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世界崩壊後、日常生活スキルで俺が最強拠点を作ってしまった件  作者: ナマケモノ


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44/170

終わらない死

第44話です。宜しくお願い致します。


 骨が、また立ち上がる。

 さっきまで確かに砕け散っていたはずの白い巨体が、地面に散らばった破片を引き寄せるようにして、ゆっくりと元の形へ戻っていく。

 ガチャ……ガチャ……ガチャ……

 骨と骨が噛み合う音が、嫌に耳に残る。

「……またかよ……」

 思わず声が漏れた。

 もう何度目か分からない。

 倒した。

 確かに倒した。


 頭を砕こうが、胸を吹き飛ばそうが、全身をバラバラにしようが――結局こうして、また立ち上がる。


 その光景は、もはや戦闘というより悪夢に近かった。


 ◇


 周囲を見渡す。

 街の外縁は、完全に戦場と化していた。

 地面には無数の骨片が転がり、抉れた道路の上を10メートル級のスケルトンキングたちが闊歩している。

 Aランクモンスター。

 しかも30体。

 それが今、俺たちを押し潰そうとしている。

(……何回壊した……?)

 俺は歯を食いしばる。

 未来のシャドウウルフが足に噛みつき、陸斗の光線が巨体を撃ち抜き、凛堂が拳で頭蓋を砕き、柿原が炎で焼く。

 それでも終わらない。

 壊しても、壊しても、終わらない。

(……弱点じゃない)

 胸を砕いても駄目だった。

 頭を吹き飛ばしても駄目だった。

 完全に粉砕しても、骨が集まって戻ってくる。

(じゃあ何だ……?)

 考えている暇はない。

 目の前の一体が、大剣を振り上げた。

「来るぞ!!」

 俺が叫ぶと同時に、その斬撃が地面を叩き割った。


 ◇


 ――轟音。


 衝撃波。

 警備隊二体が吹き飛ぶ。

「修復!」

 即座にスキルを発動する。

 砕けた装甲が、0.7秒で元に戻る。

 今の俺にできることは、前に出て殴ることじゃない。

 場を持たせることだ。

 この戦場そのものを、俺の側に引き寄せることだ。

「警備隊、前列維持! アル、左を抑えろ! ソックスはその援護!」

「ヒャッハァァ!! 任せろォ!!」

「……了解です」

 10体分の戦力が、即座に動く。


 だが――それでも、足りない。


 そんな感覚がもうずっと付きまとっていた。


 ◇


「陸斗!」

「はい!」

 陸斗が一歩前へ出る。

 その表情は、相変わらず落ち着いていた。

 こんな状況でも、あいつはブレない。

「バリア」

 薄い光の膜が展開される。

 そのまま間を置かず、

「準備」

 光が収束する。

 そして、ほんの刹那の後。

「光線!」

 十本。

 十本の光が、空間を裂いた。

 左に五本。

 右に五本。

 集中された光線が、二体のスケルトンキングを同時に貫く。

 ズガァァァァァン!!!

 骨の巨体が吹き飛ぶ。

 肋骨も、背骨も、腕も、脚も、まとめて砕け散る。

 完全な破壊。

 見ていて気持ちいいくらいの火力だ。

「……よし」

 俺は思わず呟く。

 だが、次の瞬間にはその感情が消えた。

 地面に散らばった骨が、また動き出したからだ。

「……っ」

 陸斗も、わずかに目を見開く。

 骨が地面を這い、空中に浮き、元の位置へ戻っていく。

 再生。

 再構築。

 そして再び、王の姿になる。

「……またですか……」

 陸斗の声は静かだったが、その中には明らかな困惑が混じっていた。

「一回じゃ足りないってことか……」

 俺は低く呟く。

 だが、その“一回じゃ足りない”の意味が、まだ分からない。

 何回だ?

 どういう条件だ?

 何か法則があるのか?

