルは《診察》。対象の体内や怪我、病気の状態を見抜いて、治療法を判断できる。医療経験もあるらしい」

 浮田が腕を組む。

「診察特化か」

「あぁ。お前とは違うタイプだな」

「敵に回れば向こうの回復役か。面倒だな」

「そういうことだ」

 そして、問題の名前を出す。

「特殊隊隊長、桜井晴彦」

 会議室の空気が、わずかに重くなる。

「スキルは不明。犬飼も知らない。使ったところを見たこともない。普段どんな任務をしているかも分からない」

 阿川が眉をひそめた。

「それで隊長なのか?」

「そこが一番おかしい」

 俺は頷く。

「しかも、犬飼も今までそのことを深く疑問に思っていなかった」

 犬飼が俯く。

「……すみません」

「責めてるわけじゃない」

 俺は言う。

「むしろ、それがおかしいんだ」

「どういう意味?」

 美咲が不安そうに聞いてくる。

「普通なら疑問に思うだろ。スキルも任務も不明なやつが隊長にいる。なのに誰も疑問に思わない。犬飼ですら、今までそのことを深く考えていなかった」

 俺はそこで一拍置いた。

「つまり、桜井の影響は、今回の会議だけで始まったわけじゃない可能性がある」

 会議室が静かになった。

 未来が小さく息を呑む。

「前から……?」

「可能性だけどな」

 ルドルフが静かに頷いた。

「認識への干渉、あるいは疑問を持たせない効果があった可能性ですね」

「そうだ」

 俺はルドルフを見る。

「桜井が何かを隠していたんじゃない。周りが“隠されていることに気づけない”ようにされていた可能性がある」

 コン太が耳を伏せる。

「それ、すごく怖いコン……」

「俺もそう思う」

 最後に、もう一人。

「特殊隊副隊長、佐々木金次郎。スキルは《幽体離脱》。自分を霊体化させられる。霊体化中は物に触れないらしいが、物理攻撃を避けることはできるかもしれない。偵察や潜入向きだ」

「特殊隊は情報が薄すぎるな」

 色谷が真剣な顔で言った。

「隊長も副隊長も、正面から戦うタイプじゃなさそうなのが逆に怖い」

「その通りだ」

 俺は頷く。

「俺たちが警戒すべきなのは、凛堂や柿原みたいな分かりやすい戦闘力だけじゃない」

「桜井が何をしてくるか分からないことだ」

 そう言うと、皆がそれぞれ考え込んだ。

 正面から戦えば、こちらにも勝ち筋はある。

 陸斗の防御と火力。

 未来の動植物愛護。

 チャン爺の近接戦闘。

 色谷の範囲拘束。

 阿川の配管工。

 俺の派遣スキル。

 こちらにも手札はある。

 だが、桜井の支配条件が分からないまま真正面から乗り込むのは危険すぎる。

 もし一度見ただけで操られるなら?

 声を聞いただけで認識を書き換えられるなら?

 会話しただけで支配されるなら?

 あるいは、すでに相手の支配下にある者を通して、間接的に効果が及ぶなら?

