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第15話 対立の本質 ― 信仰か自由か 【A. 夜の廃駅にて】
月明かりが、途絶えた線路を銀色に照らしていた。
「アルカ・セントラ廃駅」――かつて“希望支線”の始発点と呼ばれた場所。
今はただ、風に削られた標識と、崩れかけた時刻表だけが過去を語っている。
リリアナは、壊れたホームをそっと踏みしめた。靴底が粉塵を散らし、舞い上がった灰が月光に溶ける。
その背後で、悠真が無言のまま線路を見つめていた。
「……ここも、もう誰も来ない“終着駅”か。」
低くつぶやく声が、静寂の中で響く。
リリアナは微笑を浮かべ、首を横に振った。
「でも、終わりの場所って、本当は“始まり”の匂いがするんです。」
その言葉に、悠真の瞳がわずかに揺れた。
風が吹く。レールが、かすかに鳴いた。まるで遠い昔、列車が通り過ぎた余韻のように。
――その時だった。
遠く、夜の地平線が震えた。
低く、重たい音。地を這うような機関の残響。
悠真は振り返り、拳を握る。
「来たか……。あいつだな。」
闇の向こうで、赤い灯が点った。
軍列車。
秩序の名を掲げた“鉄の獣”が、ゆっくりと、この廃駅に向かって進んでくる――。




