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大好きな妻が亡くなった  作者: ゆき


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4日目 思い出の整理と礼服


7月5日(日)

午前2時

「ぎゃぁぁ痛ーい!がぁっぐっ…」

今日も尋常では無い痛みで起こされる。

しかも今日は両足、布団の上で踠き苦しむ。

こう言う時に限って尿意が酷いもので攣りの痛みと合わせて我慢しなくてはいけない。

何とか立って壁やら階段の手すりにつかまり痛い痛いと言ってトイレへ向かう。

生前妻が居た時も迷惑掛けたな

あの時の妻はどうする事も出来ずにオロオロしていた。


足を引きずり何とかトイレに辿り着き攣った足のまま痛みに耐えて用を足す。

トイレを終えリビングへ向かう。

キッチンにあるカウンターの手すりに掴まり立ち姿勢を維持、頃合いをみてソファーで攣りが引くのを待つ。

痛みが引くと寝不足もあり呆け出す。

呆然と壁を眺め何もやる気は起きない。

次第に意識がハッキリすると妻の事ばかり考えるようになり言いようの無い不安と寂しさが襲ってくる。


会いたい…会いたい、会いたいよ

ムッチぃ会いにきてよ

恋しいよ〜寂しいよ〜会いたいよムッチぃ…


妻の名を呼べば呼ぶ程辛くなる。

啜り泣き鼻をかむ

堪らなく辛いし物凄く胸が締め付けられて痛い。


午前5時

薄明かりの中雨戸を開け部屋を明るくする。

見えて来るのはむつみと言う思い出達、あらゆる物に妻の思い出がある。

見ているだけで辛くなる。

見る度に思い出が湧いて来る。

でも捨てられない。

そしてまた涙が込み上げて来る。

捨てたくは無い、捨てる事で妻の存在が無くなる気がしてきっと捨てた事を後悔する。

然し見ているだけで思い出が蘇り胸が締め付けられ涙が止まらない。

他の部屋に隠す様に片付ければと考えるが他の部屋もスペースの余裕は無い。

どう転んでも苦しく辛い。


この家は散らかし癖の私のせいで荷物だらけになっている。

特に妻と行ったキャンプの大型道具の数々が一部屋丸々使って物置化しており埃まみれだ。

リビングの隣がその部屋なのだが足の踏み場も無い程積み上がっており前から何とかしなくてはと考えていた。

決断する!

何か目的を持って行動しないと今の私の精神が崩壊しそうなのでまずは売ったり捨てたりしよう。

無理せず出来る所から始めよう。


この時の私は気持ちを切り替えたと言うよりとても余裕がなく無理をしていた。

早く何々しないと直ぐに何々するべきと気ばかりが先行していた。

見る物全てが辛かったから

とにかく目の届かない所に思い出を隠したかった。


片付ける前に葬儀に来て行く礼服をどうするか考えないといけない。

礼服はあるにはあるのだが今の私の痩せた体型では子供が大人の服を着る様なものでとても着て行ける状態ではないだろう。

礼服を購入した30年前の私は相当太っていた。

それから現在、妻が亡くなる直前の私の体型は中肉中背で中年のよくある体型だった。

だがこの一件以来食事をしないだけでみるみる痩せてしまった。

購入してまた痩せたらと思うとやはりレンタルがいいのか?


さて、レンタルか?購入か?

今って購入すると幾らするのかな

取り敢えずいつでもレンタル出来る様に目ぼしい所を調べておくことにする。


午後12時

兄から電話がありむつみに会いに行くか聞いてきた。

連日兄には付き合ってもらってばかりで何も返す物がない。

とても行きたい気持ちはあったが今日は日曜日兄には休んでもらおうと思い丁重にお断りした。

正直、言い終わって後悔した。

会えなくなる日が刻一刻と迫っているのに私は何をやっているのか


午後1時

部屋を片付ける。

まずは掃除機を出し目立つ所を掃除した。

次に売る物と捨てる物を仕分けをする。

売る物には沢山の思い出があった。

二人で有意義に過ごせる様にと大きめテントだ。

この中で薪ストーブを焚いて二人で暖をとった。

ストーブの灯とオイルランプの揺れる炎を見ながら妻自慢の料理もた食べたな…


仕分けを中断し涙が止まらなくなった。


今回はもう使わない、使えない大型物中心に色々仕分けをした。

捨てる物を含めると凄い量になった。

自分の為に買った大型のDIYグッズまで出てきてDIYをする気力も無いので売ることにする。

ちなみに箱から出してもいない新品だ。

リビングには売る物、捨てる物が散乱した。

一時的に袋詰めにした物を2階に持って行く。

一部屋一杯だったキャンプグッズが1/3程度になりスッキリとした。

その代わりリビングが大変な事になっている。


辛かった…

見る度に涙し思い出が蘇る。

テッシュも膨大につかった。

ほんと辛い作業だった。


午後6時

疲れて動けない。

立てば目眩もするしで困った。

食事せずお茶だけなのだから当たり前か

冷蔵庫を覗くと空っぽになっていた。

そうか…腐りそうだったから一斉にゴミ出ししたんだっけ

冷蔵庫の中は普段なら妻と私の作った物に食材が所狭しと並んでいるものだがもう殆どない。

あるのは調味料や飲み物ばかりだ。

冷蔵庫の上を見るとプロセスチーズがあった。

お酒のおつまみだ。

今日はこれを1つだけ頂こう。

食欲はないが死んでしまうので仕方なく食べる。

食べない事はやっぱり自殺に入るのかな?


午後8時

疲れたので眠る事にする。

普段の私なら午後11時か12時就寝が普通だが妻が亡くなってからというもの物凄くだるくなり早々と寝床に入るのが当たり前になっている。

泣く事は相当体力を奪うのだと感じる。

今日も布団を被ると泥の様に眠った。

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