3. 出発準備と小さな別れ
朝靄の中、希望支線のホームには、いつになく人が集まっていた。
ルミナ号のボイラーが低く唸り、淡い蒸気が空へ昇る。
今日は――“旅立ちの日”。
悠真とリリアナがアカデミー・オブ・レールへ向かうという報せに、村中が見送りに来ていた。
子どもたちは折り紙で作った車掌笛を吹き、列になってホームを駆け回る。
「せんせー、いってらっしゃーい!」
音が風に混じって響き、まるで小さな発車ベルのようだった。
村長「線路の先でも、皆の誇りを敷いてください。
あなたのレールは、この村の希望でしたからな。」
悠真は照れくさそうに頭をかく。
悠真「線路を教える仕事か……。作るより難しそうだな。」
リリアナは微笑みながら、手袋をはめ直した。
リリアナ「教育というのは、“未来を敷く”行為です。
あなた、きっと得意ですよ。」
悠真「未来を敷く、ね……。なんか線路っぽい言い回しだな。」
リリアナ「ふふ。鉄の比喩は、もう私の口癖です。」
汽笛が小さく鳴り、ルミナ号の車輪が回り出す。
悠真は運転席に立ち、子どもたちに手を振った。
リリアナも隣で帽子を押さえ、礼儀正しく一礼する。
朝の光の中、銀のレールがまっすぐに延びていく。
村の笑顔と風の音を背に――二人を乗せた列車は、ゆっくりと未来へ走り出した。
その汽笛は、どこか誇らしげに響いていた。




