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世界崩壊後、日常生活スキルで俺が最強拠点を作ってしまった件  作者: ナマケモノ


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43/167

王の軍勢

第43話です。宜しくお願いします。


 空に浮かんでいたカウントダウンが――0になる。


 その瞬間だった。

「……来るぞ」

 誰かが呟いたのと同時に、空間が、歪んだ。

 バキッ……!!

 まるでガラスが割れるような音が響く。

 だが、割れたのは“空”そのものだった。

 空中に、巨大な亀裂が走る。

 黒い裂け目。 


 そこから――


 ゴォォォォォォォォォ……

 低く、重い音が鳴り響く。

 地面が震える。

「……っ」

 足元が揺れる。

 建物が微かに軋む。

 今までのゲートとは、明らかに違う。

(規模が……段違いだ……)

 俺は無意識に息を呑んだ。

 裂け目の奥から、何かが動く。

 巨大な“影”。


 ゆっくりと――


 ゆっくりと――


 姿を現す。


 ◇


 まず見えたのは、腕だった。

 骨。

 だがただの骨じゃない。

 人間のそれとは比べ物にならないほど太く、長い。


 そして――


 ズンッ……!!

 地面に落ちる。

 衝撃で、砂埃が舞い上がる。

「……おい……」

 誰かが呟いた。

 いや、俺も同じ気持ちだった。

 次の瞬間。

 ズンッ!!

 ズンッ!!

 ズンッ!!

 次々と、巨大な影が地面に降り立つ。


 全部――同じだ。 


 骨の巨人。

 全長、10メートルはある。

 空洞の目に、赤黒い光が灯る。


 その手には――


 巨大な斧や剣。

 ゆっくりと首を動かし、こちらを見下ろす。

「……はは……」

 思わず、乾いた笑いが漏れた。

(これが……次のランクかよ……)

 俺は呟く。

 Aランクモンスター、スケルトンキングと画面には表示されていた。


 ざっと見ただけでも――


 数、30体。

「ふざけてるな……」

 だが、誰も逃げようとはしなかった。 


 ◇


 隣を見る。

 陸斗は、いつも通り落ち着いていた。

「……やるしかないですね」

「あぁ」

 未来も、小さく頷く。

「数、多いけど……いける」

 凛堂が前に出る。

「ハッ……面白ぇじゃねぇか」

 ニヤリと笑う。

 その瞬間。


「――日光浴」


 凛堂の体が、淡く光を帯びる。

 空から降り注ぐ光を、体に吸収しているかのように。

 空気が変わる。

 圧が、一気に上がる。

「……来いよ、デカブツども」


 次の瞬間――


 凛堂が消えた。

 いや、見えないだけだ。

 ズドォォォン!!!

 スケルトンキングの一体に、正面から拳を叩き込む。 


 巨体が――吹き飛ぶ。


「なっ……!?」

 俺は思わず声を上げた。

 10メートルの化け物が、殴り飛ばされた。

「チンタラしてんじゃねぇぞ!!」

 凛堂が叫ぶ。

 それを合図に、全員が動いた。


 ◇


「行きます!」

 陸斗が前に出る。


「準備――完了」 


 ほんの一瞬。

 だが、その間に空気が張り詰める。


「――光線」


 次の瞬間。

 10本の光が、一斉に放たれる。

 一直線じゃない。

 分かれる。

 散る。


 そして――


 それぞれが、別のスケルトンキングへと突き刺さる。

 ズガァァァァァン!!!

 爆発音。

 骨が砕ける音。

 巨体の胸部を、まとめて貫通。

「……よし!」

 陸斗が小さく息を吐く。


 だが――


 倒れない。

 体勢を崩しただけで、すぐに立て直す。

「……硬いな……」

 陸斗が呟く。

「未来!」

「うん!」

 未来が手をかざす。

「“動植物図鑑”」

 空間が歪む。


 現れるのは――


 シャドウウルフの群れ。

 それも一体じゃない。

 複数。

「強化!」

 次の瞬間、全個体の筋肉が膨れ上がる。

 空気が震える。

「行って!」

 一斉に突撃。

 スケルトンキングの脚へ食らいつく。

 関節。

 動きを止めるための攻撃。

「いい判断だ」

 門脇が小さく呟く。


 ◇


 その隣で、柿原が笑う。

「なら、こっちは派手にいくぞ!!」

 火縄銃を構える。


「――聖火」


 次の瞬間。

 銃口から、炎が噴き出す。

 バンッ!!

