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大好きな妻が亡くなった  作者: ゆき


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53日目 グリーフ・リバウンド 壱


8月23日(日)

午前4時頃

そこそこの二日酔いで目が覚める。

昨日は友人と会いとても楽しい時間を過ごさせてもらった。

妻を忘れた訳では無いがその悲しみが随分緩和した気がする。

やはり友人の持つ優しさには大きなものがある。


若干頭がぐるぐるしているのが分かる。

トイレを済ませお茶を大量に飲む。

相当喉が渇いているせいか続け様に二杯ガブガブと飲み干した。

ソファーに座り酔いを覚ますが中々取れない。

ソファーに横になり暫く安静にしていた。


午後0時

大分調子も戻ってきた。

昨夜の散らかりも少々あり片付ける。

部屋がスッキリすると無性に寂しさが感じられる。

静かな部屋に時間だけが流れる。

普段なら隣の公園に子供らの声が聞こえるが今日は誰も居ずとても静かだ。

次第に寂しさが込み上げてきた。

また居ないはずの妻の存在を探し始める。

1階のリビング、洗い場、2階に上がり洋室そして寝室に来ると涙が停めど無く流れとても胸が苦しくなった。


ムッチぃ寂しい…


言えば言う程苦しくなる。

恋しい、寂しい、辛いし、寂しい

妻がいつも本を読んでいた寛ぎスペースまで来ると膝から崩れ落ち長座布団に頭を沈める。


恋しいよ〜寂しいよ〜


バンバンと長座布団を叩きながら妻の名を呼ぶ。

暫くそんな状態が続いていた。


何故そんなに強烈な寂しさや辛さが襲って来たのか理解出来なかった。

昨日はあれだけ幸せだったのに

何度かこの込み上げる気持ちは襲ってきた。

気がつけばもう夕方だ。

呆然としながらも2階の雨戸を閉め1階に戻りソファーに座る。

大分落ち着きを取り戻してきた。


AIに聞いてみた。

無意識下で故人に対して抱く感情

幸せの後に来る悲愴感は自然な事らしく専門用語で グリーフ・リバウンド と言うらしい。

日本語で分かりやすく言うと感情の揺り戻しの事をさす。

人が不幸の中で幸せを感じると自然に逆の感情に引き戻されるものらしい。

振り子の様に感情が左右される訳だ。

考え方は幾つかあるが私が思った事と一致したのは無意識の罪悪感の項目だった。

伴侶を亡くしてしまった悲しみの中で自分だけ笑っていると言う無意識の罪悪感が要因になるまさに今の私に当てはまると思った。


これらは決して悪いことではなく自身の心が悲しみから回復しようとする兆しらしい。


笑った後は悲しくなる訳か…

悲しいのは嫌だな

せめてその振り子の幅が狭くなってくれるのを祈るしかなさそうだ。


取り敢えず妻が亡くなってからこの波は頻繁に起きていたと思うが確認した今日からグリーフ・リバウンドのチェックをしようと思う。

観測する事で自身がこの感情の揺さぶりを克服出来るものか見ていきたい。

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