格闘家のスタイルでした
ロイヤルパーク駅。
ここは文字通り、公園の名です。
そしてこの駅は、ロイヤルパーク(※)の中に位置しているのです。
(※)ロイヤルパーク・・・メルボルンの都心部で最大の公園です。メルボルンCBDの北4km、オーストラリアのビクトリア州、パークビルの郊外にあります。
僕達は歩きだし駅を出ました。
ここでふと思い出したように、自分は思ったのです。
先程の列車での夢は、本当に夢だったのでしょうか。
それは夢と言うよりも、まさに走馬燈と言うべきなのではないのでしょうか。
何故なら、あの白人の少女は別の場所でも会っています。
彼女と老夫婦のレストランで食事して、エキゾチックな寺院、トンネルの造形美、面白いオブジェ、そして一緒にボートに乗って、、
そしてふと我に返りました。
自分なりに悟っているつもりなのです。
それが只の夢でも、正夢でもないことを。
彼らに再び会う日が、それほど遠い未来では無いことを・・・・。
そして僕達は動物園の前にいました。
ここはメルボルン動物園(※)です。
(※)メルボルン動物園・・・オーストラリア最古の動物園で1862年に開園した。コアラやウォンバットなどがみれます。最寄の駅はロイヤルパーク駅。
何故、動物園?
と思いましたが今まで何の考えもなかった、人任せな自分がその様な事を申す資格はありません。
だから純粋に、この場を楽しむのが正しい道だと言えます。
「行こうか。」
まあ、深い理由はないのかもしれません。
僕達はヒートに導かれ、入園したのでした。
コアラがユーカリの葉を食べています。
この子は耳も鼻も丸っこいのです。
とても平和な顔をしてます。
そしてウォンバットも丸々として可愛らしいです。
コアラよりも、さらに丸いのです。
ウォンバットはコアラと生態は違いますが、コアラに近い動物だそうです。
まあそんな事は、あまり気にする必要はないのではないでしょうか。
こんな争いとは無縁な世界を、僕らは垣間見たのです。
そうです、現在の僕は癒されているのです。
それは傍にいるサニーも、恐らく同様なのではないでしょうか。
僕達は穏やかな動物たちを見て、日頃の殺伐(!?)とした練習の日々を忘れていました。
だから僕は、今日はヒートに対して感謝しなければいけません。
こんな思いがけない穏やかな時間を、彼は提供してくれたのですから。
でも・・・・。
(??)
たぶん自分は、キョトンとした顔をしている事だと思います。
そして何故そうなのかと言うと、それは意外にも・・・・。
とても彼は、冷静な顔をしています。
それは今の自分にとって、非常に意外な状況だったのです。
(ヒート・・・。)
心の中で戸惑いの入った呟きを、僕はしたのでした。
その理由は、この場に誘ってくれたヒートにあるのです。
今の彼はハッキリ言って、あまり楽しそうに見えないのです。
これはどうゆう事なのでしょうか。
僕は心配になってきました。
だって、この休日のイベントに誘ってくれた張本人であるヒートが、全く楽しんでいないなんて納得がいかないのです。
しかし、そんな杞憂は無用なのでした。
「うん、そろそろ行こうか。」
まるでその場を切り上げるかのような物言いで、ヒートは歩きだしました。
(こ、ここは)
ヒートについてきて、僕達はここにいました。
でも、戸惑いの感情がボクにはありました。
それは何故かと言うと・・・・。
ここの動物のいる檻のはずなのですが、ちょっと雰囲気が違います。
それは、ここに場違いなものがあるからなのでした。
(何故これが・・・。)
その場違いなモノ、それはサンドバッグです。
そうです、ボクシングとかの練習で使うアレなのです。
そこで思わず僕は、ヒートの横顔を拝んだのでした。
(うっ・・・。)
自分としては、少し面食らったのです。
どうしかって?、それは彼の表情が思いのほか生き生きとしていたからなのでした。
それはヒートの今回の動物園の目的が、此処であることを物語っていたのです。
しかし一体何なのでしょうか。
檻の中には何もいません。
それに繰り返し言いますが、今までの動物たちとは別次元のオーラを感じるのです。
ここの主は・・・・。
「でてくるぞ。」
ひときわ目を輝かせてヒートは、僕達にも呼び掛けているのか、はたまた独り言なのか力強く言葉にしたのです。
===== 格闘家のスタイルでした =====
彼(?)は両手にグローブをハメていました。
設置されたサンドバッグから、それは正しい装備なのです。
そして誠に筋肉質そうな体つき・・・。
本当に彼(?)が如何なる動きをするのか、その外見からは自分は想像がつかないのでした。
・・・・・その彼(?)は人間ではない・・・・・。




