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大好きな妻が亡くなった  作者: ゆき


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25日目 妻の写真を探す


7月26日(日)

10数年前から妻は写真に写るのを拒む様になった。

私がスマホを向けると顔を背けたり手で顔を覆ったりして撮らせてはくれなかった。

きっと自分の老いた姿を記録させたくはなかったのだと思う。

若い頃はそれは可愛く美人だった彼女も50を過ぎた頃から老け込んでいき60ではそれなりの老いが顔に出る様になった。

こればかりは本人の意思もあり無理には撮らなかったがそんな自身の遠慮が仇となるとは思わなかった。

今思えば無理にでも撮るべきだった。

子供でも居れば家族写真として記録もあろうものだが子の居ない我々には撮る理由が無かったのだろう。


いや、私がいけないんだ…


10数年前の私は若づくりに没頭していた時期があった。

そんな私を妻は呆れて見ていた頃がある。

自身の写真を撮っては加工し遊んでいた。

考えてみればあの頃から彼女は写真を嫌う様になった気がする。

そんな時期も5年は続かなかったがそれ以降も写真を嫌うのは変わらなかった。

昔から私はバカな奴だった。

自分では無く妻を可愛く撮る努力でもしていればかけがえのない宝物が今もあったのに


今日は昔の写真探しがやっと出来る。

2階の片付けを地道に行い物置が開けられるまで掃除を済ませたからだ。

どれだけ散らかしてたんだと言われそうだが終活する前の私は捨てられない人間だったので物置前は段ボールだらけだった。


早速掃除機も用意して物置を開ける。

思った程山積みでは無かった。

写真を探す。

出し辛い所にあったら嫌だな

と、思っていたらむしろ手前側に昔の写真が入った段ボールを見つけた。

早速中を開けて見ると30数年前の写真がゴロゴロ出てきた。


「あぁ懐かしいなぁ」

「これはモルディブでスキューバやってた頃の写真だ」

「あ、これは新婚旅行のモーリシャスの時の物」

「へーこれはカナダのウィスラーにスキーに行った時のものかな?」

「バイクツーリングの懐かしい奴もある!」


結婚式、むつみと居た会社の慰安旅行、仲間と行ったキャンプ、二人で旅した国内旅行、結納式、むつみが実家から持って来た自身が小さい時のアルバムまで出てきた。

懐かしい何もかもが懐かしい。

全てを思い出し啜り泣きながらページをめくり時折微笑みを浮かべ当時に浸っていた。


この中で妻と私が一緒に写った物をピックアップする。

良く写っている物はネガも引き出した。

相当数集まった。

それらを大きいジグソーパネル後のフレームと一緒に1階に持って行った。


パネルにバランスを見てペタペタと写真を並べる。

20枚近く貼れただろうか、むつみ中心の記念写真がズラリとパネル一杯に並ぶ。

これをむつみ尽くしと言う!


壮観だ…


これを妻の仏前横に飾る。

一杯の妻と私の写真が飾られた。

スゲーなこれ

二人で仲睦まじく写っている物をまじまじと見る。

タイムラインに流れて来た中島みゆきの「時代」を聴きながら再び写真を魅入る。

「あぁいいなー」と言いながらブワッと涙が溢れ涙で写真が霞む

恐れを知らなかった若い二人、とても初々しく未来に夢を持っていたあの頃、むつみと一緒に一杯旅をした。

私が天界に行ったらまた一緒に旅に出ようね


ネガの分は写真屋に行って拡大焼き回ししてもらおう。

今日は妻に自慢出来る作業が出来たと思う。

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