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【全国調査編開始】世界崩壊後、日常生活スキルで俺が最強拠点を作ってしまった件  作者: ナマケモノ


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121/128

総理大臣、東京へ行く(後編)

第121話です。宜しくお願い致します。

 中央会館の前で、深澤たちは静かに待っていた。

 建物の中へ報告に向かった警備員の背中が見えなくなると、SPたちは自然と深澤たちを囲むように立った。

 警戒を解いていない。

 それは当然だった。

 ここは、彼らにとって未知の場所だ。

 東京という日本の中心でありながら、今は深澤たちの管理下にはない。

 黒瀬悠真という若者が中心となり、独自に再建された新しい東京。

 その中枢である中央会館の前に、深澤たちは立っている。

 周囲には警備員がいる。

 出入りする職員らしき者たちもいる。

 だが、混乱はない。

 深澤は、改めて中央会館を見上げた。

 石造りの重厚な外壁。

 左右対称に広がる建物。

 中央にせり出したドーム状の屋根。

 かつての国会議事堂を思わせる姿。

 しかし、ここは国会議事堂ではない。

 崩壊後の東京で、新たに生まれた中心。

 その事実が、深澤の胸に複雑な感情を生んでいた。

 誇らしさではない。

 悔しさだけでもない。

 失ったものへの痛みと、今なお残っているものへの期待。

 その両方があった。

 曽我英二は、深澤の隣で静かに建物を見ている。

 彼もまた、何かを考えているようだった。

 議員たちは落ち着かない様子で周囲を見回している。

 当然だ。

 東京南門からここまで来るだけで、彼らは何度も驚かされていた。

 整備された受付。

 登録証。

 東京内で使える支給金。

 動いている街。

 笑顔で立ち話をする住民。

 そして、この中央会館。

 自分たちが思っていたよりも、東京は遥かに進んでいる。

 その事実を前に、議員たちは口数を減らしていた。

 一方、SPたちはそれとは別の理由で緊張していた。

 警備体制が整っている。

 建物の入口は管理されている。

 通行する者たちも、無秩序ではない。

 だからこそ、ここは危険でもあった。

 相手は組織として動いている。

 ただの避難所ではない。

 SPたちは、それを肌で感じ取っていた。



 その頃、中央会館の5階。

 悠真の部屋の扉が、静かに叩かれた。

 コン、コン。

 規則正しいノックの音。

 悠真は書類に目を通していた。

 第2の厄災が終わってからも、やるべきことは山積みだった。

 第3の厄災が不確定になったとはいえ、防衛体制の見直しも必要だった。

 フトゥーロから聞かされた話も、まだ頭の中に残っている。

 国が接触してくる。

 その言葉が、妙に重かった。

 悠真は視線を扉へ向ける。

「何だ……?」

 扉の向こうから、丁寧な声が返ってきた。

「お坊ちゃま、今宜しいでしょうか?」

 チャン爺の声だった。

「あぁ、入ってくれ」

 扉が静かに開く。

 チャン爺はいつものように姿勢を崩さず、部屋へ入ってきた。

 その表情は落ち着いている。

 だが、報告内容が軽いものではないことは、悠真にもすぐに分かった。

「今、警備員から報告を受けたのですが」

 チャン爺は一礼してから続ける。

「下に、総理大臣を含め、5人ほど重要役職の議員とSPの方達が、お坊ちゃまに会いたいと来られています」

 悠真の手が止まった。

 わずかな沈黙。

 それから、悠真は小さく息を吐いた。

「もう、来たのか……」

 その声には、驚きと諦めが半分ずつ混じっていた。

 チャン爺は少しだけ眉を動かす。

「総理が来る事を知っていたのですか……?」

「ちょっとな……」

