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「まさかの繋がり」

魔王との戦い始まります。

15話「まさかの繋がり」



(あの耳…まさか…)


「やぁ、君がオリアスを倒した、エルフの子だね。初めまして、私はギルガゼイヤ。

数千年近く魔王をしている者だ。

まぁ、具体的な数字は1000以降数えてないんだがね。申し訳ない。

同種と会うのも久しぶりだ。周りが悪魔しか居なくてね…」


(同種って事は、やっぱりこの人もエルフ…てか、私も一応挨拶しておこうかな…)


ソフィーは、ギルガゼイヤと距離を取りながら、返答をする事にした。


「初めましてガイロニア王国で暮らしてます。ソフィーです。」


そう言って会釈程度にペコッとお辞儀をした。


「ソフィーか…体内の魔力量、なかなかの物だな。」


(いや、それあなたが言います?)


ギルガゼイヤの魔力は、オリアス等とは比べ物にならない強大なものだった。

意識して魔力を感じ取ろうとしなくてもその力は、ソフィー達にプレッシャーに近い形で伝わって来ていた。

彼女がこれまでの人生で1番強い魔力を秘めていた。


(こんなのが暴れたら一瞬で国とか滅びるんじゃない?)


「ところで、どうして私がオリアスって悪魔を倒した事を知ってたんですか?」


「あぁ、それか。私はね、72人の悪魔全員と契約していて、その子たちと視覚を共有出来るんだよ。つまり、あの時はオリアス視点で君の事を見ていたんだ。」


「そういう事ね。それで、この攻撃はなんでなの?」


「話すと長いんだがな…いつからだろうか…まだ私が若かった頃…200歳ぐらいの頃だな…」


(それって若いのかな…まぁ前世で見た作品でもエルフは必ず長寿だったからね。エルフからしたら200歳はまだ若いに入るのかも。)


「私は過去に大事な人を欲深い人間に殺され、それ以来人間を憎み続けているんだよ。数千年人間を見守ってきたが、時代は違えど、変わらんな。欲深い醜い生き物だ。」


「それでわざわざ軍人をおびき出して殺そうと?」


「あぁ、こいつらが1番の脅威だからな。こいつらさえ居なくなればあとは、無力な市民しか残らない。お前たちを殺ったあとは、王都を落し、その後は近隣の集落、そして他国にも侵略する予定だ。」


「そんな身勝手な事、俺達が許すわけねぇだろ!」


ジークがソフィーの隣で鞘から銀色の剣を抜き、構える。


「残念ながら、私もあなたの考えに賛成は出来ないわ。」


「ほぉ、分かってはいたが、やはり盾突くか…愚かな人間だ。お前たちと私とでは戦いの経験に雲泥の差があるんだよ。」


(確かに…数千年生きてるなら、数え切れない戦いを生きてきてるはず。)


「好き勝手に言うんじゃねぇ!」


魔法付与火焔(エンチャント・フレイム)!!!」


ジークは、ジャンプしている最中に自身の剣に、付与魔法を施した。

刀身が熱く燃え上がる。


「ほぉ、ただの剣が好きな少年かと思いきや、魔法剣士か…将来有望だな。」


そう言うと、ギルガゼイヤはジークの攻撃を一瞬でかわし、そのままみぞおちに拳を打ち込んだ。


「ぐはっ!」


ジークは苦しそうに呻き声をあげた。

口から少量の唾液が地面にこぼれ落ちた。

今度はそのまま苦しむジークに回し蹴りをかまし、10m程離れたソフィーの所まで吹っ飛ばした。


「ジーク!」


ソフィーは直ぐにジークに駆け寄る。


「だ、大丈夫だ…」


「強がんないで良いから!」


回復(ヒール)


「絶対無茶しちゃダメ。後、油断しないで。」


「あぁ…」


ソフィーは、ジークの背中に手をかざして回復魔法をかける。

ジークの背中から全身に緑色の光が広がり、傷が癒えていった。


「少年よ、貴様の実力はその程度か。魔力だけで判断すれば、そこの彼女の方が上だぞ。」


「くっ、そんなの既に分かってるよ!魔法じゃ勝てねぇってな。だからこれまで剣をただひたすら鍛えてきたんだよ。」


「やれやれ、ただの尖った金属の棒で私を倒せると思っているのが心外だな。エルフを舐めてもらっては困る。」


「くっ…」


「ところで、ソフィーとやら、私の仲間になる気はないか?」


「は?何言ってんの?」


(えっ、待って待ってどういうこと?)