 バンッ!!

 バンッ!!

 撃たれた弾丸は、すべて“炎”をまとっている。

 スケルトンキングに命中。

 骨に火が移る。

 燃え上がる。

「燃えろォォ!!」


 だが――


「……チッ」

 完全には効いていない。

 焼けるが、崩れない。

「しぶといな……!」

 その時だった。

 ドンッ!!!

 地面を叩きつける音。

 スケルトンキングの一体が、大剣を振り下ろす。

 強襲隊の隊員が弾き飛ばされる。

「ぐっ……!」

 そのまま地面に叩きつけられる。

「まずい……!」

 俺は即座に叫ぶ。

「警備、展開!」

 空間が揺れる。


 次の瞬間――


 8人の警備隊が一斉に現れる。

 無駄のない動き。

 無言。

 即座に隊員の前に割り込む。

 ドガァァァン!!

 斬撃を受け止める。

「……間に合ったか」


 さらに――


 すでに召喚していた2人。

「ヒャッハァァ!! 来た来たァ!!」

 アルが笑いながら前に出る。

「……カバーします」

 ソックスが冷静に構える。

 合計10人。

 前線を支える。

「……頼んだぞ」

 俺は小さく呟いた。 


 ◇


 前線は、完全に乱戦になっていた。

 10メートル級の巨体が暴れ回る。

 振り下ろされる斧。

 地面を砕く衝撃。


 強襲隊が踏ん張っているが――


「くそっ……止まらねぇ……!」

 一体が突進する。

 そのまま隊列を崩しにかかる。

 だが、その瞬間。

「……少し黙ってろ」

 低い声が響いた。

 門脇だった。

 前に出る。

 まるで、散歩でもしているかのような余裕。

「……あいつ……」

 俺は思わず目を細める。

 門脇は片手を上げた。 


「――“ガチャカプセル”」


 カチッ、と小さな音。


 次の瞬間――


 空中に、巨大なカプセルが出現した。

 透明な球体。

 中は空。 


 それが――


 ギュンッ!!

 ありえない速度で射出される。

 スケルトンキングへ直撃。

 ドンッ!!

 衝撃。

 だが、ただの衝撃じゃない。


 空間が――歪んだ。


「……!?」

 巨体が、縮む。

 押し潰されるように。

 骨がきしむ音。


 そして――


 ボンッ!!


 一瞬で、10メートルの巨体が――


 手のひらサイズのカプセルの中に収まっていた。


 ◇


「……は?」

 思考が止まる。

 未来が、ぽつりと呟いた。

「……え……?」

 陸斗も、珍しく言葉を失っている。

「今の……何ですか……?」

 俺は、目を見開いたまま呟く。

(……一瞬で……封じた……?)

 門脇は、そのカプセルを軽く指で弾いた。

 カラン、と乾いた音。

「便利だろ?」

 軽い口調。


 だが、その中で――


 スケルトンキングが暴れている。

 内側から叩く。

 ゴンッ……!

 ゴンッ……!

 カプセルが微かに震える。

「ただし万能じゃない」

 門脇が続ける。

「対象の大きさに上限がある」

 視線をこちらに向ける。


「それと――」


 カプセルを見せる。

「持続は3分」

 中の暴れ方が、徐々に強くなる。

「時間が来たら、元通りだ」

 未来が息を呑む。

「……完全に倒したわけじゃないんだ……」

「拘束だな」

 俺は小さく呟いた。

(だが……それでも十分すぎる……)

 戦況をひっくり返せるレベルだ。

 だが。


 それでも――


「……数が多すぎるな」

 俺は歯を食いしばる。

 まだ29体。

 いや、実質30体だ。


 ◇


「色谷!」

「任せろ!!」

 色谷が前に出る。


「――ボウリング場!!」


 地面に光のラインが走る。

 次の瞬間、巨大なレーンが展開される。

 スケルトンキングが巻き込まれる。

「固定だ!!」

 9体がその場に縛られる。

 動きが止まる。


 そして――


 ドゴォォォォン!!!

