47日目 義母の葬儀
8月17日(月)
午前5時頃
妻は夢に現れなかった。
四十九日が間近に迫っているのに…
気持ちが沈む
午前8時
今日は義母の葬儀だ。
兄夫婦に義母の事で何か私にも手伝わせてほしいと頼み斎場の受付業務をもらった。
これが最後、しっかり義母の為に尽くしたい。
顔を洗い支度を済ませる。
10時までに行けば良いが受付を申し出た私は9時半には現地入りしておこう。
午前9時
車に乗り込みナビに斎場の設定をする。
出発した後に忘れ物(帽子)に気づき一旦戻り再出発した。
余裕持つつもりが出鼻を挫かれる。
ナビの指示通りだともう直ぐ着くはずだが墓石が並ぶ霊園をぐるぐる回らされる。
「あれ?これどうなってるんだ。」
ナビの地図を見るとナビが斎場の隣に目的地を設定しておりしかも斎場に繋がっていない。
途端に慌て出す。
ナビ子!頼むよー
スマホで上空写真を確認すると脇道らしき道路を見つける。
何とも分かり難い道だ。
一旦霊園らしき道を戻り、その脇道に入る。
何とか時間ぴったりに到着し早速斎場へ向かう。
午前9時半
斎場に入り係の人と挨拶を交わし受付の説明を受ける。
香典返しのリストをチェックする様だ。
来た人に用紙を渡し記入してもらったら私はそれに番号をふり引換券を渡す訳か
試しに自分の香典を出しチェックする。
用紙に書いた後で気がついた。
「あ、私は家族側の人間なのに香典返しはもらってはダメだろ」引換券を1枚無駄にしてしまった。
斎場スタッフの勧めで義母の眠る祭壇に案内される。
先ずは私が初めにお線香をあげられる様だ。
お線香をあげ義母の顔をみる。
長らく寝たきりで胃ろう処理を施された義母はやつれていて骨と皮になっており頬が痩けていた。
妻が世話していた頃から変わりのない顔だちだったがそれでも今改めて見ると痛々しさが伝わってくる。
思わず涙が込み上げる。
そして義母の顔近くで呟く
「お母さん、たぶんお母さんの隣にはむつみが居ると思う」
「むつみと一緒になれてとても幸せでしょ」
「どうか天国に行っても二人で幸せに暮らしてください」
「ムッチ、お母さんと一緒になれて良かったね」
「生前一杯心配してたものね」
「ほんと良かった」
「でも…正直羨ましい」
ぽろぽろと涙が溢れ目が霞む
祭壇はとても綺麗に装飾されており白メインの波打つ感じのデザインだ。
その中心に遺影が飾られ手前には義母が眠る棺がある。
お坊さまがお経をあげる机がありその後ろに焼香場が設けられていた。
席は40人程が座れるぐらいある家族葬に相応しいスペースになっている。
受付へ戻り机を見ると大きな義母の遺影が飾られている。
そのちょと斜め前にそれより数段小さい妻の遺影も飾らせてもらった。
取り敢えず準備万端だ。
午前10時15分頃
親戚らしき人が入って来た。
香典を貰い用紙に記入してもらう。
5分おきに親戚の方達が入って来た。
中には「むっちゃんお久しぶりだね〜」と挨拶してくれる方もおりその都度涙が込み上げていた。
暫くすると兄夫婦と長男に義父が入って来た。
あれっ?義父は来るのを躊躇していたと思うが?
何でも姉の話しでは無理矢理連れて来たそうだ。
そうだよお父さん、伴侶なんだから最後ぐらい会わないといけません。
最後に兄夫婦の長女とその息子が来て全員揃った感じだ。
兄夫婦の長女と長男は妻の葬儀にも出席してくれた。
私が以前会ったのは長男が学生で長女が結婚したての頃だったと思う。
今は二人とも立派な社会人であり既に兄夫婦には中学生の孫もいる。
受付終了
程なくしてお坊さまが入って来て葬儀が始まる。
長い長いお経が読み上げられる。
参列者の焼香が終わり長かったお経も終わった。
次に喪主である兄が参列者に向けて母の思いを読む。
涙を流し仏様となった母に手紙を読んだ。
あれだけ男気ある無口な兄が一杯泣いている。
私も貰い泣きしてしまった。
次に花を故人の周りに並べると義父が義母に別れの挨拶をしていた。
私は「お父さん、お母さんの顔を触ってあげてと父の手を掴み母の額にそっとおいてあげた」
私は妻の時を思い出し涙が停めどなく流れる。
棺は閉められ火葬場に送られる。
この斎場は火葬場と隣接しており程なくして義母は火葬された。
午後12時過ぎ
妻と同様に火葬中は昼食になる。
私は妻が亡くなって以来あまり食べる事が出来なくなった。
未だ食欲が無い。
なので大量に残ってしまった。
ほんと申し訳ありませんでした。
食事中、妻の葬儀に出られなかった親戚の方々から妻の生前の暮らしについて沢山聞かれた。
私は素直に答えた。
・日本の神様が好きなこと
・文献を漁り神様の研究をしていたこと
・縄文文化、言霊、日本人も研究していたこと
・日本と海外文化の繋がりも調べていたこと
・旅が好きで海外、国内と一杯旅をしたこと
・時代に漏れずスキー、スキューバ、バイク、キャンプとアウトドア好きだったこと
・お母さん大好き人間だったこと
・資産運用が得意だったこと
・そしてとても優しかったこと
一杯一杯話してあげた。
皆妻の違った一面を感じ感銘を受けていた。
私の中で妻を語る事は手向けだと思っている。
こんなに話せて私はとても幸せだった。
きっと妻も喜んでいるはず
お母さんの葬儀なのにむつみの話しで埋めてしまってすみませんでした。
その後収骨となり義母は骨壷に収まった。
火葬場から斎場待合室に戻る際私は何かに呼ばれる様に空を眺めた。
雲は多いが晴れ間もある良い天気だった。
そこに変わった雲を発見する。
一つの雲の真ん中にポッカリ正三角形の穴が空いていた。
するとその穴に雲が湧き仏様が坐禅を組んだ様な形に変化したのである。
スマホで撮ろうにも両手に荷物を抱えモタモタしているうちに直ぐに消えてしまった。
葬儀は終わり解散となった。
雲の話を兄に聞かせようと思っていたが、兄は忙しそうで話す機会を失ってしまう。
午後6時頃
夜になり落ち着いた頃合いに兄に電話をした。
勿論仏様の話を教える為だ。
私「あれはきっとお母さんです」
私「きっとお母さんがむつみと一緒に空で見守っているんですよ」
兄「ん〜…ほんとに?」
声色から察するに何となく信じている感じがしなかったが本心は分からない。
まぁ私の中では真実であり妻と繋がれた合図でもある。
それにしても今日はほんと疲れたな…




