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大好きな妻が亡くなった  作者: ゆき


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50日目 骨壷を霊園に持って行く


8月20日(木)

午前4時頃

今日は妻の骨壷を霊園に持って行く日だ。

この骨壷の入った白い化粧箱をスリスリするのもこれで最後になる。

妻に甘い声で「ムッチぃ〜」と言って一杯触りまくった。

骨壷を開け妻の骨を撫でる。

「ごめんな〜ムッチぃ」何となく謝る

分骨するかとも考えたが私が死んだ時の事を考え粗末に扱われるのを避け止めにした。

骨壷を元に戻しているうちに涙が頬を伝う。

また化粧箱を摩りだし「ムッチぃ会いたいよ〜

」と啜り泣く。

もっと側に居てもらいたかった…


基本、骨壷を墓に入れないで家に置きっぱなしでも犯罪にはならない。

勿論、破棄すれば遺骨遺棄罪にあたり、3年以下の拘禁刑(懲役)が科されるとの事。

これは自分の庭に埋葬しても同じだ。

許可ある土地や海ならペースト状に砕けば撒けるらしい。

そもそも妻の遺骨を家に置きっぱなしにしても私が死んだら妻の骨壷は見知らぬ誰かに粗末に扱われるかもしれない。

やはり墓に眠ってもらうのが一番なのだ。

妻なら「大丈夫だよぉそこには魂は無いから〇〇ち(私の字名)の心が休まるなら側にずっと置いてもいいよ」と言いそうだ。

これは故人ではなく現世にいる私自身の問題だ。

妻の骨を粗末には出来ないのでやはり霊園で粉骨し埋葬してもらおう。


午前9時15分

妻の骨壷をシートベルトで巻き安全を確保して霊園に向かった。


30分も早めに着いてしまった。

ちょっと重たいが妻の骨壷を持ち妻の入るお墓を見せてあげようと墓石予定地まで妻と一緒に歩く。

墓石前まで来ると誰も居ないので大声で話す。

「ほらムッチーここだよ」

「ここからだと気持ち離れているけど一番テッペンが私らのお墓だよ」

「やっぱりさ〜眺めが良い所の方が最高でしょ」

「見下ろせる方が気分も良いし」

「どうかな?」

返事は無いが「うん、〇〇ち(字名)の好きにすればいいよぉ」と妻が言っている気がする。

と言うのも妻は相当興味ある物以外はいつもこの返事だった。

決して嫌だからではなく私を思っての事と支障が無い場合はこんな感じだった。

「では、戻ろうかね」

妻と一緒に霊園窓口へ向かう。


窓口で担当者を呼んでもらう。

担当者が来ると約束より早かったが快く対応してくれた。

担当者さんに埋葬許可証を渡し納骨に必要な書類と予定を聞く、その際位牌はどうするかも聞かれた。

霊園でも位牌を作れるらしい。

然し、お願いした坊さまの宗派では位牌では無く”過去帳“と言う物らしく丁重にお断りした。

話しが済むと骨壷を渡して終わりだ。

別れ際、担当者さんにお願いして化粧箱を触らせてもらう。


化粧箱を優しく摩る。

スリスリするうちに妻が恋しくなり目頭が熱くなる。

担当者さんも分かっているのか黙っていた。

「ムッチぃまた来るね」

担当者さんに深々と頭を下げ霊園を後にする。


また我が家から妻の痕跡が一つ消えた…

帰りの車中で心細さと恋しさが押し寄せぼろぼろ泣いた。


ダメだな私は…

妻の門出なのに未だにめそめそしている。

でもね泣く事は妻への供養、愛の証(あかし)だから許してほしい。

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