 悠真は短く答えた。

 詳しく話すには時間がかかる。

 それに、フトゥーロのことをどう説明するかも難しい。

 今はまず、目の前の対応が先だった。

 悠真は椅子から立ち上がり、窓の方へ向かった。

 5階の窓から中央会館前を見下ろす。

 そこには、10人ほどの集団が立っていた。

 数人はスーツ姿。

 周囲を囲むように立っている者たちは、明らかに警護役だ。

 その中心にいる男。

 テレビやニュースで何度も見たことがある顔。

 現内閣総理大臣、深澤隆史。

 悠真は思わず眉をひそめる。

 本当に来た。

 フトゥーロの言葉通りだった。

 その時、偶然にも深澤が顔を上げた。

 5階の窓際に立つ悠真と、中央会館前にいる深澤。

 2人の視線が、窓越しに重なった。

 ほんの一瞬だった。

 悠真は反射的に会釈をした。

 それは、相手が総理大臣だからというより、目が合ってしまった時の自然な反応だった。

 下にいる深澤も、すぐに会釈を返した。

 中央会館の前にいる議員たちが、その様子に気づいたのか、少しざわつく。

 悠真は窓から離れ、チャン爺へ向き直った。

「いかがなさいますか?」

 チャン爺が尋ねる。

 悠真は少しだけ考えた。

 追い返すという選択肢はない。

 相手は総理大臣だ。

 しかも、桜井の支配から解放されたばかりで、今の日本について話すために来た可能性が高い。

 ここで門前払いすれば、余計な軋轢を生む。

 何より、悠真自身も話を聞く必要があった。

「勿論、総理を追い返す訳にはいかない……」

 悠真ははっきりと言った。

「速やかに会議室へ案内してきてくれ」

 チャン爺は深く頭を下げる。

「畏まりました」

 そう言うと、チャン爺は静かに部屋を出ていった。

 悠真は一人、部屋に残される。

 深呼吸を一つ。

 相手は総理大臣。

 官房長官。

 重要な議員たち。

 普通に考えれば、ただの大学生だった自分が会うような相手ではない。

 だが今、悠真は東京を治める立場にいる。

 一応、という言葉をつけたくなるが、それでも事実は事実だ。

 悠真は軽く髪を整え、服装を確認した。

 緊張していないと言えば嘘になる。

 勝手に東京をテリトリーにした。

 東京の行政のようなものを作った。

 登録証や支給金の制度まで整えた。

 国側から見れば、どう映るのか。

 自分は不法に東京を支配している人間に見えるのではないか。

 そう考えると、胃が重くなる。

 それでも逃げるわけにはいかない。

 悠真は、もう一度小さく息を吐いた。



 中央会館の扉が開いた。

 中から現れたのは、白髪混じりの執事服の男だった。

 チャン爺。

 彼は深澤たちの前まで歩いてくると、見事な所作で一礼した。

「深澤総理大臣様達ですね」

 その声は落ち着いていた。

「こちらでお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした」

 深澤は軽く首を横に振る。

「いえ、突然来たのはこちらです。お気になさらず」

 チャン爺はもう一度丁寧に頭を下げる。

「部屋までご案内致します」

「助かる……」

 深澤が答える。

 チャン爺は扉の方へ身体を向けた。

「では、こちらへどうぞ」

 深澤たちは中央会館の中へ入った。

 SPたちはすぐに警戒を強める。

 深澤、曽我、議員3人を囲むように歩き、周囲を確認する。

 中央会館の内部は、外観と同じく整っていた。

 広い廊下。

 清潔な床。

 壁に掲げられた案内板。

 行き交う職員たち。

 だが、騒がしさはない。

 忙しさはある。

 しかし、混乱はない。

 必要な場所へ必要な人が動いている。

 それが分かる空気だった。

 深澤は歩きながら、周囲を静かに見ていた。

 崩壊後の世界で、ここまで管理された施設が存在している。

 それだけでも驚くべきことだった。

