16、事件 ①
前回のあらすじ
ブリジットの体質が禁忌魔道具の魔力を感じる事ができる
ポスフォード侯爵が動く
ブリジットが王宮に向かった数日後、カノヴァス公爵は陛下の命によりブリジットとモニカを王宮に呼ぶこととなった。
フランシスはため息を付きながら、これから起こることを思案していた。
思案が一通り終わると、丁度彼女たちが王宮へ着く予定の時間であることに気づくが、時間通りに来る予定の彼女たちを乗せた馬車は見つける事ができなかった。
ジーンに彼女たちの服装を任せ、時間を伝えて支度はさせたはずである。だが、王宮に着く予定はとっくに過ぎ去るも、彼女たちを乗せた馬車はまだ姿を見せることもない。
怪しく思ったフランシスは馬車を探すように部下に命じるのだった。
その頃、モニカは大きな木の下で目を覚ます。記憶を辿ると、馬車に乗っていた時、御者の敵襲!?という声が聞こえたかと思うと、直ぐに気を失ったようである。馬がかける音が近づくことで意識をはっきりと取り戻したモニカは、後ろでまだ気を失っているブリジットの前に立ち、こちらに来る者たちが何者なのか、目を凝らして確認する。
「その姿、モニカか?」
「旦那様!」
馬に乗りこちらに近づいて来たのはフランシスだ。彼女は主人だったことに安堵する。そして姿勢をただしながら今の状況を整理してフランシスに聞かせていた。
その話を聞いたフランシスは、隣にいた部下一人に声をかける。部下は了承の旨をフランシスに伝えた後、馬に乗って王宮へ戻っていった。
一連の流れが終わると、ブリジットが目を覚ます。目の前には主人であるフランシスが無表情にこちらを見ているが、部下の前だからだろう。声をかける事はなかった。
「二人とも、王宮で休んでいるといい」
モニカとブリジットは目の前にあった自身が乗って来た馬車に乗る。フランシスの部下は御者もできるようで、その馬車を操り王宮に向かっていた。
だが、モニカとブリジットはそこで気づかなかった。自身が仕えているフランシスは別行動を取っていたことに。
「うん、上手くいったみたいだね」
目の前にはポスフォード侯爵の姿が映る。ブリジットは声を出さないように布で口を塞がれ、足と手首を縄で縛られていた。そして目の前にはモニカや馬車、フランシスたちの様子が映っている。
「君は本当に大人しいね。君みたいな子は他国でも高値で売れるんだ。大人しい女性に地獄を見せて、精神を壊す事が大好きな人たちがいてねーー」
ケラケラと話す侯爵の様子を冷めた目で見続けるブリジット。最初は話し続けていたポスフォード侯爵も、そんな冷静沈着なブリジットを見て、少しだけ苛々が募っているらしい。
「……何故お前はそんなに冷静でいられる?その腕輪も追跡魔道具だろうが、この部屋では無効化されるはずだ」
ブリジットの右腕にはフランシスから渡された腕輪がはめられている。最初、追跡魔道具だと気づいた侯爵は、腕輪を外そうと試みたが残念ながら外す事ができなかったのだ。
だから魔力が無効化されるこの部屋にブリジットを入れていた。
冷静沈着なブリジットを不思議に思いつつも、彼の目の前にはモニカや王宮の様子がありありと見えている。
「流石にカノヴァス公爵も本物のブリジットがこちらの手の中にいるとは思わないだろう」
ククク、と笑っている侯爵。その時、ブリジットと侯爵の間に割って入って来るものが現れる。
「侯爵様、私はどのように致しましょうか」
「そうだな、次はカノヴァス公爵を見張っててもらえるだろうか。幾ら禁忌魔道具を使って偽ブリジットを送り込んだからといって、ブリジットと片時も離れずにいるわけではないだろう」
「承知」
使命を与えられた間者はすぐさま王都に向かった。カノヴァス公爵の見張りとして。
侯爵は間者を見送ると、大笑いをしながら目の前に映るモニカの姿を見つめていたのだった。
投稿遅くなりました。
事件編は5ー6話くらいになるかと思います
次回は明日投稿します。




