終 これで良かった......よな?
気がつけば夜……ま、まあ明日は祝日だし多少はね!
「ぶへぁ!?」
激流の中から命からがら戻ってきた俺は、口から海水を吐き出して、頭上の様子を確認する。
「⋯⋯」
しばらくの間、俺は口を開けて呆然と立ち尽くしているしかなかった。
頭上の龍は、虚しい悲鳴を上げてゆっくりと倒れていく⋯⋯。
「ふぅ、終わったわね。⋯⋯さあ! みんなであのひと達を引き上げましょうか」
フローラの指示に二つ返事で応じて、俺達は魔王と海龍が沈んでいった海のほうへと向かった。
「それでは! 無事海龍を沈静化できた記念の、パーティを始めたいと思います! かんぱーい!!」
「「かんぱーい!!」」
フローラからのかしこまった挨拶が終わり、俺達はそれぞれ思いも思いに部屋で過ごす。
「はぁ⋯⋯先にここにいる全員の無事を祝いたいって言われちまったよ⋯⋯」
「まあ、プレゼントはまた夜にでも渡せよ」
プレゼントを渡すタイミングを逃し少し落ち込んでいる魔王を元気づける。
「そういえば、海龍様はどうなったの?」
「ああ、魔王の魔法で幼児化させて、気絶させたらしい。⋯⋯今は隣の部屋で寝てるらしいぞ」
夏蓮の質問に手短に答え、用意された料理をそろそろいただこうかと立ち上がった矢先⋯⋯。
「いやー、儂を置き去りにして楽しいことやっとるのう」
「⋯⋯げっ」
⋯⋯ヤツが、現れた。
「おう、海龍の受け取りか?」
「うむ、その連絡を受けてここに来たわけじゃが⋯⋯ここにあるもんを食ってしまってよいかの? なんじゃ翔太、その嫌そうな顔は?」
魔王の薬を飲んだ影響で初対面の時より若返っているせいか、声が少し高く、見た目も大分幼くなっている。
「この姿に見とれておるのか? ほれほれ、そんなによそよそしくせんでもよいぞ?」
「いや、結構です」
顔を手に持った皿で隠す。⋯⋯もう女は懲り懲りだ。
「ちょっとアナタ? この女は誰?」
「むむ⋯⋯? 魔王の新しい恋人ですが何か?」
「げっ! おま⋯⋯」
「問答無用! 胸を当てられて顔を赤らめている時点でアウトです!!」
激しい叱責と共に、地面から蔓の鞭を繰り出す。
「はぁ⋯⋯止めた方がいいですかね?」
「いえ、もうめんどくさいのでほっときましょう。どうせ切りがないですし⋯⋯」
「ですね」
荒れる祝勝会会場を目の当たりにして、俺とギムギスさんは心底深い溜息を吐くのだった。
「じゃあ、本当にあなたはエンドラなのね?」
「だからそうだって言ってるだろ? ほら、お前からもなんとか言ってやれ」
「むむ! もう定時ではないか! それではまた! ⋯⋯あ、料理は美味かったぞ」
「⋯⋯行っちゃったわね」
「あいつ⋯⋯いつか泣かす」
部屋の中央で起こっていた口論が終わったようなので、俺達は元通りパーティを楽しむことにする。
「はぁ⋯⋯今度こそもう何も無いよな⋯⋯?」
「わかりませんよ? 今日は魔王以上に、翔太さんの方が女難の相ありと見れますし」
「ははっ⋯⋯まさかーそんなわけ⋯⋯ないよな?」
「それを私に確認するか⋯⋯多分、そろそろあいつが来るぞ」
「あいつ?」
シルフに救いを求めたが、救いなんてないのは、ほとんど確定しているようだ。⋯⋯なるほど、多分あいつだな。
「翔太君! 来たよ!」
「『来たよ!』じゃねえよ! ⋯⋯まあ、チトセなら面倒事を持ってきたりはしないだろうからキレることじゃないかもだが⋯⋯で、なんの用だ?」
「あ、うん。⋯⋯これをお二人に渡そうと思って」
そう言って突如現れた時空龍ことチトセは、魔王とフローラにチケットを渡す。そのチケットについてなんとなくわかってしまった俺は、思わず声を出す。
「お前⋯⋯まさか」
「折角だから、2人で旅行とか行ってきたらいいのに⋯⋯ていう翔太君の願いを聞き届けた結果だよ。⋯⋯あ、私が現地まで送りますねっていうかこの後予定空いてますか?」
「え、ええ。大丈夫よ」
「お、おう⋯⋯俺の方も連絡入れればどうにかなるだろうし⋯⋯」
魔王とフローラの2人は「「いいの?」」と言っているかのように目を丸くしてこちらを見てきている。
「じゃあな、2人とも⋯⋯そんなに時間は取れないかもしれないが、よい旅行を⋯⋯てな」
「あ、片付けとかは私達がやっておきますね」
「うん、行ってらっしゃい!」
「久しぶりにお二人で楽しんできてください」
「お土産は期待しているぞ」
それぞれが一言話した後に、チトセに連れられて魔王夫妻は旅行先へ飛んでいった。
これで良かった⋯⋯よな?
ここまでお読みいただきありがとうございます!
感想、誤字脱字の指摘はお気軽にどうぞ。
ふぃー。勢いでなんとかここまでこれましたー。
ここからは、1週間ぐらいかけて次の章の話を練りたいと思います。
次章はもっと面白く! もっと読みやすく! ……出来たらいいな。
あと、いつか1から手直しを加えたいと思ってたり、思ってなかったりします。まあ、話の流れは変える気はありませんが。
それでは!