「そのままの意味だ。お前のその魔法の才能は非常に貴重だ。その才能が欲にまみれた人間どもの中に埋もれるのは勿体ない事だ。」


(褒めてるの?誘惑してるの?どっち?)


「更に、エルフならば、いずれは悪魔の力を手にする事が出来る。」


そう言うと、ギルガゼイヤは、両目に魔力を込め始めた。

そして、彼はゆっくりと一度瞬きをした。

すると、配下の悪魔と同様白目だったのが黒目に変わり、赤い瞳が禍々しく光り始めた。

既に強力だった魔力が更に強まり、周囲に瘴気が撒き散らされる。


「くっ、何これ強すぎ…それに、あの目…まさか!魔力眼?!」


「オリアスが言っていたのをよく覚えていたな。そうだ。私の両目は数千年前の時点で既に自身の目では無い。当時、人間との関係が断絶した私を、この道に導いてくれた今は亡き2人の兄弟の悪魔から頂いた眼だ。そうして私は強大な魔力とその力を操る力を手に入れた。」


(要するに、悪魔からの眼球移植が、魔力眼継承って事ね。)


ギルガゼイヤは、右手を広げ、ソフィーに向けて自分の方へと誘う。


「さぁ、ソフィー、お前も私の同士となろう。共にこの腐敗した世界を変えないか?」


(私が仲間になるって自信はどこから湧いてくるのかしら。)


「その誘い。キッパリお断りします。」


隣に立っているジークの肩に優しく手を置く。


「私は人間が好きなの。最初は人間関係を築くのに苦労した。でも、今はこんな私の周りには人間と同じ様に大事に思ってくれる人がちゃんといる。今更その人達を手放す事なんて私には出来ない。」


「はぁ…それが答えとして受け取って良いのか?」


「うん、そう思ってくれていいよ」


「残念だ。お前がこちらに来れば、他は見逃しても良かったのだがな。

まぁ後々気づかずに殺してしまうかもしれないが。

そうしないとは約束は出来んな。

まぁ、どちらにせよ下等種族どもだ。1人殺そうが、100人殺そうが、都を1つ火の海にしようが私にとっては全く変わらんよ。

エルフは長生きする種族だ。

それに悪魔の眼を手に入れた私には寿命がどのくらいなのかはもう分からない。

寿命が100年も無い人間どもに執着するのはやめろ。

時間の無駄だ。気にした所で欲に負けて裏切られるか、先にこの世を去る弱い生き物なんだよ。人間という生き物はな。」



その時、ソフィーの中で何かが小さく燃え始めた。

それは段々と強く燃え始めた。

ソフィー自身にもそれが何なのかは全く分からなかった。

ただ一つだけ言えることがあった。



“こいつは放っておくのは絶対ダメだ。”



氷柱剣(アイシクルソード)


瞬時に両手に、薄い水色の氷の結晶の魔法陣が現れ、氷の剣が左右で5本ずつ生成される。

それをキャッチボールに似たモーションで投げつける。


ギルガゼイヤはそれをあっさりかわす。

だが氷の剣は、彼の後ろでカーブしながら再びギルガゼイヤに迫る。

普通の人間であれば防ぎようがない。

そもそも真後ろに眼が無いのだから。

だが…


「なっ…エルフなのに…」


ギルガゼイヤそれをいとも簡単に地面に叩きつけてしまった。

それも、手ではなく、背中から生えた悪魔と同じ翼で。


「あぁ、この翼か?驚くのも無理はない。先程エルフと言ったのだからな。これは、眼を譲って頂いた時に得た物のひとつだ。他にもあるぞ。これが避けれるかな?」


そう言って2人に向かって手を突き出した。


(やばい、この魔力!)


