15、体質 ⑤
前回のおさらい
ブリジット:王宮
フランシス:王都図書館で調べ物
個人的に書いておくと便利かなと思い、書くことにします。
「カノヴァス公爵の予想通りです。彼女は禁忌の魔道具の魔力に反応するようです」
先ほどまでブリジットに付いていた文官は、フランシスにそう述べる。
ブリジットの父、セザールは先にこの事を聞いていたらしく、一人で考え事をすると、外を散歩しているとのことであった。
「彼女に確認したところ、このように魔力を感じたのは3回程だと聞いております」
「あの事件と、遣いの件、そして……」
「ええ、あの侯爵の図書室から感じたとのことです」
ブリジットの話により、彼が禁忌の魔道具を使用している事に確証を得る事ができた。
「魔道具大全集を使用して、禁忌魔道具の魔力を食い止めていたが、全てを食い止める事ができず、ブリジットが魔力を感じとる事ができたわけか」
基本的に図書室に入るものは、ポスフォード侯爵と使用人だけだったようだ。外部からの客を客間以外に招き入れる事は滅多に無いとの証言は、部下によって得られていた。だから今まで発覚する事が少なかったのだろう。
「ちなみに、侯爵家の使用人は魔力の少ない者たちが多いようです」
「気づかれないため……か?」
「恐らく」
「そうか、ブリジットとヴェラも魔力量が他の者と比べて少ないからな。事件の件があっても、体質に気づく事は無いだろう」
「念のため、遣いの件に付いては極秘情報となっておりますので、外部に漏れる事は無いかと」
「ああ、確かそうだったな」
フランシスは文官の報告を聞きながらどうすれば引きずり出す事ができるだろうか、それが彼の頭の中で計算されている。
「この件は黙秘だ。その様に伝えておけ」
「かしこまりました」
そばにいた文官がフランシスに礼をし、一瞬でその場からいなくなる。もし第三者がこの場面を見ていたら、何が起こったのか理解ができないだろう。
「さて、これは宰相や陛下にご相談しなくては」
彼はちらっと目線を周囲に送ったあとは、何事もなかった様にブリジットの元へ向かう。
その目線の先に潜んでいる存在にまるで気づいていない様な雰囲気を醸し出していた。
「で、何か面白い事はあったか?」
「ええ、カノヴァス公爵家のメイドの件ですが」
真っ暗な部屋の中で話している者たちがいる。外はまだ明るいはずなのだが、カーテンを閉めているとはいえ光が全て遮断されている。
お互いの顔が見えない中ではあるが、報告をしている相手は満足げに頷いているだろう、と予想できるくらい声が弾んでいた。
「そうか、此方が情報を掴んでいる事を知らないのか。まだまだ彼は若い。最年少で公爵になったとはいえ、知恵は私の方が回るのかもしれん」
彼はフランシスが自分の掌の上で転がされている様子を楽しもうと、報告者の話を聞きながら思案している。顔は見えないが、満面の笑みである事は間違いないだろう。
そして報告が終わった後、次の指示を出すことにした様だ。
「彼女をここへ」
そして彼、ポスフォード侯爵は自分の思い通りの世界を作るため、動き出し始める。
それが破滅への一歩であることに気がつかないままーーー
最後に勝つのはどちらでしょうか?
次は明日更新予定です!




