延長戦 でっかい胴?!
城の外に出てみると、巨大な胴体が視界いっぱいに入ってきた。もっと上を見上げると、蒼い龍の顔がこちらを睨んでいた。
「な、なんじゃこりゃああああ!!!?」
「なんで睨んでんだよ!!」と逆ギレしたい気持ちを抑えて、驚きを客観的に見てもわかるように表現する。
「落ち着け翔太! フローラ、対神防護壁を展開しろ!」
「わかってる!」
フローラがバッと、両手を天へ掲げると、半透明な白い膜が魔王城を周辺から包む。魔王城は
「おお⋯⋯」
初めて見るスケールのデカい展開に俺は少し気圧される。
⋯⋯しかし、次の魔王の叫びで我に帰らなければならなかった。
「来るぞ!!」
頭上の龍が、その口からありったけの鉄砲水を吐いてきたのだ。
「っ⋯⋯! 容赦ないわね!」
フローラが頭上から際限なく放出される水に悪態をつきながらも俺達と城を護る。
「レン、コレット! フローラの補助を頼む!」
魔王の指示を聞き、レンとコレットはフローラの元へ向かう。
「魔王! 俺は!?」
「翔太は待機だ。俺の右手の準備が整いしだい頼む」
「り、了解!」
俺以外の、この場にいる者は皆、必死に眼前の脅威に立ち向かっているというのに俺は待つことしか出来ない。久しぶりにもどかしい気持ちにかられる。
「⋯⋯もう、無理かも⋯⋯!」
フローラが喉から絞り出すようにして自身の限界を伝える。
これ、まずいんじゃないか!? 魔王城は、絶海の孤島というやつで、周辺に援助を頼める機関がない。それどころか、こんな状況でこの場にいる以外の誰に頼ったらよいのか俺にはわからない。
「お待たせしました。皆さん、お揃いのようで」
俺がそんなことを考えていた刹那、頭上から龍の悲鳴と共に、1人の男が降りてきた。
「ギムギス! おせえぞ!」
文句を言う魔王の顔は、希望に満ちていた。
「翔太さん! 海水を凍らせて、海龍の身動きを封じました! あとはあなた達次第です」
「わ⋯⋯かりました!」
全くこの人は⋯⋯⋯⋯突然現れたと思ったら、プレッシャーを掛けてきやがって⋯⋯!
「行くぞ魔王!」
「おう!」
⋯⋯だが、俺は躊躇わない。次々と起こる予想外でスケールのデカい展開に驚き、不安な気持ちはあるが⋯⋯皆のおかげでここまで来れたんだ。
「なら、今度は俺の番だよなぁ!!」
意気込んでから、魔王を連れてこちらへの攻撃を止めた海龍の真上に飛ぶ。
「⋯⋯!」
(来るぞ翔太!)
龍が反射的に、上空の俺達の方を見る。―――その瞬間、俺の世界は止まった。いや、正確には止まっているように見えるほど世界がゆっくりと動いているだけか。
(これが、俺の役割か⋯⋯)
魔王の足首を、空中で掴み、海龍の射線から少しズレるように投げ飛ばす。
「行ってこぉぉぉぉい!! ⋯⋯ぶふぉ!?!?」
世界が動きだし、俺は鉄砲水に呑まれる。
「お前ら! ありがとな⋯⋯そしてこれで、終いだああああ!!!!」
直後、魔王の咆哮と海の怒号と共に、この戦いの幕は閉じた⋯⋯らしい(後日談)。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
感想、誤字脱字の指摘はお気軽にどうぞ。
なかなか時間に余裕ができなくて悶々とした日々を過ごしている作者です。そろそろ不定期ではなく、定期更新に変えようかと考えています。
ちなみに、今回ほどの急展開は今後ないと思いますのでご安心(?)を。どうしても海龍を出しときたかったんや……なんとなくだけど。
それでは!