「ジーク!離れて!」


「え?!」


ソフィーの警告から1秒も経たないうちに2人の目の前には日光に照らされてキラリと光った禍々しい真っ黒な氷河が津波のように押し寄せていた。


(これってまさか『死之氷結(デスフロスト)』?色が違うけど…ってそれより!)


若干慌て気味で両手を前に出す。


氷結壁(フロストウォール)


地面に魔法陣が現れる。

黒い氷に対し、ソフィーは本来の水色の氷の壁を生成し、ギルガゼイヤの魔法を止めようと試みる。

ソフィーの氷の壁が黒い氷を受け止める。

双方の氷がぶつかり、甲高い音と共に衝撃が走り、氷の破片が飛び散る。


「ジーク!」


「はいよ!」


ジークも両手を突き出す。


「『聖光防御(ホーリープリベント)』!」


ソフィーの氷の壁と、ソフィー自身の間に金色の魔法陣が現れ、押され気味だったソフィーの魔法を支える形で防御に入った。


(何とか耐えれそう…それより…)


「なんだろ、この魔力の違和感…」


「どうしたんだソフィー!こんな死と隣り合わせの状況で、何考えてんだ!」


実際、ソフィーの氷もヒビだらけで今すぐにも粉々になりそうだ。

ジークの表情も、これ以上耐えれなさそうだ。


「なんか、相手の魔法が、これまで戦った敵とは違う何かを感じる…何だろこれ…繋がり?」


「それより!俺左、お前右!」


瞬時に言われた言葉だったが、ソフィーは直ぐに理解した。


氷の壁が砕け散った瞬間、ソフィーは右に大きく跳び、ギルガゼイヤの攻撃を回避した。

ジークも同様の動きでかわした。


(ふぅ…2人で何とか耐えれた感じだな…)


砕けた氷の影響で発生していた真っ白な煙の中から、声がした。


「あれを耐えきるとは、人間と共に生きてるにしては骨があるようですね。」

その声の主はもちろんギルガゼイヤだ。

ゆっくりと拍手をしながら歩いてきた。


「私も少し、本気でも出してみましょうかね。さっきまでの兵士よりは楽しめそうなので。」

そう言うとギルガゼイヤは、今度は右手に魔力を集め始めた。赤黒い瘴気が、細長く実体化していく。


(もしかして、あれって…)


最後に瘴気が右図を巻いて消え去ると、そこには、赤黒い刀身に、金色の装飾の施された禍々しい、いかにも悪役が使いそうな魔剣がギルガゼイヤの右手に握られていた。


「魔剣ギルスだ。こいつを使うのは数百年ぶりだ。楽しませてくれ。」


そう言って魔剣を構える。


その姿にソフィーと並んで居たジークは一歩前に出た。


「ソフィー、俺が仕掛ける。カバー頼む。」


「えっ…絶対無茶しないで。お願い。」


「あぁ、じゃっ、行くぜ!」


その言葉と共にジークは地面を力強く蹴ってギルガゼイヤに連続で切り掛る。

ジークは最初から『身体強化』を自身に付与してはいるが、それでもギルガゼイヤに傷を負わせるには届かないでいた。


ソフィーは、ジークとギルガゼイヤが戦っている所から10m程離れた場所に居た。

頭の中には先程の魔力の繋がりのような違和感に対する疑問が拭えずに居たが、両頬は、同時にパンっ!と叩き、自身に気合いを入れた。


(シャキッとしなさいソフィー!)


