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大好きな妻が亡くなった  作者: ゆき


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60日目 グリーフ・リバウンド 弍


8月30日(日)

午前4時半頃

深夜に何回か起きるも妻の夢は見なかった。

物凄く寂しさを感じながら起きる。

昨日は感動の涙を多く流した。

今日はその反動なのか気持ちの沈み方が酷い気がする。


明後日は妻と私の共通の友人、女友達3人が家に来てくれる。

本来なら喜んで部屋を掃除するはずが動く度に気持ちが沈み自分がどん底にいる様な気分になる。

グリーフ・リバウンド、感情の揺り戻しが顕著に現れている。

自分でも理解はしているが心が言う事を聞いてくれない。

何とか作業をこなそうとするが一つ仕事を終わらせる度に心が沈み中々前へ進まない。

仕舞いには妻の名を呼び泣きながら会いたい会いたいと各部屋を周りガクッとしゃがみ込んでは俯いて動けなくなる。


ダメだ…

心が言う事を聞いてくれない。

ちょっと落ち着くまでソファーでゆっくりしよう。


午前7時半頃

朝食、今日は小さなパン1個でいいか

あと糠漬けの胡瓜

妻の仏前にパンを置き暫くしてから妻に「いただきます!」をする。

自分の前にパンを持って来て再度「いただきます」で食べる。

これが日課になるのだろうな

そう思いながらパンを頬張る。


まだ元気が出ない。

テーブルに置かれた昨日届いたクレジットカードを確認する。

こちらの方がお得になりますと店員に言われ作ったカードだ。

あまりカードは作りたく無い派なのだが安く、ポイントUP、お得と言われると経済しないと底をつくであろう今の私には心地良い響きとなり言うがままに従う。

妻が亡くなってから新しいカードが4つも増えて正直不安でしかない。

早速アプリを登録する。


午前11時半頃

少量の食事を済ませ何とか心も落ち着いたので掃除を開始する。


一通り掃除を終え椅子を探す。

明日3名もウチに来るのに2名座りのソファーしか無い。

仕事用に買った事務椅子はあるが幅があり過ぎるし困った。

あ、封印していたキャンプ椅子があった。

袋から出すと脚下が泥だらけだった。

テッシュで拭き掃除機で吸う。

一番下はビニールでも被せよう。


まじまじと椅子を眺める。

あぁこのキャンプ椅子は妻と私のお気に入りだったんだよなぁ常にコイツを持って行き2人で並んで座って綺麗な風景を眺めるのが私達の楽しみだった。

その情景が目に浮かびまた潤っとする。


「この椅子でキャップ飯を食べたり風景を見たり焚き火を堪能したよなぁ」

「また2人でこいつらと旅を満喫したかった」


やっぱりこの椅子だけは見ていると辛い。

でもあれだけキャンプ道具を売ったり捨てたりした中でこの2組の椅子だけは捨てられなかった。

なので袋を被せ封印していたのだ。

でも今回は活躍してもらうよ


午後2時頃

桜の苗木

椅子の泥取りをしていると珍しく来訪を知らせるチャイムが鳴った。

インターホン越しに「〇〇ですけど」と女性が尋ねて来た。

私が「どちらの〇〇さんですか」と尋ねると三軒裏の〇〇さんとのこと

普段ならこう言った事は妻が対応するのでインターホン越しの00さんは私の声を聴き身構えてしまい「また後で来ますね」と言って帰ろうとしていた。

急いで「いや待ってください」と留め急いで玄関を開ける。

何でも隣の公園に桜の苗木を3本植えたいとの事で署名を集めていたらしい。

私としては大歓迎なので早速署名をしようとするもぽろっと「先月妻が亡くなりまして私ご近所の事何も知らないでしょ」と言った途端涙が溢れ出し「なので今色々ゴミだしやら回覧などご近所さんを把握しようと思いまして」ぽたぽたと地面に涙が落ち「何も知らないのでもし分からない事があれば教えて頂けると助かります」

そう言うと〇〇さんがビックリした顔になり「えっついこの間までは元気な感じだったのになんで?」

私が「はい、前の日までほんと元気だったんです。でも次の日には冷たくなっていました。」

そう言うと〇〇さんの目からも大粒の涙がこぼれ出し「そんなあんなに元気そうだったのに」

その後色々話して頂き「困ったら三軒向こうの〇〇だから何でも聞いてちょうだい」って言ってもらってとても嬉しかった。

その間、桜の木の署名を済ませる。

最後に「どうかご無理をなさらないでね」と言ってもらい話しが終わった。


良かったねムッチ

ムッチの為に涙を流してくれたよ


私も大変嬉しかった。

むつみの為に涙を流してくれるなんて物凄く感動した。

ありがとう〇〇さん!


午後5時

少し曇り空でそんなに暑くない。

なのでベランダの妻のお気に入りエリアで外の風景を眺める。

夕焼けであれば本当は良かったのだが今日はあいにくの曇り空。

妻も毎日見てたであろう墓場の向こうに広がる林を眺めるのはとても気分が良い。

この天候で林も暗い感じだが残暑も無く良い感じの微風が心地良く肌を通り抜ける。


あと3日か…

妻が亡くなってから丸二ヶ月目になる。

何と言うか妻の命日から離れていくのは寂しさがある。

それに三ヶ月になり半年となり一年経った時に段々と妻の記憶が薄れていくのかと思うだけで悲しい気持ちになった。

本来2人の未来を見据えた老後を楽しむ日めくりカレンダーになるはずだったのに…

それはもう叶えられない夢になってしまった。

私は令和8年7月2日と言う妻の命日をいつまでも感じていたい。

2月26日妻生誕、2月11日結婚記念日、そして7月2日妻他界、時が流れ時代が変わったとしても私はこの日を忘れない。

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