1000pv記念SS ミーナとリリアナのお買物
本編からは少し外れて、第十七話直後のお話です。
学園女子寮。
柔らかな笑い声がする一室――ミーナの部屋では、ミーナとリリアナの談笑が続いていた。
「……さっきね、ミーナのこと、本気で可愛いなって思ったわ」
「え」
「ミーナって、今まで好きになった男の子、いないでしょう?
……きっと、タルク君が初めて、なのよね?」
「そ、そうなの、かな?……そう、かも」
この学園に入学する前、私は小さな農村で育った。人口も少なかったこともあり、一番歳が近い男の子と言われても、九歳下の子だけ。後はみんな奥さんのいる大人しかいなかった。
だから、そういう対象、……というか……
「そもそも、男の子がわかってないものね」
「……そう言うリリアナは、
……その、わかってる、の?」
リリアナは、ふふんと鼻を鳴らしながら、長い髪をかきあげる。ふわ、といい匂い。
「もっちろんよ!
……私、婚約者もいるし、触ったこともあるのよ!」
「さ、触っ……!
って、どこを!?」
「……手、とか……
実はね、男の子の手ってゴツゴツしてて、硬いのよ!」
「ええっ!
そうなの!?
……じ、じゃあ……タルク君の手も硬いの……かな?」
「……かもねっ!」
「……ほ、他のところも……
そういうの、あるの……?」
「……まあ、これ以上はミーナにはまだ早いから、お預けね」
まだ早い、か……。
そうだよね。
手を触ったって話だけで、顔が赤くなっちゃうんだもん。……これ以上は鼻血出ちゃうかも。
でも、リリアナだって、少し赤いんじゃない?
ちょっとだけ、仕返ししちゃおう、かな。
「リリアナのさっきの下着、は、
婚約者さんに見せたの?」
「な、なななに言ってるのかしら!?
ままままだみみ、見せてないわよ!っていうか、いつ見られてもいいようにって、ああもう、違うの!」
指を唇に、ちょっとだけ横を向いて、赤くなるリリアナ。……自分の、ボンって赤くなるのとは比べるまでもなく、可愛い。
「……内緒にしてぇ……」
さらに潤んだ瞳で、しなと身体をよじるリリアナ。
ああ、コレが色気……となんだか納得。
そして、なんだか、ちょっとだけ勝ったみたいな気分。
「……内緒にしてあげるから、
明日、下着のお店、連れて行って」
「はぁい」
二人、見つめ合い、
……同時に笑った。
◇
翌日。
支度を済ませると、ミーナとリリアナは街に向かった。
学園の近くにも町はあるが、今日行くのは、一時間馬車に揺られた先の、リリアナの実家があるという街。
街を歩く人たちみんなが、すごくオシャレ。しかも、みんなリリアナを見ると挨拶してくる。
なんだか、自分なんかがここを歩いていていいの?って思っちゃう。リリアナにそう言ったら笑って、「いいに決まってるじゃない」なんて言われたから、もう言わないけど。
「なんで、こんなにみんないい服を着ているの?
特別な日?……お祭り、とか?」
「違うわよ。
この街、というか私の家ね、絹を取り扱ってるの。
……戦争が終わって、需要が高まったおかげで、みんな、服にお金をかけられるくらい景気がいいの」
「そうなんだ」
「ふふ。
……見たことないものばかりでしょう?
なんでも聞いてね。教えてあげるから」
「うん」
そうこう話しているうちに、一番の目的が売っているお店、下着屋さんについた。
「え、……ほんとに下着だけのお店なの??」
「そうよ?
下着以外も置いてるお店なんてあるの?
カボチャの隣にカボチャパンツ……とか?」
「それが普通なんだと思ってた……」
店内には、色とりどりの下着。
ミーナには、どうやって着るのかも想像できないようなものまであり、思わず「うわあ……」と声が漏れる。そんな様子を見てリリアナは、「その辺りはちょっとミーナには早いんじゃないかしら」と、手を引こうとして、「リリアナはこういうのも持ってるの?」なんて聞かれて、顔を赤らめ、「ま、まあね!」なんて言うけど、店員さんに、「お嬢が買おうとしても止めるように仰せつかっております」なんて言われてた。
「そ、そんなことより!」
「わ、びっくりした」
「ミーナに合うものを選びに来たのよ!