 考えようとするたび、答えは霧の中へ消える。


 ◇


「未来!」

「うん!」

 未来が前に出る。

 その背後には、強化されたシャドウウルフが並んでいた。

「行って!」

 群れが走る。

 骨の脚へ噛みつく。

 関節を狙う。

 引き倒すように、絡みつくように。

 未来の戦い方は、派手ではない。

 だが、戦況そのものを変える力がある。

「足は止められる!」

 未来が叫ぶ。

「でも……!」

 次の瞬間、スケルトンキングの脚がバラけた。

 骨が意志を持ったみたいに、一時的に分離し、シャドウウルフの拘束をすり抜ける。

「……は!?」

 未来の声が裏返る。

 そしてすぐに、骨がまた元の形へ戻る。

「嘘でしょ……!」

 未来が歯を食いしばる。

 俺も同じ気持ちだった。

 普通の敵じゃない。

 ほんの一瞬でも“止まった”と思ったら、その認識ごと裏切ってくる。


 ◇


 その時。

「どけ!!」

 凛堂の怒鳴り声が響いた。

 次の瞬間、凛堂が真正面からスケルトンキングに飛び込む。

「充電完了ダァァァ!!」

 拳が、唸る。

 ドォォォン!!!

 顔面に叩き込まれた一撃で、頭蓋骨が爆ぜる。

 そのまま二撃、三撃。

 首。

 胸骨。

 肩。

 凛堂は完全に“破壊するための生き物”みたいな動きをしていた。

 無駄がないとか、綺麗だとか、そういう次元じゃない。

 ただ、強い。

 ただ、怖い。

 だが、それが今は頼もしかった。

「まだ立つのかよォ!!」

 凛堂が叫ぶ。

 崩れた骨に向かってさらに蹴りを叩き込む。

 その隣では、柿原が火縄銃を連射していた。

「みんなで繋いだ火は消えねぇ!!」

 バンッ! バンッ! バンッ!

 炎をまとった弾丸が次々に骨へ撃ち込まれる。

 さらに火炎瓶。

 着弾と同時に炎が広がり、スケルトンキングの全身を包む。

「そのまま燃え尽きろ!!」

 炎の中で骨が崩れる。

 焼け落ちる。

 炭のように黒く変色する。


 ――だが。 


「……はぁ!?」

 柿原の顔が歪む。

 燃え落ちたはずの骨が、また集まり始めた。

「燃やしてもダメかよ……!」

 俺はその光景を見ながら、嫌な汗が背中を流れるのを感じていた。

 凛堂が壊す。

 柿原が焼く。

 それでも復活する。


 だったら――


(何が足りない……?)

 答えが見えない。

 見えないまま、戦いだけが進んでいく。


 ◇


「門脇さん!!」

 戦術隊の隊員が押される。

 一体のスケルトンキングが暴れ、隊列を崩しにかかっていた。

 その前に、門脇が出る。

「……少し黙ってろ」

 相変わらず、気負いのない声だった。

 だが、次の瞬間。 


「――“ガチャカプセル”」


 空中に、巨大な透明カプセルが出現する。

 カチッ、という軽い音。

 そしてそのまま高速で射出。


 直撃した瞬間――スケルトンキングの巨体が歪んだ。


 骨がきしむ。

 空間ごと畳まれるように、縮んでいく。


 そして――ボンッ!


 10メートルの巨体が、手のひらサイズのカプセルの中に閉じ込められていた。

 門脇は、軽くカプセルを指で弾いた。

 コツン、と乾いた音。

 その時、犬飼が飛び出した。

 腕を獣のそれへと変える。

 筋肉が膨らみ、爪が伸びる。

 そのまま、カプセルめがけて全力で叩き込む。

 ドガァァァン!!!

 カプセルの中で、閉じ込められていたスケルトンキングが粉砕される。

 犬飼が着地しながら叫ぶ。

「これで一回分は削れます!!」

 一回分。

 その言い方が、妙に引っかかった。

 だが今は、その引っかかりを考えている余裕がない。


 ◇


「色谷!」

「おう!!」

 色谷が前に出る。


「――ボウリング場!!」


 地面に巨大なレーンが展開される。

 九体まで固定。

 スケルトンキングたちが、その場に縫い付けられるように止まった。

「ぶっ飛べぇぇぇ!!」

 巨大なボールが転がる。

 ドゴォォォォン!!!

