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【D. 祈りから心へ】
リリアナは胸に時刻表の書を抱き、そっと目を閉じた。
夜の名残を帯びた風が頬を撫でる。
焼け跡に残る煤の匂いの中で、彼女の声が静かに響いた。
「祈るだけじゃ、届かない。
でも、信じて走れば……必ず、誰かに繋がる。
それが――私たちの鉄道信仰。」
その言葉は、祈りではなく宣言だった。
彼女の中で“鉄道”は、もはや神への道ではない。
人が自分の足で、心で、未来へと線を描く――その象徴。
悠真は何も言わず、破れた制服の裾を直し、帽子を深く被り直す。
その横顔には、どこか穏やかな笑みがあった。
「……走れ。止まるな。それが鉄道だ。」
朝日が昇る。
四人の影が長く地面に伸び、その先で光のレールと重なり合う。
まるで、彼ら自身が“新しい線路”の一部になったかのように――。
リリアナは静かに歩き出す。
その一歩ごとに、淡い光が地を這い、次のレールを描いていく。
祈りは終わり、心が走り出す。
それが、彼女たちが選んだ“鉄道信仰”の最終形だった。