 廊下ですれ違う職員たちは、チャン爺に軽く会釈をする。

 その様子から、この執事がただの案内係ではないことも分かった。

 深澤は、前を歩くチャン爺を見る。

 落ち着いた所作。

 迷いのない足取り。

 周囲から向けられる信頼。

 黒瀬悠真の側には、こうした人物がいる。

 そのことも、深澤には興味深かった。

 やがて、一行は会議室へ案内された。

 広すぎず、狭すぎず、落ち着いた部屋だった。

 中央には大きな机があり、椅子が整然と並べられている。

 壁には簡易地図や連絡用の掲示板があるが、雑然とはしていない。

 必要なものだけが置かれている。

 チャン爺は扉を開け、深澤たちを中へ促した。

「こちらで少々お待ち下さい」

 深澤たちは席へ案内される。

 チャン爺はSPたちにも視線を向けた。

「SPの皆様もどうぞ、お座りください」

 しかし、SPの一人がすぐに首を横へ振る。

「いや、私達は結構だ」

 別のSPも部屋の隅へ立つ。

「こちらで立っておく」

 チャン爺は無理に勧めなかった。

「畏まりました」

 深澤、曽我、議員三人は席に着く。

 SPたちは壁際に立ち、周囲を警戒する。

 その姿を見ても、チャン爺は動じない。

 むしろ、それを当然の職務として受け止めているようだった。

「すぐにお茶をお持ち致します」

 そう告げると、チャン爺は一度部屋を出ていった。



 その後、ほどなくして扉が開く。

 一葉、二葉、三葉が入ってきた。

 三人は揃った所作で、深澤たちの前にお茶を置いていく。

 湯気の立つ湯呑み。

 丁寧に整えられた茶菓子。

 崩壊後の世界で、来客にお茶が出る。

 そのことに、議員たちはまた驚かされた。

 ただ物資があるだけではない。

 客を迎える余裕と、礼儀を保つ文化が残っている。

 深澤は湯呑みを見つめ、静かに礼を言った。

「ありがとうございます」

 一葉は柔らかく頭を下げる。

「ごゆっくりお待ちくださいませ」

 三人は静かに退室した。

 会議室に、しばしの沈黙が落ちる。

 曽我はお茶に口をつけ、わずかに目を細めた。

「……温かいですね」

 何気ない言葉だった。

 だが、それは崩壊後の世界では当たり前ではない。

 深澤も湯呑みに手を添えた。

 温かさが、指先から伝わる。

 その温かさが、この東京の異常さを物語っていた。

 そして、しばらくして。

 会議室の扉が静かに開いた。

 全員の視線が扉へ向かう。

 そこに立っていたのは、一人の青年だった。

 黒瀬悠真。

 年齢は若い。

 テレビで見慣れた政治家たちとは違う。

 威圧的な雰囲気も、権力者らしい派手さもない。

 だが、その目には疲れと覚悟があった。

 この一年、ただ生き延びただけではない。

 多くのものを背負い、選び、進んできた者の目だった。

 席に座っていた深澤たちは、自然と立ち上がった。

 悠真は少し驚いたようにしながらも、すぐに頭を下げた。

「お待たせしてしまって、すみません」

 普段の悠真とは違う、丁寧な口調だった。

「私が、一応この東京を治めている黒瀬悠真と申します」

 自分で言いながら、一応という言葉を入れてしまうあたりが、悠真らしかった。

 深澤は真っ直ぐ悠真を見る。

「深澤隆史です」

 続いて、曽我や議員たちも会釈をする。

 悠真もそれぞれに頭を下げた。

「勿論、存じ上げています」

 そして、少し緊張したように続ける。

「お会い出来て光栄です」

 悠真は内心、かなり落ち着かなかった。

 目の前にいるのは、本物の総理大臣だ。

 その隣には、内閣官房長官の曽我英二。

 さらに、テレビで見たことのある議員たちまでいる。

 世界が崩壊する前なら、同じ部屋で話すことなど絶対になかった相手たち。

 そんな人物たちが、今は自分に会いに来ている。

 状況の異常さに、悠真は改めて眩暈を覚えそうだった。