 まとめて粉砕。

 派手に砕ける。

 綺麗に決まった。


 だが――


 やはり、骨はまた動き出す。

「……マジかよ」

 色谷の声が重くなる。

 爽やかな男の顔に、初めてはっきりと焦りが浮かんでいた。

「任せてぇ♡」

 その時、芹沢が一歩前に出た。

 妙に場違いなくらい甘い声。

 だが、今はその軽さが逆に頼もしい。


「――“ラブレター”」


 紙が現れる。

 それが、ひとりでに折り畳まれ、紙飛行機になる。

 対象は、スケルトンキング。

 飛ぶ。

 ふわり、と。

 そして、巨体へ吸い込まれるように突き刺さった。

「はい♡ 私のこと、愛してちょうだい♡」

 次の瞬間。

 スケルトンキングの動きが止まる。

 赤黒い眼の光が、一瞬揺らいだ。

「……入った!」

 俺が叫ぶ。

 芹沢が嬉しそうに笑う。

「ふふ♡ いい子ねぇ♡」

 そのまま操られたスケルトンキングが、別の個体に大剣を叩き込む。

 さらにもう一撃。

 仲間割れ。

 圧倒的な重量と威力で、二体をまとめて吹き飛ばす。

「おぉ……!」

 思わず声が漏れる。

 強い。

 めちゃくちゃ強い。

「そのまま暴れて♡ もっと♡」

 芹沢が指を振る。

 操られた王が、さらに別個体へと襲いかかる。


 ◇


 戦況が変わる。


 だが――


 それも長くは続かなかった。

「え、ちょっ……!」

 突然、操られていたスケルトンキングの動きが止まる。

 時間切れだ。

 そして次の瞬間。

 ギギギ……と首だけこちらを向いた。

「ちょっと待ってぇぇぇ!?♡」

 芹沢が叫ぶ。

 大剣が振り上がる。

 危ない。

 その瞬間、俺は叫んでいた。

「三葉!!」

「了解いたしました」

 三葉が前へ出る。

 感情のない、整った声。

 だが動きは速い。

 スケルトンキングの腕へ拳を叩き込み、軌道をずらす。

 ズドォン!!

 大剣が地面を砕く。

 その隙に一葉が爆弾を投擲、二葉が鉄球で押し返す。

「対象の制圧を実行いたします」

「排除を開始いたします」

「近接制圧に移行いたします」

 自我はない。

 だが、そのぶん迷いもない。

 三人はまるで一つの兵器みたいに、無駄なく動く。

 完璧に連携し、スケルトンキングを一度粉砕した。

 ……そして。

 また、蘇る。

 その光景を見て、俺は奥歯を噛んだ。

 芹沢が、珍しく本気で顔を引きつらせている。

 未来も、陸斗も、凛堂も、門脇も。

 みんな、同じ顔をしていた。

 これはもう、“ただ強い”じゃない。

 終わらない。

 削っても、壊しても、終わらない。

 それが一番、恐ろしかった。 


 ◇


 戦場の音が、変わっていた。

 さっきまでの“優勢”とか“押している”とか、そういう空気はもうない。


 今あるのは――ただの消耗戦だ。


「チャン爺!!」

「こちらにございます、坊ちゃま」

 振り向いた瞬間、チャン爺の姿が消えた。

 次の瞬間。

 スケルトンキングの背後に現れている。


 スッ――


 抜刀。

 無駄のない一閃。

 骨の頸椎を、正確に断ち切る。

 ガラガラと崩れる巨体。

 ……だが。

「……やはり、戻りますか」

 チャン爺は一歩引きながら、静かに呟く。

 斬っても意味がないと理解している。

 それでも、やらなければならないから斬る。

 そんな戦い方だ。


 その横で――


「クソがァァァ!!」

 凛堂が吠える。

 拳が唸る。

 ドォン!!

 ドォン!!

 ドォン!!

 何度も何度も叩き込む。

 骨を砕く。

 潰す。

 それでも。

「なんで終わんねぇんだよ!!」

 再生。

 復活。

 無限のループ。

 その光景に、凛堂ですら苛立ちを隠せていなかった。


 ◇


「下がれ!! 怪我してる奴は全部こっちだ!!」

 浮田の声が響く。

 戦場の後方。

 そこには“手術空間”が展開されていた。

 白い空間。

 血の匂い。

 だが、不思議と安心感がある場所。

「……くっ……」

 戦術隊の一人が倒れ込む。

 腕が完全に抉れている。

 普通なら即死だ。


 だが――


「オペ開始」

 浮田の目が変わる。

 次の瞬間。

 動きが一気に加速した。

 手術道具が宙に浮かぶ。

 切開。

 接続。

 再生。


 ――速い。


 異常な速さだ。

「……戻ったぞ」

 たった数分。

 それだけで、腕が元通りになっていた。

「な、なんで……」

 戦術隊の隊員が呆然とする。

「医者に敵も味方もねぇ」

 浮田は淡々と答える。


「俺が治療してる間は――全員、患者だ」


 その言葉に、強襲隊の連中が言葉を失う。

 だが、それを聞いている余裕もない。

「次来るぞ!!」

 俺が叫ぶ。

 また一体、こちらへ突っ込んできていた。


 ◇


「ヒャッハァァァァァ!! まだまだいけるぜェェェ!!」

 アルが笑いながら弾幕を張る。

 ドドドドドドド!!!

