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世界崩壊後、日常生活スキルで俺が最強拠点を作ってしまった件  作者: ナマケモノ


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42/70

静寂の24時間、そして再び開く門

第42話です。宜しくお願い致します。

会議が終わった後、部屋の中は一気に静かになった。


 さっきまであれだけ真剣に話していたのに、今は誰も口を開かない。


 それぞれが、それぞれの考えを抱えたまま、少しだけ視線を落としている。


 俺も同じだった。


 頭の中では、さっきの戦いが何度も繰り返されている。


 ジャイアントオーガの動き。


 未来の拘束。


 陸斗の光線。


 凛堂たちとの連携。


 そして――あの空に浮かぶカウントダウン。


「……」


 窓の外に目を向ける。


 もう夜が近い。


 なのに、空にはあの数字が残ったままだ。


 72時間。


 そして、24時間。


 確実に減っている。


(時間がないな……)


 心の中で呟く。


 今回、なんとか勝てた。


 でも、それだけだ。


 “次”がある。


 しかも、今回より強い可能性が高い。


 だったらやることは一つしかない。


「……一旦、ここまでにしよう」


 俺は軽く息を吐いて言った。


「スキルポイントは各自振っておいてくれ」


「できるだけレベルは上げておく」


 全員が静かに頷く。


 細かい説明はしない。


 今はもう、全員が理解している。


 強くならないと、次はない。


「それと――」


 俺は一度言葉を区切る。


「時間までは、しっかり休む」


 視線を全員に向ける。


「無理しても意味がない」


「次は長くなるかもしれないからな」


 未来が小さく頷いた。


「うん」


 陸斗も真剣な顔で言う。


「はい、しっかり休みます」


 その声を聞いて、少しだけ安心する。


 焦りはある。


 でも、無理をして崩れる方が怖い。


「……じゃあ、一旦解散だ」


 その一言で、会議は終わった。


 俺は一人、外に出た。


 夜の空気は少し冷たい。


 さっきまでの戦闘の熱が、ようやく体から抜けていく。


 ゆっくりと息を吐く。


 そして、自然と視線は上へ向いた。


 ――カウントダウン。


 まだ、そこにある。


 無機質な数字。


 感情も、意思も感じない。


 なのに、確実に“何か”を告げている。


「……厄介だな」


 思わず口に出る。


 これは、ただのモンスターの出現じゃない。


 何かの“仕組み”だ。


 誰かが作ったのか。


 それとも、この世界そのものなのか。


 分からない。


 分からないけど――


「止まらないってのが、一番面倒だ」


 倒せば終わり、じゃない。


 むしろ、始まりに近い。


 そんな感覚がある。


 その時だった。


「……やっぱりここにいた」


 後ろから声がした。


 振り返ると、未来が立っていた。


 腕を組んで、俺を見ている。


「休まないの?」


「そのつもりだ」


 軽く肩をすくめる。


「その前に少しだけ頭を整理してるだけだ」


 未来は隣に来て、同じように空を見上げた。


「……不気味だね」


「あぁ」


 短く返す。


 しばらく、言葉は続かなかった。


 ただ、二人で同じものを見ていた。


 やがて、未来がぽつりと呟く。


「ねぇ」


「なんだ」


「……さっきの」


 一瞬だけ、言葉を選ぶような間。


「芹沢」


 あぁ、そこか。


(やっぱり来たか……)