 考えれば考えるほど、危険な可能性はいくらでも出てくる。


 ◇


「十中八九、SPМとの衝突は避けられない」

 俺は言った。

「今言った隊長、副隊長たちとは戦闘になる可能性が高い」

 空気が引き締まる。

「だが、一番の問題は桜井だ」

 陸斗が静かに口を開いた。

「やはり、何かで操っているんでしょうか?」

「俺はその可能性が高いと思ってる」

「でも、操ると言っても色々ありますよね」

「あぁ」

 すると芹沢が腕を組みながら言った。

「もしかしたらぁ、最初からヤバい集団だったんじゃないの?」

 未来がすぐに首を横に振る。

「でも、それなら犬飼が嘘をついてることになるじゃない」

「んー、犬飼ちゃん本人が嘘をついてないだけで、SPМの実態を見誤ってた可能性はあるかもよぉ?」

 芹沢の言葉に、犬飼が苦しそうに顔を伏せた。

 俺はすぐに口を挟む。

「その可能性もゼロじゃない」

 犬飼が顔を上げる。

「でも、俺はそれだけじゃ説明できないと思ってる」

 浮田も頷いた。

「真実の口では、犬飼が見たことや感じたことに嘘はなかった」

 ルドルフが続ける。

「ただし、犬飼様が認識している範囲での真実です」

「本人が知らない領域までは保証できません」

 コン太が小さく呟く。

「本人も知らないうちに使われてるって怖いコン……」

「そういうことだ」

 俺は頷いた。

「だからこそ、桜井のスキルを正確に知る必要がある」

 でも、それは簡単ではない。

 桜井のスキルは不明。

 しかも、桜井自身に接触することが危険な可能性がある。

 だったら、どうするか。

 俺は皆を見渡した。

「桜井のスキルにも、必ず弱点や条件があるはずだ」

 陸斗が俺を見る。

「例えば?」

「例えば、相手を操るスキルだったとしても、直接目を合わせる必要があるのかもしれない」

 俺は指を折るようにして考えを口にする。

「声を聞かせる必要があるのかもしれない」

「一定時間会話しないといけないのかもしれない」

「対象が警戒していない状態じゃないと効かないのかもしれない」

「一度に操れる人数に制限があるのかもしれない」

「すでに操った相手を使って、間接的に認識を変えていくタイプかもしれない」

 未来が眉をひそめる。

「どれもありそうなのが嫌ね……」

「あぁ」

 俺は頷く。

「ただ、どんな強力なスキルにも条件はある」

 これは、今までの戦いで分かってきたことだ。

 万能に見えるスキルでも、必ず何かしらの制限がある。

 例えば陸斗の手遊びも、準備が必要だったり、使い方に段階がある。

 未来の動植物愛護も、図鑑に登録する必要がある。

 阿川の配管工も、行ったことのある場所にしか繋げられない。

 コン太の化けぎつねも、見たことのあるものしか登録できず、変身時間とクールタイムがある。

 桜井だけが完全無欠ということはないはずだ。

「分からない以上、真正面から大人数で乗り込むのは危険だ」

 俺は言った。

「もし一度に全員操られたら終わりだからな」

 美咲の顔が青くなる。

「そんなの……」

「だから、今回は人数を絞る」

 会議室の空気が変わった。

「慎重に内部へ潜入し、桜井を捕獲する作戦を立てる」

 芹沢が少し目を細める。

「捕獲なのねぇ。倒すんじゃなくて?」

「今の段階ではな」

 俺は答えた。

「桜井を倒せば全部解除されるのか、それとも逆に悪化するのかも分からない」

「操っているなら、桜井本人から条件を聞き出す必要がある」

 ルドルフが頷く。

「真実の口を使えば、情報を引き出せる可能性があります」

「そうだ」

「ただし、桜井に真実の口が通じるかどうかも分からない」

「それでも、捕まえなければ始まらない」

 阿川が腕を組む。

「潜入なら俺の配管工を使うのか?」

「あぁ。ただし、お前のスキルは行ったことのある場所にしか繋げられない」

「そうだな」

「だから犬飼の案内が必要になる」

 犬飼はすぐに頷いた。

「やるよ」

 浮田が眉をひそめる。

「お前、まだ体力戻ってねぇだろ」

「明日までには戻す」

「気合いで戻るもんじゃねぇんだよ」

「でも、俺が行かないと中の構造が分からない」

 犬飼の目は真剣だった。

「あんたらしか頼れる人がいないんだ」

「俺が案内する」

 浮田はしばらく犬飼を睨んでいたが、やがてため息を吐いた。

「……明日の朝の状態を見て判断する」

「ありがとう」


 ◇


 俺は地図を広げた。

 犬飼が覚えているSPМ本部と周辺区域の構造を、できる限り書き出していく。

 ここからの話し合いは、より具体的なものになっていった。

 どこから入るか。

 どのルートを避けるか。

 どこに人が多いか。

 隊長室や特殊隊の部屋はどこか。

 もし凛堂や門脇たちに見つかった場合、どうやって足止めするか。

 阿川の配管工をどこで使うか。

 未来のカラスをどう飛ばすか。

 陸斗のバリアをどの場面で使うか。

 色谷のボウリング場で誰を拘束するか。

 チャン爺をどこに配置するか。

 俺の派遣スキルで、アルやソックス、セイコ、一葉たちをどう使うか。

 話し合いは、かなり細かい部分にまで及んだ。

 だが、その内容を大きく声に出しすぎることはしなかった。

 この作戦は、外に漏れてはいけない。

 桜井がどこまでこちらを読んでいるか分からない以上、必要以上に情報を残すことは避けるべきだった。

 だから俺たちは、言葉を選び、確認し、必要な部分だけを共有していった。

 やがて、出撃メンバーが決まった。

 俺。

 陸斗。

 未来。