 色谷の放った巨大なボールが、スケルトンキングをまとめて薙ぎ払う。

 骨が砕ける。

 粉々になる。

「よし……!」

 誰もが、そう思った。


 ――だが。


 ガチャ……ガチャ……ガチャ……

「……は?」

 砕け散ったはずの骨が、勝手に動き出す。


 地面を這い、空中を漂い、互いに引き寄せられるように――


 集まる。

 組み上がる。

 そして。

 ズンッ……

 何事もなかったかのように、スケルトンキングが立ち上がった。

「……ふざけんなよ……」

 思わず声が漏れる。

 完全に破壊した。

 間違いなく“倒した”はずだった。


 なのに――


 復活した。


 ◇


「何でだ……?」

 俺は歯を食いしばる。

 視線を走らせる。

(どこかに……何かあるのか……?)

 頭の中で必死に考える。

 こういうのは、よくある。


 ゲームでも、アニメでも――


 ただ壊すだけじゃ倒せない敵。

 どこかに“核”がある。

 心臓。

 コア。

 弱点。

(……そういうタイプか……?)


 だが――


 どこだ?

 骨だらけの体。

 どこを見ても同じ。


 中心部も、頭部も、胸部も――


 さっき全部破壊した。

 それでも復活した。

(……分からねぇ……)

 嫌な汗が流れる。

 考えれば考えるほど、答えが見えない。


 そして――


 ズンッ……!!

 再び、スケルトンキングが武器を振り上げた。

「チッ……考えてる暇ねぇな……!」

 凛堂が前に出る。

 戦闘は、止まらない。


 だが――


 確実に、嫌な予感だけが残った。

(これ……)

(ただ倒すだけじゃ、終わらない……)

 俺は、拳を握る。

(……消耗戦になる……)


 ◇


 戦場は、さらに激しくなる。

 陸斗が光線を放つ。

 10本。

 一気に集中。

 ズガァァァァン!!

 一体を完全に粉砕。

「まだだ……!」

 未来がシャドウウルフをけしかける。

 脚を止める。

 関節を削る。

 凛堂が飛び込む。

「オラァァァァ!!」

 拳で頭部を粉砕。

 チャン爺が滑るように動く。

 関節を斬る。

 一葉、二葉、三葉が無言で連携。

 爆撃、叩き潰し、近接制圧。

 警備隊が前線を維持する。

 アルが笑いながら撃ちまくる。

 ソックスが冷静に仕留める。


 ――だが。


「ぐっ……!」

 強襲隊の一人が膝をつく。

 その瞬間。

「動くな」

 浮田が割って入る。 


「――手術空間」


 空間が展開される。

 その中で、治療が始まる。

 傷が塞がる。

 骨が戻る。

 SPМの隊員が、驚いた顔をする。

「……なんで助ける……?」

 浮田は、手を止めずに言った。

「医者に敵も味方もねぇよ」

「患者は全員、平等だ」

 その一言で。

 隊員は黙った。


 ◇


 それでも。

 状況は、悪い。

 数が減らない。

 削っても、戻る。

「チッ……」

 凛堂が苛立ちを隠さない。

「キリがねぇ……!」

 俺は空を見る。

 まだカウントダウンは動いている。

 終わりは見えない。

(これ……)

(長期戦になる……)

 そして


 もし――


 この先、さらに強いモンスターが来たら。

「……」

 俺は息を吐いた。

(今回でこれだぞ……?)

(次……耐えられるのか……?)

 戦いは、まだ終わらない。


 そして――


 空に浮かぶカウントダウンは、無情にも進み続けていた。

少し、分かりにくいと思うので今回の戦闘に参加している人をまとめておきます。


悠真、陸斗、未来、チャン爺、浮田、一葉、二葉、三葉、芹沢、色谷、アル、ソックス、凛堂隊長、柿原副隊長、門脇隊長、犬飼副隊長です。


読んで頂きありがとうございます!!

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