表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界鉄道ゆる建設記 ~鉄道マニア、線路で世界をつなぐ~』  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/94

3. 初授業:線路哲学入門

朝の鐘が鳴り、アカデミー・オブ・レール第一講義室。

窓から差し込む陽光が黒板を照らし、生徒たちの笛が小さく揺れた。


悠真はゆっくりとチョークを走らせる。

――キィ、と乾いた音。

黒板に、力強い筆跡で一行が刻まれた。


「鉄道=約束」


その瞬間、教室がざわめく。

「約束?」「祈りじゃないの?」「神鉄の教義と違う……!」

まるで小さな脱線事故のように、あちこちで混乱の声が上がった。


悠真は振り返り、静かに言う。


「鉄道は祈りじゃない。『約束』だ。

人を、時間を、夢を――正確に結ぶための道だ。」


その声は、黒板の白い線を通して、生徒たちの胸へまっすぐ届いた。


祈りが“届くかどうか”を天に委ねるものなら、

約束は“必ず届かせる”と自らに誓うもの。


リリアナが一歩前へ出て、穏やかに補足した。


「“正確”であることは、すなわち“信頼”を作ること。

この学園の理念、“心の定時運行”です。」


静寂。

それはほんの一瞬のことだった。

生徒たちの表情に、わずかな理解と、芽吹くような熱が宿る。


――そして。


ピィィィィィィィ……!


雷鳴。

次の瞬間、教室の窓の外で空が真っ黒になった。


悠真「笛は鳴らすなって言ったろ!?」

クラリス「す、すみません先生!感情が高ぶると音が出ちゃうんです!」

リリアナ「……才能の無駄遣いです。」


稲妻が空を裂き、黒板に刻まれた「約束」の文字が一瞬だけ輝いた。


混乱の中、トマスの印刷機が誤作動して「今日の日付」を十枚印刷。

ニルの模型が暴走し、机の上を駆け抜ける。

弁当部が非常食を配りはじめる。


――それでも、悠真は笑っていた。


「……よし。これが最初の“出発”だな。」


その声に、生徒たちは思わず姿勢を正す。

リリアナの瞳が優しく細められた。


リリアナ「授業、進行。希望支線、学園発。」


遠くで雷鳴が再び轟く。

だがそれはまるで、汽笛のように――力強く、未来を告げる音だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