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大好きな妻が亡くなった  作者: ゆき


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32日目 妻が亡くなって一ヵ月


8月2日(日)

ふと目が覚める。

足攣りはそれ程でもなくゆっくり起き上がる。夢は見たが記憶に無い。

時計を見ると8月2日午前4時21分だった。

意識がぼんやりしている。

夢でもみている様に隣に寝ていたはずの妻の布団を摩る。

そっか…妻が亡くなって丁度一ヵ月だ。

死亡推定時刻早朝5時…もう直ぐだ。


人と言うのは区切りを求めるらしい。

5時なれば何かが変わる気がした。

体は言う事を聞いてくれないが何とか1階に降りトイレを済ませる。

心に伸し掛かる重たく沈む何かが足運びまで重くする。

のそのそと妻の仏前まで来て項垂れた。

段々と目が冴えてきた。

妻の仏前で黙ってその時を待つ。

時折妻の骨壷の入った白い化粧箱を摩りながら「ムッチぃ」と甘く囁く。

とくとくと涙が流れ鼻を啜る。

静まり返った室内に男の啜り泣く声だけが響き渡る。

気がついて時計を見ると5時3分だった。

特別を期待したが特別は起きなかった。


線香をあげお燐を鳴らす。


「ムッチぃおはよう」

「今日で丁度一ヵ月だよ」

「会いたいなぁ〜会いたいよ」


毎日がとても苦しい。

この生き地獄の様な日々はいつ終わるのだろう。

妻の居ない世界は全てが苦痛でしかないのに無理してでも生きなくてはいけない。

食べても、周りをみても、外の風景を見ても、出掛けても、買い物しても、座っても、立っても全てが苦痛でしかない。


自殺出来るものなら直ぐにでもしたいが妻と同じ世界に行けない気がして踏み出せない。

でも早く死ねたらと毎日毎分思っている。

それまではこの苦痛な世界を生きるしかない。


死に方を模索する様になった。

例えば餓死、暴飲、熱中症なども考えた。

他、自殺をせず上手く死ぬ方法はあるのかなど色々と恐ろしい考えがぐるぐると頭を巡っている。

でもダメなんだ。

自分でも分かっている。

これでは自身を粗末にし自殺と変わらない事を

どんなに苦しくとも生きていくしかない。

自身を労わりつつこの苦痛な世界を生きるしかない。


でもやっぱり苦しいし辛い…

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