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ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第4章 遠征
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二人(?)の格闘王

 「こ、これは。」

 現れたキックボクサーは・・・・、そのいわゆるカンガルーでした。

 たしかにボクは、カンガルーについて聞いたことがあります。

 カンガルーがサンドバッグを叩き、ボクシングをするという事を・・・・。

 カンガルーがスタスタと歩いています。

 その動物らしからぬ動きに、僕はドキドキとしていました。

 そしてカンガルーは、サンドバッグの前に立ちました。

 「おお・・・・。」

 そのカンガルーは両腕を構え、ファイティングポーズをとっていました。

 これから始まるのでしょう・・・。

 このカンガルーのサンドバッグを叩く、トレーニング・ショーが・・・。

 しかし・・・・。

 ~~~~ ピッ ピツ ~~~~

 ==== ガクッ ====

 僕は拍子抜けをしました。

 何故ならカンガルーはサンドバッグには向かわずに、いきなりラジオ体操に似た感じの準備体操を始めたのですから。

 ~~~~ クイッ クイッ ~~~~

 「・・・・・。」

 その小さな腕を上げ、人間じみた動作をしています。

 でもカンガルーは、カンガルーです。

 どこまでいっても、人間を同レベルの動作までには達しません。

 「ん・・・。」

 カンガルーの動作が止まりました。

 やっと始まるのでしょうか。

 

 ==== ビシイッ バシイッ ====

 サンドバッグが激しき音をたてています。

 そのカンガルーはハメていたグローブで、サンドバッグにパンチ・キックを放っていました。

 それはとても流暢なるアクションでした。

 まさに噂にたがわない、一人のボクサーなのです。

 確かに凄いです。

 もしこのカンガルーが人間に生まれていたなら、きっと立派なプロボクサーになっていたことでしょう。

 しかしこのカンガルーのアクションは、それだけにとどまらなかったのです。

 「おっ。」

 今までとは明らかに違う動きを、カンガルーは始めていました。

 ===== ガシッ =====

 「う?」

 僕は思わず疑問形の声を漏らしました。

 それは打撃系の動作では無かったからなのです。

 それはいわゆる組技系の動き・・・・・。

 カンガルーはサンドバッグを抱え込みました。

 それはまるで、人間の首を抱え込んでいるかの如くであった。

 その小さな両腕でガッチリとサンドバッグをキャッチしています。

 ==== ズコン ズコン ====

 そしてサンドバッグに、自分の膝をたたき込んでいるのです。

 こ、これはまさに首相撲(※)・・・なのです。

 

 (※)首相撲・・・格闘技の技術であり、相手を掴んでコントロールし、膝や肘、時には相手を転ばす技術です。

 

 その様子は、まるでキックボクサーそのものだったのです。

 僕は想像したのです。

 もしもこの中に自分が入ったら、このカンガルーにサンドバッグにされるのではないでしょうか。

 ==== ゾクゾク ====

 そんな事を考えるだけで、僕の背筋は凍り付いたのです。

 もうこれだけで、このカンガルーを観察するのは十分でした。

 しかしこのショーは、それだけでは終わらなかったのでした。

 いえ、むしろ盛り上がるのは、これからなのでした。


 「おわっ!!」

 僕は思わず、驚愕の声を上げたのでした。

 このカンガルーの傍に、ある人が現れたのです。

 その人物は、動物園の職員とかでは無かったのでした。

 ありきたりな状況では、僕が驚くはずはありません。

 だからその人物は、それなりに驚嘆に値するのです。

 「・・・・・。」

 この人は服の上からでもわかるくらいの、屈強な肉体を持っているのです。

 まさにこのカンガルーが、カンガルー格闘王としたら・・・、この人は人間界の格闘王といえるのではないでしょうか。

 しかもこの人物を、僕は知っているのでした。

 この人は世界的な有名人なのです。

 この人の名は、ジャッカー・チン、中国系アメリカ人のカンフーアクションスターなのでした。

 しかし何故この人が、此処に・・・・。

 疑問は深まる一方なのでした。

 しかし、そんな僕を差し置いて、事態は進行してゆくのでした。


 「よし、始まるぞ。」

 ヒートが期待をして様な眼差しで、カンガルーとアクションスターを見つめていました。

 (な、なんだ・・・。)

 「うおっ!」

 またしても僕は、驚嘆の声を上げてしまいました。

 それも仕方が無いのです。

 ==== ガシッ ガッシ ====

 何故ならジャッカー・チンとカンガルーが、いきなりスパーリングを始めたのです。

 腕と腕、脚と脚が交わり合います。

 ==== シュバ シュババ ====

 速い・・・、とても速いのです。

 二人(?)の掛け合い、攻防は非常に目まぐるしく、とても自分の目では追えないのです。

 しかし・・・。

 「しかっり見ようよ。」

 ヒートが呟きました。

 その一言で、ボクはハッと気が付いたのです。

 今日ヒートは、ただ単に僕達を遊びに誘ったのでは無かったのです。

 彼は動体視力を鍛えるために、わざわざここを選んだのでしょう。

 それが分かった僕は、必死に二人(?)の格闘を目で追っていたのでした。

 ==== 見える 見えるぞ ====

 次第に僕は見えてきたのです。

 この二人(?)のアクションが・・・・。

 そんな僕とは関係なく、二人(?)の格闘王は鎬を削っていたのでした。

 

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