……ほら、選んで!見ててあげるから」
「うん……」
私は、たくさん並んでいる下着の中から一つを取ってみる。すごくスベスベしてて、細かいキラキラの糸が一緒に編み込まれてて、それだけで「うわあ……」と声が出る。思えば、さっきから「うわあ……」しか言っていない気もするくらい、今日は「うわあ……」が出る。
何度「うわあ……」が出ただろう。リリアナが「気になるものがあったら試着しなさい。あっちに試着室があるわ」と店の隅の一角を指し示す。
「え、下着って、試着するの!?」
「……そりゃ、そうでしょ。」
「身体にあったものを選ばれるのがよろしいですよ。……そのための試着です」
リリアナと店員さん(この店員さんもできる女の人って感じで、カッコイイ!)に「試着は当たり前」ですけど知らないんですか?って顔をされる。
「で、でもっ!あんなところで裸になるってことだよね!?」
リリアナは無言で、ニコッとすると、私をカーテンの中に押し込み「待ってるから早く着てね」
……ああ……、恥ずかしいけど、着ないと許してくれなそう……。
大きな鏡の前で服を脱ぎ、お店の下着を着る。
すごく着心地?着け心地?がいい!スベスベが身体を包む感じにまた「うわあ……」が出たと同時にカーテンが開けられる。ふぎゃあ!みたいな変な声が出る。リリアナの仕業かと思ったけど、カッコイイ店員さんで、「サイズ的にはブラはもうワンサイズ上ですね。……下は、このサイズで良さそうです」と店内のリリアナに伝え、シャッとカーテンが閉じられる。……心臓に悪いよ、っと思ったのも束の間、再びカーテンが開かれる。今度はあまり驚かない。だって、出た声はふひっ!って感じだったし。――次に現れたのはリリアナで、手にはいっぱいの下着を持っていた。「はい、次はこれ。着たら呼びなさい。逃げちゃ駄目よ」だって。
でも、こんなに色々着てみるのってすごく新鮮だし、贅沢な気分でワクワクする。なんだか、下着は自分が楽しむものってリリアナが言ったのがわかってきた。
白くて、クイっとしてて、足が長く見えるパンツ。胸をちゃんと支えて、大きく見えるブラ。カッコイイ大人が着るやつみたい。……カッコイイ大人の下着姿なんて見たことないけど。
「うんうん。次。」リリアナに急かされる。
桃色で、上下お揃いの大きな花の刺繍が入った下着。
「それ可愛いわね!次!」
黒色で、大人っぽいレース、紐で止めるパンツ。なんとなく鏡の前でポーズを取っちゃう。
「ノってきたわね!次!」ふぎゃあ!見られてた!
何コレ、スケスケの、何も隠れてない下着……お尻なんかほとんど丸出し状態……
コレは見せられない!次!「なかなか似合ってるけどね」やっぱり見られてた!
こうしてたくさんの時間を試着に費やしてしまい、もうそろそろ馬車に乗らないと寮の門限に間に合わない時間になってた。
「はあ、はあ……
そろそろ、買うものは決まった??」
「ふう……ふう……
……今更だけど、こんなの私が着てて、変じゃないかな?」
「ほんっとうに、今更ね……
人の好きな服にね、変だなんて言うやつは馬に蹴られちゃえばいいのよ。
ミーナが気に入ったものに、誰も文句言う資格なんてないわ」
「リリアナ……」
「……コレでしょ?
スケスケの」
「違う!……桃色のがいいかな……。
リリアナも可愛いって言ってくれたし」
「そう?
じゃあ、スケスケのと、桃色のね!」
「スケスケのは……」
「いいのよ。
伝説の下着みたいに、ここぞって時に着る用」
「お嬢、それは、「お嬢には早いコーナー」のものですので、お売りするわけにはいきません」
「ちぇっ……バレたか」
イタズラそうにリリアナは笑い、「馬車の時間がそろそろだから、早く服着なさい」……まだ下着姿だったことを忘れてた……。
服を着て、試着室から出ると、リリアナが紙袋を、んっと渡してくれる。
「会計は済ませたわよ」
「え」
「私もかなり楽しめたし、そのお礼と、ミーナの成長祝いってことで」
「そんな、悪いよ」
「いいのよ。
それに、大事な1000pv記念だもの」
「いっせんぴーぶい?」
「そう。
私たちが今日、下着を買いに来れたのも、いつも本編を読んでくれる素敵な読者さんのおかげなの。
……だから、そのお礼」
「そ、そうなの?」
「そうよ。……だから、最後に一緒にお礼を言いましょう」
「「いつもありがとうございます!
本編もどうぞよろしくお願いします!」」
気づけば、あっという間の1000PV到達です。
いつもいつも、読んでくださりありがとうございます!
これからもどうぞ、よろしくお願いします!