 深澤は穏やかに言う。

「こちらも、貴方に是非お会いしたかった……」

 悠真は軽く頭を下げる。

「ありがとうございます……」

 そして、手で席を示した。

「どうぞ、お座りください」

 深澤たちは席へ戻る。

 悠真も向かい側に座った。

 その後ろには、チャン爺が静かに控える。

 SPたちは壁際に立ったまま、悠真とチャン爺へ警戒の視線を向けていた。

 だが、悠真はあえて気にしないようにした。

 この場で相手の警戒を責めても意味はない。

 むしろ、総理を守るために当然のことだと思った。



 深澤は、姿勢を正す。

「早速ですが、黒瀬さん」

 会議室の空気が少し引き締まる。

 悠真も自然と背筋を伸ばした。

「はい」

 何を言われるのか。

 東京を勝手に治めていることを問われるのか。

 国会議事堂を含む東京をテリトリーにしたことを責められるのか。

 今後、国の管理下に入るよう求められるのか。

 悠真の中に、不安がよぎる。

 しかし、深澤の口から出た言葉は、予想していたものとは違った。

「先ずはお礼を」

 深澤は、深く頭を下げた。

「本当にありがとうございます」

 悠真は目を見開いた。

 総理大臣が、自分に頭を下げている。

 その光景に、周囲の議員たちも一瞬驚いたようだった。

 だが、すぐに深澤に続き、曽我も、他の議員たちも頭を下げる。

 悠真は慌てた。

「やめてください……」

 声には本気の戸惑いがあった。

 深澤はゆっくり顔を上げる。

 その表情に、作り物めいたものはなかった。

「いえ」

 深澤は静かに言う。

「本来、私達がこういう緊急事態の時に、真っ先に国民の為に動かなければならない存在……」

 その声は重い。

「それが、約一年の間、私達は何もして来ず、桜井に良いように使われてきました」

 深澤の目に、自責の色が浮かぶ。

 洗脳されていた。

 だから仕方なかった。

 そう言うことはできる。

 だが、深澤はそれだけで済ませるつもりはなかった。

「その間、日本の首都である東京をここまで復興させるとは……」

 深澤は周囲を見るように言った。

「本来なら、私達がやらなければならなかった事です」

 悠真は少しだけ視線を落とす。

 深澤の言葉は重かった。

 だが、悠真自身は、自分が国の代わりをしているつもりはなかった。

 ただ、生きるためだった。

 最初は、自分の部屋を守るだけで精一杯だった。

 そこに陸斗と美咲が来た。

 仲間が増えた。

 守る範囲が広がった。

 東京を守ることになった。

 結果として、こうなっただけだ。

「私一人の力ではありません」

 悠真はそう答えた。

 深澤が静かに耳を傾ける。

 悠真は少し苦笑した。

「日常が壊れる前は、ただの大学生でした」

 そこで一度言葉を切る。

「いや、ただの、ではなかったですね……」

 自嘲するように笑う。

「将来などあまり考えていない、夢も希望もない大学生でした……」

 深澤は何も言わずに聞いていた。

 悠真は続ける。

「そんな時、当たり前の日常が壊れて、色んな仲間と出会いました」

 陸斗。

 美咲。

 未来。

 浮田。

 ルドルフ。

 阿川。

 色谷。

 芹沢。

 コン太。

 チャン爺。

 一葉たち。

 アルたち。

 多くの顔が、悠真の頭をよぎる。

「本当に、自分が生きてきた23年間すべてを提出しても、この1年間の内容の濃さには勝てないでしょう……」

 それは大げさな言葉ではなかった。

 世界が崩壊してからの日々は、あまりにも濃かった。

 死にかけた。

 迷った。

 戦った。

 誰かを助けた。

 誰かに助けられた。

 そして、何度も日常を取り戻そうとしてきた。

「私は仲間と、この東京の日常を取り戻す事が出来たのです……」

 悠真は少しだけ表情を引き締める。

「いえ、正確にはまだ途中ですが……」

