第13話 議会聴聞 ― 封じられたレール【シーン1:会見の開幕】
議会庁舎。
白大理石の壁に、黒鉄の国章が鎮座していた。
荘厳な空間を切り裂くように、数百台の報道カメラが一斉に光を放つ。
閃光の群れの中心――壇上に立つ一人の男。
彼の名は、グランベル・カーディス。
国家交通庁長官にして、現鉄道体制の最高権力者。
漆黒の軍服に金糸の飾緒をまとい、冷徹な双眸で会場を見渡す。
マイクの前に立つその姿は、まるで“鉄そのもの”のようだった。
硬く、冷たく、そして――決して曲がらない。
グランベル「……我が国は、もはや“鉄路の暴走”を許すことはできない。」
低く響く声が、広間の空気を一瞬で支配した。
報道陣が息を呑む。ペン先が震える。
グランベル「鉄道は国家の道であり――人の信仰ではない。
秩序なき“心の列車”は、やがて国を壊す。
よって本日をもって、すべての新設・延長を禁ずる。」
――その瞬間。
会場に、まるで刃が振り下ろされたかのような沈黙が走った。
ざわめきが広がる。
記者たちがざっと顔を見合わせ、カメラの赤いランプが次々と点滅する。
だが、壇上の男は一切の反応を見せない。
ただ一枚の書類を掲げ、淡々と宣言を続けた。
グランベル「鉄路は国家が敷き、国家が走らせる。
民の手に渡った瞬間、それは“秩序の崩壊”だ。」
彼の言葉は、議会ホールの高天井に反響し、
やがて重々しく響き渡った――まるで“鉄の鐘”のように。
カメラのフラッシュが再び光る。
その光の中、男の影だけが鋭く伸び、壁に巨大なシルエットを描いた。
語り(ナレーション)
「この日――“鉄道封鎖令”が発令された。
それは、国家が人の“心の道”を奪った朝。
だが同時に、反逆のレールが密かに軋み始めた瞬間でもあった。」




