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気弱な私をAIシンクロアが最強に変えるけど使いこなせない件  作者: 杉乃 葵
第一章 SYNC ERROR

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EP-017 SYNC ERROR: 普通じゃない日常

 眠い目を擦りながら、朝食のテーブルにつく。

 それはいつもの日常とは異なっていた。

 お母さんと二人だけ——ではなく、もう一人……。そう、真堂蓮がいた。


 そうだった。昨日から真堂が泊まっているんだった。

 わたしたちを護るためとはいえ、年頃の女の子がいる家に若い男性が泊まるのってどうなの? ってお母さんに愚痴ったけど、「あなたは普通にしていなさい」と取り合ってもらえなかった。お母さんは平気なんだろうか? その顔は無表情で、何も読み取れなかった。


「おはよーございます。愛衣ちゃん。お寝坊さんだねえ。若いのに、昨日の疲れがまだ取れないか?」


 真堂の軽口がカンに触る。


 席を立って、洗面所に向かう。


 真堂が、「どうしたの?」って聞いてきたので、「顔洗ってくる」と答えた。


 別に、真堂が気になるわけではない。

 ただ、お母さん以外の人に、寝起きのだらしない姿を晒したくなかっただけだ。

 顔を洗い、できるだけ念入りに髪を整える。


 普段、あまり意識してないから、どこまでやれば綺麗に見えるのかわからなかった。


 いいかげんにしなさいと、お母さんに怒られて仕方なく食卓に戻る。


 真堂の目が、わたしの身体をじろじろ見るので、気持ち悪くなって「なんですか?」と冷たく言い放つ。


「いやあ、寝起きのきみもいいけど、がんばったきみも可愛いなあってね」


 ピキッ。

 なんでこの人は、わたしのカンに触るようなことを言うのだろうか?

 別に、あんたのために頑張ったわけじゃないのに。


 それはそれとして、この人には聞きたいことがあった。


「あのー、真堂さん、聞きたいことがあるんですが——」

「んー? 彼女はいないよ。今ならフリーさ。お買い得だよ」


 ニヤニヤしながら、なに言ってんの? この人。


「そんなに睨まないでよ。冗談だよ。よくあるやつ。お約束だよ」


 なにこのめんどくさい大人。


「もしかして、わかってやってます?」

「なんのことかな?」

「はぁ……。もういいです」


 どうせ、まともに取り合うつもりはなさそうだった。


「愛衣、早く食べないと、遅刻するわよ」


 お母さんから、かけられた日常的な言葉にふと泣きそうになった。

 顔を隠しながら、椅子に座って大人しく食パンを齧る。


「俺は学校には付いていかないけど、心配はいらない。きみの周りに警護の者がいるからね。安心していいよ」


 真堂が来ないのは正直助かる。

 けど、警護の者って、やっぱりわたし見張られているんだよね。これって。

 シンクロアは、昨日からずっと黙ったままだし。

 なんか息が詰まる。


 さっさと朝食を食べて、学校に向かう。

 真堂の見送りは無視して、お母さんに「いってきます」を言う。


「シンクロア……」


 通学路の途中で、シンクロアに呼びかけたけど、返事はない。

 それはきっと、見えないけど、周りにD-5の人たちがいるからなんだ。

 シンクロアをわたしが持っていることを、彼らに悟られてはいけないんだ。

 家に真堂がそのまま来てしまったので、お母さんとも結局ろくに話ができずじまいになってる。


「シンクロア、返事できるようになったら呼びかけて」


 わたしにはわからないけど、きっとシンクロアにはわかるはず。

 周囲に彼らがいるかどうかを。


 しかし、学校に着いてしばらくしても、シンクロアからの応答はなかった……



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