そして、ジーク自身にも付与魔法を送り始めた。


複数発動(マルチアクティベーション)』『身体強化・改』『刀剣強化』『魔法障壁(マジックバリア)』『肉体防御(フィジカルディフェンス)』etc…


ソフィーは自身の脳内の覚えている魔法をまるで、図鑑の索引から調べるかの様に、思いつく限りの付与魔法を全てジークに付与した。

ケガをしたら回復魔法をかけ、時々相手の隙を狙って『氷柱剣(アイシクルソード)』を投げつける。


(どこかで、大きめの魔法ぶちかましたいな…)


そんな事を考えていると、1秒程、ジークと目が合った。

そうして双方はアイコンタクトを交わした。

その時、ソフィーは、何故だか自分の考えが読んでもらえた気がした。


ジークはそのままギルガゼイヤに攻撃をしかける。


そして、信じた。

ジークが私に攻撃のチャンスを必ず作ってくれると。


(必ず来る。絶対。)


ジークのミスリルの剣と、ギルガゼイヤの魔剣が何度もぶつかり合い火花が散る。


そして、ジークは、遂に動いた。

今までと変わらず斬りかかったが、その時は剣がぶつかった後、瞬時に離脱をした。


(今だ!)


複数発動(マルチアクティベーション)』『氷柱剣(アイシクルソード)


今まで、ジークやオリアスに対して使ったのと同じ攻撃を仕掛ける。

氷の剣は、ミサイルのように回避するギルガゼイヤを執拗に追尾して攻撃を仕掛ける。

氷の剣、魔剣に斬られたり、かわされて地面に当たって砕けたりして、どんどん失われていくが、ソフィーはどんどん新しいのを追加していった。

気づけば最初に生成したのよりも多くの剣がギルガゼイヤをおっていた。


「ちっ、うぜぇな」


この戦いで初めてギルガゼイヤが不満を口にした。


再度、氷の剣をかわした瞬間、更なる攻撃をソフィーは仕掛けた。


『死之氷結』


先程のギルガゼイヤのとは違い、水色の『氷柱剣』の数倍もの大きさの巨大な尖った氷がギルガゼイヤに迫る。

ギルガゼイヤはこれをかわせたが、その先には『氷柱剣(アイシクルソード)』の群れが待っていた。

数十本もの剣がギルガゼイヤに襲い掛かる。


「くっ…多いな…」


大半は赤黒い魔法陣によって止められ、別方向からのも魔剣によって切り捨てられたが…

それでも全てをカバー出来ず…


遂に、ギルガゼイヤの氷の剣が頬を掠り、血が垂れた。


その血は人間やエルフと同じ赤い血では無く、悪魔と同じ黒い血だった。


「はぁ…はぁ…これだけやって、あれだけか…」


「大丈夫か、ソフィー。」


ジークが、息が上がっているソフィーを気にしてきた。


かなりの付与魔法をし、更に魔力操作を行ったソフィー、ずっと動き回りギルガゼイヤに攻撃を仕掛け続けたジーク、2人とも着実に疲労が溜まっていた。


「これくらいなんて事ないわ。」


手の甲で頬の傷から垂れた血を拭いながらギルガゼイヤが話しかけてくる。


「2人ともやるな。特にソフィー、オリアスとの戦いを観察していたが、やはり魔法操作の腕が凄まじいな。是非とも仲間に欲しいものだよ。」


「そのお誘いは既に断ったはずでしょ。しつこい男性はモテないわよ。」


「くっくっくっ…そう言われるとやはり欲しいな…今から言う事を聞いても同じ気持ちで居られるかな…」


(一体何を言う気…)


「お前と私の不思議な魔法の繋がり、戦闘中ずっと気になっていたが、やっと謎が解けた。お前、もう一度名前を教えてくれ。今度はフルネームだ。」


(え?どういうこと?まぁ、別に教えるのは良いか。)


「ソフィー・ベネットよ。」


「ふははははっ、やはりか!やはりそうだったか!」


「どういうこと?これで終わりならまた攻撃を仕掛けるわよ。」


「まぁ待て、ついでに私のフルネームも教えよう。きっと驚くだろうな。

私の名前は、ギルガゼイヤ・レディア・ベネット。つまりだ、お前は俺の子孫なのだよ!」


「?!」



To be continued

眠い

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