お父さん、ビールを呑む
ログアウトし、何かモヤモヤしている私は気持ちを切り替えようと部屋を出て一階へと降りた。
リビングでは今夜もハンカチを片手に朝子さんが韓流ドラマを観ている。
『あら、今日はもうゲームは終わりなの?』
「あ、あぁ何だか今日はもういいかな。朝子さん、缶ビールまだあったかな?」
『冷蔵庫に冷やしてあるわよ、あっ、私も呑むからおねがーい。』
「はいはーい。」
リビングで缶ビールを呑みながら二人で韓流ドラマを観ている。
ドラマでは離れ離れになっていた二人が駅のホームで再会したところみたいだ。
『きゃーっ、この二人はね学生の頃に出会って大学を卒業する日に彼が告白したの。でもね、彼のお父さんが二人の交際に反対するのよ。お父さんの差し金で彼は海外へと行かされるのよね・・・。』
「へー、そうなんだー。」
返事はしているのだけど、頭の中ではゲームの事を考えていた・・・
『・・・だったのよ、でも諦めきれない彼は海外に料理の修業にいくのよ。なのにまたそのタイミングで帰国するもんだから彼は会えなかったの。もう毎回すれ違いばかりでヤキモキしちゃうのよねー・・・、聞いてる?』
「ふーん、そうなんだー」
『・・・・・・おい、聞いてねーだろ!さっきから生返事ばかりしやがって。またゲームの事でも考えてたか関係ないことばかり考えてたんでしょ!あなたは人が話してる時によく関係ないことばかり考えて人の話を聞かないのよねー。私以外の人に怒られたりしてない?』
缶ビールを握りしめ私を睨み付けて朝子さんは怒っている
私は朝子さんの言葉に雷に撃たれたような衝撃が走った
そうだ私はあの時ちゃんと老人の話を聞いていたか?今みたいに老人が私に説明しようとしているのに考え事ばかりしてちゃんと聞けていなかったのではないか?私みたいな初心者の冒険者にいろいろ教えて導こうとしていたのに、怒鳴り付けてしまうなんて・・・。
私は手に持っていた缶ビールを一気に飲み干した。
「朝子さん、ありがとう。朝子さんの言葉でさっきまでのモヤモヤした気持ちがはれたよ。明日にオウル導師にちゃんと謝って色々と教えてもらうよ。」
明日もゲームがんばるぞー!
『・・・・・・だから人の話は最後まで聞きなさいよ・・・、あっきゃー、ヨンジュンとホンマンがキスしたわーー!いやーん、萌えるはー!』
賢一に対しての激しい怒りは韓流ドラマ『彼と彼との恋愛ラビリンス』のクライマクッスシーンが始まったことで吹っ飛んだ朝子さんだった