 チャン爺。

 阿川。

 色谷。

 犬飼。

 この七人だ。

 浮田は医務室と東京の防衛のために残る。

 ルドルフも真実の口を使うため、東京に残す。

 一葉、二葉、三葉も中央会館と美咲の護衛、そして緊急時の対応のために残す。

 芹沢のラブレターは強力だが、今回は潜入人数を絞る必要がある。

 コン太も当然、留守番だ。

「オイラも行きたいコン!」

 予想通り、コン太はすぐに声を上げた。

 俺は首を横に振る。

「今回は駄目だ」

「何でコン!」

「相手が何をしてくるか分からないからだ」

 コン太は悔しそうに耳を伏せる。

「でも、オイラ匂いで気づけるコン」

「それは分かってる」

 実際、コン太の嗅覚はかなり有用だ。

 恭太の透明人間にも気づいた。

 でも、今回の相手は危険度が違う。

「ただ、桜井の能力が分からない以上、むやみに連れていけない」

「コン太が操られたりしたら困る」

「……操られるコン?」

「その可能性がある」

 コン太は一瞬、想像したのか小さく震えた。

「それは嫌だコン……」

「だから留守番だ」

「……分かったコン」

 渋々だったが、コン太は頷いた。

 美咲も少し不安そうに俺を見る。

「お兄ちゃん……大丈夫?」

「あぁ」

 俺はできるだけ落ち着いた声で答えた。

「正面から無理に戦いに行くわけじゃない」

「桜井を捕まえることを優先する」

「でも、危ないんでしょ?」

「危なくないとは言えない」

 美咲の表情が曇る。

 だから俺は、少しだけ笑って言った。

「でも、危ないから何もしないわけにはいかない」

「……うん」

 美咲は小さく頷いた。

「無事に帰ってきてね」

「あぁ。必ず」

 会議は夜遅くまで続いた。

 細かい確認を終え、全員で医務室へ向かい寝ていた犬飼を起こして、今日の会議を共有した。

 そして、俺は皆を見渡した。

「今回、相手はSPМだ」

「今までのモンスターとは違う」

「相手は人間で、しかも俺たちと関わりのある奴らもいる」

 犬飼が俯く。

 だが、俺は続けた。

「だからこそ、できる限り殺さずに止める」

「操られているなら助ける」

「避難民も救う」

「そして桜井を捕まえる」

 陸斗が静かに頷いた。

「分かりました」

 未来も真剣な顔で言う。

「索敵は任せて」

 チャン爺は静かに一礼する。

「坊ちゃまの御身は、必ずお守りいたします」

 阿川は短く言う。

「道は作る」

 色谷は拳を握った。

「俺もできることをやる」

 犬飼は、震える手を握りしめていた。

「俺が案内する」

「門脇さんたちを……絶対に助けたい」

 俺は頷いた。

「明日、出発する」

 その言葉で、会議は終わった。


 ◇


 各自が準備へ向かう中、俺は少しだけ会議室に残った。

 窓の外には、夜の東京が広がっている。

 明かりが灯るビル。

 走る車。

 遠くで聞こえる電車の音。

 俺たちが取り戻してきた日常。

 その外で、SPМは壊れ始めている。

 いや、もう壊れてしまったのかもしれない。

 桜井が何を狙っているのかは分からない。

 犬飼を逃がしたのが罠なら、俺たちは明日、その罠の中へ足を踏み入れることになる。

 それでも。

 見捨てるという選択肢はなかった。

「……やるしかないな」

 小さく呟く。


 ◇


 翌朝。

 犬飼は浮田の診察を受けた上で、何とか同行を許された。

 顔色はまだ少し悪いが、昨日よりはかなり戻っている。

 浮田は最後まで不満そうだった。

「無理したら強制送還するからな」

「分かってる」

「本当に分かってるんだろうな?」

「分かってるって……」

 犬飼が少しだけ苦笑する。

 それでも、目には覚悟があった。

 中央会館の前に、出撃メンバーが集まる。

 陸斗は静かに手を開閉し、集中している。

 未来の肩にはカラスが一羽とまっていた。

 チャン爺は杖を手に、いつも通り静かに立っている。

 阿川は無言で周囲を確認している。

 色谷は少し緊張しているようだったが、表情は引き締まっていた。

 犬飼はSPМのある方角を見ている。

 そして俺は、皆を見渡した。

 美咲、浮田、ルドルフ、芹沢、コン太、一葉、二葉、三葉。

 残る者たちも、こちらを見ている。

「気をつけてね」

 美咲が言う。

「あぁ」

「無理しないでよぉ、悠ちん」

 芹沢が珍しく少し真面目な声で言った。

「分かってる」

「悠真、絶対帰ってくるコン」

 コン太が耳を立てて言う。

「約束だコン」

「分かった。約束する」

 俺はそう答え、前を向いた。

 罠だとしても、行く。

 避難民を助ける。

 門脇たちを助ける。

 SPМの内部崩壊を止める。

 そのために。

「行くぞ」

 俺は静かに告げた。

「SPМを止める」

 こうして俺たちは、見えない支配が待つ場所へ向かうことになった。

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危機意識の欠如が酷い。 職業レベルLV7で東京全土行けるならLV10以上にしテリトリーを広げ罠を罠とさせない等 やれる事をしない考えない忠告しない。 ストーリーありきの気持ち悪さが拉致事件以降表面化し…
ちょっと前に水晶玉という今のミッションに最適な看破スキル持ちが現れたというのに浮田忘却したのか?支配系スキル持ちかもしれない相手の居る場所に潜入一択は流石に脳筋馬鹿じゃねえのかな…。
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