「……あいつはああいう性格なんだろ」


「そういう問題じゃないと思うけど」


 即答だった。


 俺は苦笑する。


「気にするな」


「気にしてないけど」


「……いや気にしてるだろ」


 未来は一瞬だけ俺を睨んだが、すぐに視線を逸らした。


「……別に」


 分かりやすい。


 だが、それ以上は追わない。


 今はそれよりも大事なことがある。


「次、来るぞ」


 俺が言うと、未来の表情が変わった。


 さっきまでの柔らかさが消える。


「うん」


「だから――」


 一歩、前に出る。


「今回は、確実に止める」


 未来も頷いた。


「任せて」


 その一言に、迷いはなかった。


部屋に戻ると、少しだけ空気が柔らかくなっていた。


 さっきまでの張り詰めた感じが、少しだけ抜けている。


「悠真兄ちゃん!」


 美咲が駆け寄ってきた。


 その顔は、まだ少し不安そうだった。


「大丈夫か?」


 俺が聞くと、美咲は小さく頷く。


「……うん」


 でも、その声は少し弱い。


 無理もない。


 さっきの光景を見て、平気でいられる方がおかしい。


「怖かったか?」


「……ちょっと」


 正直な答えだった。


 その横で、陸斗が静かに言う。


「心配しなくても大丈夫だ!」


 美咲の頭にそっと手を置く。


「次も、お兄ちゃんが必ず守ってやる!」


 兄としてしっかり妹を元気づけようとしていた。


 その中にある覚悟は、前よりも強い。


「……うん」


 美咲は小さく笑った。


 少しだけ、安心した顔。


 それを見て、俺も少しだけ肩の力を抜く。


リビングの隅では、浮田が医療道具を確認していた。


 包帯、薬品、器具。


 一つ一つ、無駄のない動きでチェックしている。


「……忙しそうだな」


 声をかけると、浮田は顔を上げた。


「まぁな」


 短く答える。


「今回はこれで足りたが、次もそうとは限らん」


 その言葉は、現実的だった。


 戦いは、必ず傷を伴う。


 それがどれだけ増えるかは、分からない。


「医者にできることは限られてる」


「だが、その限られたことは確実にやる」


 そう言って、また手元に視線を戻す。


 その姿は、戦場の中の“もう一つの戦い”を感じさせた。


 その少し離れたところで――


「はぁ〜……疲れたぁ」


 芹沢がソファに寝転がっていた。


 さっきまでの緊張感はどこへやら、完全にリラックスしている。


「お前、切り替え早すぎだろ……」


 思わず言う。


「だってぇ♡」


 くるっとこちらを見る。


「ずっと気張ってたら疲れちゃうじゃん?」


 確かに、それは正しい。


 正しいんだが――


「悠ちんもさぁ、もうちょっと肩の力抜いた方がいいよ?」


 そう言って笑う。


「……その呼び方やめろ」


「え〜♡」


 全くやめる気がない。


 その横で、色谷が苦笑していた。


「まぁまぁ、いいじゃないか」


「戦う前に少しでも気を楽にするのは大事だ」


 こいつは本当にバランスがいい。


「それにしても――」


 色谷が軽く腕を回す。


「次は、もっと激しくなりそうだな」


「あぁ」


 俺は短く答える。


 その言葉に、全員が少しだけ静かになった。


 分かっている。


 次は、今回より確実に厳しい。


 だからこそ――


 今は、少しだけでも休む。


 その時間が、きっと必要になる。


その後、俺たちはそれぞれ自由に過ごすことにした。


 無理に集まる必要もない。


 今は、体と頭を休める方が優先だ。


俺は一度自分の部屋に戻り、ベッドに腰を下ろした。


 ……静かだ。


 ついさっきまで戦っていたとは思えないくらい、静かだった。


 目を閉じる。


 すぐに、さっきの戦いの光景が浮かんでくる。


 ジャイアントオーガの拳。


 地面の揺れ。


 未来の拘束。


 陸斗の光。


 凛堂の笑い声。


(……)


 考えすぎるな。


 頭の中で、そう言い聞かせる。


 今は休む時間だ。


 そう思って横になると、不思議とすぐに意識が落ちていった。


 目が覚めた時には、かなり時間が経っていた。


 体の重さが、ほとんど消えている。


 しっかり眠れたらしい。 


「……悪くないな」


 軽く肩を回す。


 問題なく動く。


 これなら、次もいける。


 時間は、あっという間に過ぎた。


 そして――


「……あと30分か」


 空を見上げながら呟く。


 カウントダウンは、確実に減っている。


 24時間が、もうすぐ終わる。


 その事実が、じわじわと現実味を帯びてきた。


「準備するか」


 俺が言うと、全員の表情が引き締まる。


 さっきまでの空気とは別物だ。


 武器の確認。


 装備のチェック。


 軽いストレッチ。


 誰も無駄な動きはしない。


 未来がこちらを見る。


「準備できた」


「あぁ」


 陸斗も、いつもの落ち着いた表情で言う。


「いつでもいけます」


浮田は静かに頷き、チャン爺は軽く背筋を伸ばした。


 色谷は拳を軽く握り、芹沢はいつもの笑顔を浮かべていた。


「じゃあ、行くぞ」


 俺の一言で、全員が動き出した。


 外に出ると、空気が違った。


 静かだ。


 妙に、静かすぎる。


 風の音だけが響いている。


 そして――


 前方から、規則正しい足音が聞こえてきた。


 ザッ……ザッ……ザッ……


 視線を向ける。


 そこには、黒を基調としたマント。


 胸元には十字を思わせるエンブレム。


 軍隊のように整然と並ぶ集団。 


 SPМ。


 その先頭には、凛堂がいた。


 前回と同じ、いやそれ以上に鋭い視線でこちらを見ている。


「……逃げ出さず、よく来たな」


 低く、だが楽しそうな声。


 俺は軽く肩をすくめる。


「俺達の土地の目の前だしな」


 一歩前に出る。


「それに、お前もよく逃げ出さなかったな」


 一瞬の沈黙。


 そして――


 凛堂が、ニヤリと笑った。


「言うじゃねぇか」


 その笑みは、完全に戦う側の顔だった。


「久し振りだな……」


 後ろから声がした。


 視線を向けると、門脇がいた。


「あぁ」


 俺は軽く頷く。


「あんたのお陰で避難民を助ける事が出来たよ」


 正直な言葉だった。


 門脇は少しだけ口元を緩める。


「そうか」


「なら断られた甲斐があったな」


 どこか楽しそうだ。


 その横で、凛堂が眉をひそめる。


「……やっぱりお前だったのか」


「こいつの元に来てスカウトしてたのは」


「報告なかったじゃねぇか」


 門脇は肩をすくめる。


「報告の義務などないからな」


「チッ……」


 凛堂が舌打ちする。


 だが、それ以上は何も言わなかった。


 この二人、思ってたより上下関係がはっきりしてないな。


 そんなことを考えていると――


 空気が変わった。


 自然と、全員の視線が上に向く。


 空。


 そこに浮かぶ数字。


 ――残り10秒。


「……来るぞ」


 俺が呟く。


 誰も、言葉を返さない。


 ただ、それぞれが構えを取る。


 風が、少しだけ強くなった気がした。


 9


 誰かが息を呑む。


 8


 未来の拘束準備。


 7


 陸斗の指先に光が集まる。


 6


 色谷が足を踏みしめる。


 5


 芹沢が指先に紙を浮かべる。


 4


 チャン爺の気配が変わる。


 3


 浮田が後方へ位置を取る。


 2


 凛堂が笑う。


 1 




 ――その瞬間。




 空間が、裂けた。


「――ッ!?」


 黒い亀裂。


 そこから溢れ出す、異質な気配。


 前回とは、明らかに違う“圧”。


 そして――


 ゆっくりと、“何か”が姿を現そうとしていた。


「……来やがったか」


 俺は、静かに構えた。





しっかり2人の副隊長も今回来ております。

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