 骨が砕ける。

 削れる。

 吹き飛ぶ。

「……カバーします」

 ソックスが冷静に撃ち抜く。

 一発。

 一体の関節を破壊。

 動きを止める。

 連携。

 完璧だ。


 だが――


「……また再生か」

 ソックスの声が、わずかに沈む。

 アルも一瞬だけ笑みを止めた。

「……おいおい」

 そして、吐き捨てるように言う。

「これ、マジで終わんねぇのかよ」

 その言葉が、全員の心に重く刺さる。

 終わらない。

 終わりが見えない。

 それが一番キツい。

 時間の感覚が、狂ってくる。

 何体倒した?

 何回壊した?

 もう分からない。


 ◇


「未来!!」

「うん!!」

 未来が叫ぶ。

 シャドウウルフが突撃。

 噛みつく。

 押し倒す。


 だが――


 バラける。

 再構築。

「……止まらない……!」

 未来の声が震える。

 それでも止まらない。

 止まれない。

 その時だった。


「――ボウリング場!!」


 色谷が叫ぶ。

 再びレーン展開。

 複数体を固定。


「これで――終わりだァァァ!!」 


 全力投球。

 ドゴォォォォン!!!

 まとめて粉砕。

 完璧な一撃。

 だが。

 また、骨が動く。

「……嘘だろ……」

 色谷の声が、完全に重くなる。

 さっきまでの爽やかさは消えていた。

 ただの現実が、そこにあった。

「……はぁ……はぁ……」

 誰もが息を荒げていた。

 体力も。

 精神も。

 削られていく。

「……これ……どうやって倒すんだよ……」

 誰かが呟く。

 その言葉に、誰も答えられない。


 ◇


 その時だった。

「……まだ……」

 陸斗が、前に出た。

 静かに。

 だが確実に。

「まだ、やれます」

 目は死んでいない。


 むしろ――研ぎ澄まされている。


「準備」

 光が集まる。

「バリア」

 展開。

「光線」


 ――発射。


 十本。

 今までと同じ。

 だが、狙いが違った。

 同じ個体。

 同じスケルトンキングへ、集中。

 ズガァァァァァン!!!

 破壊。

 再生。

 もう一度。

「もう一回」

 準備。

 光線。

 破壊。

 再生。

「まだ……」

 三回目。

 四回目。

 五回目。 


 ――そして。


 六回目。

 ズガァァァァァン!!!

 完全破壊。

 骨が粉々に砕け散る。

 ……そして。

 動かない。

 誰も、息を止めた。

 数秒。


 数秒――。


 ……動かない。


 ◇


「……え?」

 未来が呟く。

 凛堂も、門脇も、全員がその一点を見る。

 骨が、戻らない。

「……倒した……?」

 誰かが言う。

 俺は、陸斗を見る。

 陸斗も、呆然としていた。

「……分かりません……」

 小さく呟く。

「でも……今の……」

 言葉が続かない。

 理由が分からない。

 だが。


 確実に――


「……一体、倒せた……」

 その事実だけが、そこにあった。

 だが。

 周囲には、まだ29体。

 変わらず、立っている。

 変わらず、こちらを見ている。

 変わらず、動き出している。

「……はは……」

 思わず笑いが漏れた。

「一体だけかよ……」

 絶望は、消えていない。


 むしろ――よりはっきりと形を持った。


 だが同時に。

 “終わり方のヒント”だけは、確かにそこにあった。

 俺はゆっくりと前を見る。

 まだ終わらない戦い。


 だが――


「……何かある」

 確信だけが、胸に残っていた。

先日1万PV達成致しました。

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― 新着の感想 ―
戦闘の記述があまりにもコピペだと緊張感がない 浮田も同じセリフ繰り返しててアホの子みたいだし
2026/07/10 16:14 通りますよ
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