【E. 光の走行】
――列車が、空を駆けていた。
封鎖線を越えた瞬間、レールは途切れた。
だが、機関は止まらなかった。
大地の終わりを越え、空の果てに新しい線が走る。
車輪が鳴らす音は、もう鉄ではなく“光”そのものだった。
列車「リヴァイアライン号」は、夜空を泳ぐ龍のように昇っていく。
重力を拒み、秩序を捨て、ただ“想い”の力で進み続ける。
その軌跡が、星々を結ぶ**新たな軌道**を描いていった。
リリアナは車窓に手を添え、遠く下界を見下ろす。
そこには、信仰に縛られたかつての国土――
けれど今、その闇の上に無数の小さな光が瞬いていた。
燃えた切符の粒、祈りの残滓、そして“心”の残響。
リリアナ「……先生。線路は、まだ終わっていませんね。」
悠真「ああ。終点なんて、最初から存在しねえよ。」
悠真の声は、低く、それでいて確かな熱を帯びていた。
その言葉に、リリアナの胸の中で何かがほどける。
涙が零れ、頬を伝う。だがそれは悲しみではない。
“繋がっている”という確信の涙。
クラリスが立ち上がり、両手で操舵笛を掲げる。
風を切る音――
そして、笛の澄んだ音色が夜空に響く。
その瞬間、列車の進む先に光のレールが生まれる。
一本、また一本。
まるで世界が、新しい道を望んでいるかのように。
列車は走る。
信仰の終着を越え、自由の黎明へと――。
その走行音は、やがて夜を破り、未来という名の地平線へ溶けていった。