 深澤は、静かに頷いた。

「そうですか……」

 その声は穏やかだった。

「本当に、ここまで来るのに一朝一夕ではなかったと思います……」

 悠真は小さく頭を下げた。

 深澤の言葉には、上から評価するような響きはなかった。

 むしろ、一人の人間として、悠真たちが積み上げてきたものを認めているように聞こえた。

 悠真の不安が、ほんの少しだけ和らぐ。

 もちろん、完全に警戒を解いたわけではない。

 相手は総理大臣だ。

 この後、どんな話になるかは分からない。

 それでも、少なくとも目の前の深澤という人物が、いきなり東京を奪おうとしているようには見えなかった。



 深澤は少し間を置き、話を変えた。

「話は変わりますが、街を案内して頂く事は可能ですか?」

 悠真は瞬きをする。

「街を、ですか?」

「はい」

 深澤は頷いた。

「今後の参考にしたいのです……」

 その言葉には、強い本気があった。

 ただ見物したいわけではない。

 今の東京がどう動いているのか。

 どんな仕組みで人を受け入れているのか。

 どのように治安を保ち、食料を配り、日常を取り戻しているのか。

 深澤は、それを見たいのだ。

 悠真は少し考える。

 東京を案内すること自体は問題ない。

 むしろ、見てもらった方がいい。

 変に隠せば、余計な疑念を生む。

 それに、東京がどれほど多くの人に支えられているかを知ってもらう機会にもなる。

「勿論です」

 悠真が答えると、深澤は少しだけ申し訳なさそうに言った。

「更に我儘を言いますが、黒瀬さんに案内して頂けないでしょうか?」

 悠真は少し驚いた。

 案内なら、チャン爺や一葉たちでもできる。

 行政担当に近い者をつけることもできる。

 だが、深澤は悠真本人に頼んだ。

 それは、東京の仕組みだけでなく、悠真自身の考えを知りたいということなのだろう。

 悠真は小さく頷いた。

「私で良ければ、東京をご案内させて頂きます」

 深澤の表情が少し和らぐ。

「ありがとうございます」

 悠真はその言葉に応じながらも、内心ではまだ不安を抱えていた。

 勝手に東京を治めていた。

 国の中心を、自分のテリトリーにしていた。

 制度を作り、人を受け入れ、登録証や支給金まで整えた。

 それを国側がどう判断するのか。

 逮捕されるのではないか。

 東京から追放されるのではないか。

 すべてを国へ返すよう求められるのではないか。

 そんな考えが、頭の片隅に残っている。

 しかし、目の前の深澤に、強引に取り上げようとする気配はなかった。

 話していても穏やかで、国民のことを本当に考えているように感じられる。

 それが、悠真には少し意外だった。

 政治家という存在に、悠真はそれほど良い印象を持っていたわけではない。

 世界が壊れる前から、ニュースで見る政治家たちは遠い存在だった。

 自分とは関係ない場所で、よく分からない言葉を使っている人たち。

 そんな印象しかなかった。

 だが、深澤隆史は違った。

 少なくとも今、目の前にいるこの人物は、自分の立場に胡坐をかくのではなく、頭を下げることができる人間だった。

 悠真はチャン爺へ視線を向ける。

「チャン爺」

「はい、お坊ちゃま」

「一緒に来てくれ。総理たちに東京を案内する」

 チャン爺は静かに一礼する。

「畏まりました」

 深澤たちも立ち上がる。

 SPたちはすぐに警護位置を整えた。

 悠真はその様子を見ながら、改めて背筋を伸ばす。

 国と新しい東京。

 その初めての対話は、まだ始まったばかりだ。

 だが、少なくとも最初の一歩は、敵対ではなかった。

 悠真はそう感じていた。

 そして、チャン爺と共に、深澤隆史たちへ東京を案内することとなった。



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