4. 首都郊外への道中(車内の対話)
ギルド本部が手配した専用列車――深紅の装甲車両〈クレストライン〉が、静かに滑るように走っていた。
魔導推進炉の低い唸りが車体を包み、窓の外には、かつて悠真が夢見た“鉄道都市”の姿が広がっていた。
複数のレールが宙を舞うように交差し、空中線路を走る列車が、まるで星々のように光を放つ。
巨大な魔導信号塔が周期的に光を瞬かせ、地上からは整備士たちが祈るように鉄を磨いている。
それは――文明と信仰が混ざり合った、幻想の鉄の都。
悠真「……すげえ。まるでレールが生きてるみたいだ。」
息を呑む悠真の横顔を見ながら、リリアナはわずかに瞳を伏せた。
リリアナ「ここが、“鉄道信仰”の中心です。
ですが……実のところ、信仰の力だけで維持されているのが現状です。」
悠真「……なるほど。神頼みのメンテナンスってやつか。」
リリアナ「否定できません。儀式を止めた路線は、すぐに停止する。
“走る意味”が信仰でしか語られないのです。」
悠真は腕を組み、窓越しに無数のレールを見つめた。
悠真「なら――今度は技術で支える番だな。」
風が唸り、列車の影が鉄道都市の屋根を渡っていく。
祈りではなく、理によって動く鉄路。
彼の言葉は、その未来の始発のように響いた。
リリアナはわずかに微笑む。
リリアナ「“理の鉄道”……。いい響きですね。
あなたが教えるのは、きっとその在り方でしょう。」
悠真「信仰の鉄道から、理の鉄道へ――か。
うん、なんか章タイトルっぽいな。」
二人の笑い声が、列車のリズムに溶けていった。
遠く、都市中央の巨大なレールアーチが光を放ち、
そこに――〈アカデミー・オブ・レール〉の校章が見え始める。




