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大好きな妻が亡くなった  作者: ゆき


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22日目 誰かの声を聞きたい


7月23日(木)

午前5時頃

暑い…早朝だと言うのに既に暑い。

気温が低いのに湿度が異常に高いのだ。

汗をかきタオルケットが少し湿っている。

Tシャツも凄い濡れていた。

昨日、気温が低いからとクーラーを掛けずに寝たのが裏目に出た。

少し脱水症状を起こしている。

今日は珍しく糖尿病による足攣りで足が痛む。

他の糖尿病患者は知らないが私の場合、脱水症状を放置すると足がこむら返りを起こす。

生前妻に「〇〇ち(私の字名)、ちゃんと水分取ったの、飲んで無いなら早く飲んで!」とよく叱られたものだ。

幸にも攣りはそれ程でもなかった。


まだ明け切らぬベランダにタオルケットと掛け布団を干す。

干している私は既に汗だくになっている。

着替えて1階に避難しクーラーを点ける。


午前6時頃

今日は燃えないゴミの日、いつもの様にゴミをまとめゴミ置き場に持っていく。


午前9時頃

妻の案件で平日は何通かの書類が届く。

書類の不備の整理やこれらを送ってほしいとかこれが足りないので手配してもらいたい等、記入する物から添付書類の要求が次々来る。

当然分からない事ばかりなので電話も掛けまくる。

これらを一編にやるのだからとても目紛しい。

毎日の様に市役所と郵便局に通い詰めですっかり職員に顔を覚えられてしまった。

ちょっと恥ずかしい。


この時間は昨日来た書類の封を開ける所から始まる。

送る書類、書き込む書類とあり先ずは読んで確認する。

直ぐ対処出来る物は記入し封筒に入れるが、今日は直ぐに終わりそうな物は無い様だ。

読み終わると郵便局に行くので着替えをする。

車に乗り込み郵便局へ向かった。


午前10時頃

郵便局に到着。

妻が亡くなった事を報告し、通帳の凍結と他にゆうちょで妻が扱っている物が無いかの捜索を依頼した。

今日は珍しく妻が亡くなった話しをしても泣かなかった。

勿論、話しているうちに物凄く落ち込み沈んだ気持ちになり私の顔は能面だったに違いない。

そんな私に優しく対応してくれた局員さん、ありがとうございました。

これが済めば書類が山の様に来るのかな


やる事はまだ膨大にありそうだ。


さて、家に帰ろう。


昼頃

雲は多かったが晴れていたので油断していた。

霧雨が降り始める。


「やばい、狐の嫁入りだ!」


急いで2階に駆け上がる。

ベランダを開けるとパラパラと降っていた。

布団が濡れちゃう。

急いで取り込んだがせっかく干したのにちょっとだけ湿ってしまった。


「せっかく干したのに…」


仕方なく2階の洋室にある椅子に暫く掛ける感じで干す事にした。


ふと妻の化粧台に目をやると無造作に積まれた埃まみれの袋の下にA4サイズのケースがある事に気づいた。

袋をどかすとケースの中が確認出来た。

書類がごっちゃり入っている。

こんな所にも書類があったのか、中身を確認すると重要書類が出てきた。


「えっ、なんでこれがココに?」


妻に関すると言うよりそれとはまた違った大事な物の様だ。

マジか…

こんな所に置いていたら普通捨てそうになるが、これって妻の戦術か?

だが他の書類はどうでも良い物ばかりだった。

んー分からん。


伴侶(家族)が急に亡くなるとイレギュラーな事が立て続けに起きる。

先日もゴミ屑の様な紙がとても大事な物だった事もあり、例え他愛もない雑誌でも良く確認しないと捨てられない。


ムッチぃ頼むから夢枕に出て色々教えてくれるかな…マジ頼むよ


午後6時過ぎ

今日も一杯動いたな

ソファーにドカッと座る。

途端に部屋の静けさが襲って来る。

部屋は冷蔵庫のモーター音しか聞こえない。

たまに聞こえるのは上空を飛ぶ飛行機の音。

家の前は夜になると人もあまり通らず車もそれ程走らない。

私の耳は少し難聴気味でずっと耳鳴りがしていてその耳鳴りがキーンと響く。

生前の妻はこの時間2階で読書をしているので状況はあまり変わらないが、それでも物凄い孤独を感じる。

その2階に居るはずの妻の気配が感じられず無性に恋しくなる。


寂しいよ…


メール、LINE、電話履歴をチェックするも誰からの連絡も無く物凄い孤独感が襲って来る。

こう言う時に限って動画配信は見る気分になれず音楽も聴きたくはない。



「ムッチぃ寂しいよ〜会いたいよ〜」



胸が締め付けられ涙が溢れる。

ほんと寂しい…静けさが辛い。


誰かの声を聞きたい。

最近は兄夫婦に電話ばかりして何となく嫌がられていないか心配になっている。

自分でもつまらん理由で電話しているなーと思う事があるし、大層な理由まで見つけてきて話すまではいいが迷惑掛けている気がして物凄い嫌悪感に襲われる。

無論友達にも同じ事が言える。

なので迷惑掛けまいと必死に自分を抑えるがやっぱり辛い…

孤独に押し潰されそうな自分がいる。

ほんとマジで辛い誰か助けてほしい。

誰かの声を聞きたい。

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