第2章 カブトムシ
ルーファスが死んでから1週間後、キャサリンは黒のパーティードレスを着て、とある街の中心にあたる広場に立っていた。
キャサリンの側に、長い茶髪の髪を束ね、薄い紺ののデニムに白のカットソーのTシャツ、グレーのカーディガンを纏ったサダが腕を組んで歩み寄った。
サダ「どうしたの?こんな何もない街を攻めたりして。」
魔物達が暴れまわり、街のあちこちで火の手があがり、多くの人々の死体が転がっていた。
街はすでに崩壊し、人々は広場にいるキャサリンの回りに集まり土下座をした。
街の人々「魔王様、私達はあなたの支配下になります。」
「なんでも言うことを聞きますから、命だけは!!」
「勘弁して下さい!!参勤交代でもなんでもしますから!!」
「ファミマのポイントカードあげますから!!1300ポイントぐらいあるんです、このカード!!」
サダ「キャサリン、もう攻めるのやめたら?降伏してるわよ。」
キャサリンは、深く大きいため息をついた。
魔王・キャサリン「ハアアアアア。こんなことしても、ルーファスはもういないのよね。この街の市長は?」
土下座をしている人々の中から、1人の男が立ち上がった。身長170ぐらいで、グレーのスーツを着た男だった。
市長「わ、私です。」
市長はビクビクして、足が震えていた。
キャサリン「震えちゃって情けないわ、ルーファスなら震えたりしないはず。」
そう言ってキャサリンは男に近づき、男の腹めがけて右手の手刀を放つと、手刀は腹を貫き、背中から指先が出てきた。
市長「ぐわああああ!!パソコン・・・・明日から・・・・打ちます・・・・だから・・・・命だけは・・・・私にパソコンを勉強・・・・する時間を・・・・。」
キャサリンの手刀は、市長の水分や血を吸いつくし、骨と皮だけになった市長を地面に投げつけた。
サダは、土下座をしている街の人々に向かって言った。
サダ「早速新しい市長を選んで、今月末からこの口座に、150万振り込んでね。毎月月末に150万よ。振り込まなかったり遅れたりしたら、あなた達全員、皆殺しよ。」
サダは、土下座をしている前列の男に、口座番号が書かれたメモ用紙を渡した。
キャサリンは雄叫びをあげ、その声を聞いて魔物達は次々と、付近の森や泉へ帰って行った。
サダ「ルーファスは、あなた無しでも闘えるようになりたかったのね、だから空手を。」
キャサリン「別に弱くてもいいのに。むしろ、頼ってほしい。強さだけが、私の取り柄だから。」
サダ「そうね、あなたは姿は女子でも中身はドラゴン。強力な魔法もあまり効かない。防御力もほぼ鉄壁、攻撃力は無限大。雄叫びで、大勢のモンスターを従わせることができる。ただ、魔法が使えないだけ。それでもたぶん、あなたはこの世界で最強ね。七色の男は倒しに行かないの?」
キャサリン「七色の男・・・・今はまだ気分がのらないわ。ポナ村は、ルーファスが蛇に噛まれて死んだ場所の近くだし。」
サダ「そうか。じゃあ、お腹も減ったし、何か食べに行く?」
キャサリン「それじゃあ、静寂の森に連れて行って。」
サダ「分かったわ。ムーブメント改・静寂の森へ!!」
キャサリンとサダが消えていなくなり、街の人々はほっとひと安心した。
街の人々「とりあえず、市長をまず選ぶか。」
「そうだな、それから街の税金で150万払おう。」
「早く街を再建させないとな。」
一 静寂の森 一
静寂の森は少し肌寒く、クヌギの木で森が成り立っていた。
キャサリンは、クヌギの木や地面を指で穴を開けたり掘って、カブトムシやクワガタの幼虫を取って食べ始めた。
サダ「ちょっとヤダ!!気持ち悪い。私はそんな物食べれないわ。安いランチのカフェがあるから、そこに行くわよ!!」
キャサリン「え?こんな美味しい物、あなたは食べれないの?」
サダ「無理!!さあ、行くわよ。」
キャサリン「ちょっと待って!!一気食いするから。ここにたくさんの幼虫がいると、私は睨んだわ。」
キャサリンは、一際大きいクヌギの木の根元の地面を掘って、カブトムシの幼虫を100匹ぐらい取り出した。
そして、両手でカブトムシの幼虫を次々と口の中に堀り込んで、グチャグチャと噛んで食べ始めた。
サダ「オウエエエエ!!オエッオエッオウエエエエ!!オエッオエッオウエエエエ!!オエッオエッオエッオエッオウエエエエ!!」
その様子を見たサダは吐き気を催し、近くのクヌギの木にもたれて、目をつぶってキャサリンを見るのをやめた。
キャサリン「食べ終わったわ。じゃあ、カフェに連れてって。」
サダが目をあけてキャサリンを見ると、キャサリンの口元にカブトムシの幼虫の足が1本ついていた。
サダ「オウエエエエ!!オエッオエッオエッオウエエエエ!!オエッオエッもう、カフェは行かない!!無理!!オエッオエッオウエエエエ!!」
静寂の森に、サダの嗚咽がしばらく鳴り響いた。




