表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界鉄道ゆる建設記 ~鉄道マニア、線路で世界をつなぐ~』  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
56/94

2. 教えの結実 ― “信仰から心へ”

――月下の校庭を、二人の足音だけが静かに刻んでいく。


祭りの余韻を吸い込んだ夜の空気は、どこか温かかった。

遠くの観覧塔が風に軋み、レールの上を月の光がゆっくりと滑っていく。


悠真とリリアナは並んで歩いていた。

言葉を交わさずとも、互いに思い浮かべている光景は同じだった。


クラリスが吹いた呪笛が、雨雲を裂いて青空を呼んだあの日。

アルノが“過去行き切符”を破り捨て、“未来行き”を印刷した瞬間。

そして――弁当部が、笑顔を運ぶ列車で学園の心を動かしたあの光景。


ひとつひとつが、線路の継ぎ目のように彼らの記憶を繋いでいく。


リリアナが、そっと笛を見つめながら言った。


「かつてこの国では、“鉄道は神の造りし道”と教えられました。

  けれど今は――“人が想いで造る道”になりつつある。」


悠真は小さく笑い、月を仰ぐ。


「信仰じゃなく、心で走る鉄道か。……いいじゃないか、それ。」


リリアナは一歩だけ彼に近づき、ゆっくりと頷いた。

夜風に髪が揺れ、笛の飾り紐が月光を受けて微かに光る。


「あなたが教えた“約束”が、彼らの中で生きています。

  だから、もう導く必要はありません。」


悠真は答えず、ただ線路を見下ろした。

そこには、祭りで走った列車の車輪跡がまだ柔らかく残っている。


――“導く”ことを終え、“託す”時が来たのだ。


夜は静かに、その言葉を包み込んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