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大好きな妻が亡くなった  作者: ゆき


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37日目 妻の年金手続き


8月7日(金)

午前、時間不明

「うっ痛っ…」

起きて早々この時点で悟る。

今日も夢は無理だったか…

たたっ痛いよー痛い

足を引きずり1階に降りる。


暫くソファーで足がこ慣れるのを待ち妻の遺影前まで来て座る。

もうすぐ四十九日を迎えようとしている。

仏教の縛りには拘らない主義だったがそれでも妻を感じていたい私には妻がまだ現世に居てくれる事を信じ藁をもすがる気持ちで一杯だった。


「ごめんなムッチ…今日も夢は見れなかった」

「会いたいよ…ほんと会いたい」


目が潤みだす。


「もうさぁ時間が無いんだよ」

「ムッチは天国に旅立つだろ…そしたらさもう会えないんだぜ」

「夢でも何でもいいからさ会いに来てくれよ」

「ムッチ、ねぇムッチー頼むよムッチー」


頬を伝う涙の量が半端なくズルズルと鼻を啜る音も大きくなる。

テッシュを取りに立ち上がりまたソファーに腰掛ける。

妻の背もたれクッションを抱きわんわん泣く。

その間ずっと妻の名を連呼していた。


午後2時

今日は妻の日本年金機構、年金手帳の解約手続きに行く日だ。

持って行く物の確認をする。

・年金証書

・個人番号、除籍記載の住民票

・誕生から除籍後の戸籍謄本

・私の通帳

・一応免許証も持参する

遺族年金が貰えるらしいがどの程度貰えるのか分からない。


午後2時45分

薄暗いビルの中に入ると何とも寂れたエレベーターがあり上階に登る。

日本年金機構、ここでいいのかな?

窓口で約束の時間と名前を告げ暫くすると仕切りのある個室に通された。


担当者に身分を告げ、予め電話で用意する様言われた書類を担当者に渡した。

色々気難しい話しを振られ何枚か書類に記入する。

すると妻の遺族年金支給額が教えられる。


えっ!?これっぽっち?


私と結婚後は確かに主婦となったが、前の会社の分もあるだろうに…こんな金額なの?

思わず担当者に「これ、間違いじゃ無いですよね?」と問うた程だ。


人の人生って儚いものだ。

これっぽっちの価値としか見ていないのか

何とも遣る瀬無い気持ちになった。

外国人には今まで平気で高い生活保護を支給していたのに何10年と働いた妻にはこれっぽっちなのか…


担当者がまだ色々言っている様だが、私の脱力感が半端なく受け答えはするも頭に入ってこなかった。

急に妻が可哀想に思えてきた。

ごめんなムッコ…

全ての記入を済ませ年金事務所を後にする。


悲しいし切ないよ


元より期待はしていなかった。

でも予想を遥かに超えた低さだった。

そう言えば前の会社の企業年金はもっと酷かったな

一度破綻し掛けたとかで電話の向こうで担当者が「あまり期待出来る支給額ではありませんよ」と言っていたが「妻の功績なので」と支給して頂く様お願いした。

面倒な書類提出、記入、配送を済ませ振り込まれた額は、千数百円だった。

いや、何処のお昼代だよって思った程だ。


世の中って世知辛いな


また一つ妻の足跡が消えた。

やっぱり物悲しい。

例え微々たる功績とは言え、妻が消えてゆく様で堪らなく切なくなった。

でも当の本人は気にも留めていないのだろうな

気にしているのは現世にいる私だけだ。

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