2. 招待状の到着
昼下がりの駅舎に、カサカサと羽音が降りてきた。
空を切り裂くように舞い降りたのは、一羽の郵便魔導鳩。
翼の根元に金色の筒をくくりつけ、まるで使命を果たすかのように、悠真の前にポトリとそれを落とした。
悠真「……また修理依頼か? 最近、線路に“祈祷の彫刻”刻む人多いんだよな……」
リリアナ「違います。これはギルド本部の印章です。」
リリアナが手袋を整え、筒の封を慎重に解く。
赤い封蝋には“車輪と翼”――鉄道ギルドの紋章。
空気が、少しだけ張り詰めた。
彼女は背筋を伸ばし、荘厳に文面を読み上げる。
『アカデミー・オブ・レール――新設学園にて、技師・講師としての任を拝命す。
希望支線建設主任・悠真殿、並びに補佐官・リリアナ殿へ。』
悠真はしばらく固まった。
その横顔を、リリアナがちらりと見つめる。
悠真「……講師? 俺、教育免許とか無いけど?」
リリアナ「“実務経歴三ヶ月以上”が条件らしいですよ。つまり、あなたの線路が教科書ってことです。」
悠真「……つまり、“希望支線の現場”が講義内容になるってことか。」
リリアナ「そう。あなたが敷いたレールが、未来の授業になるんです。」
その言葉に、悠真は思わず線路の方を見やった。
陽光を反射する銀の帯が、村の外れまでまっすぐに伸びている。
あの線の向こうに、今度は“教えるための線路”が続くのだろう。
悠真「……なるほど。次の目的地は、“教室”か。」
リリアナは少し微笑み、帽子のつばを押さえた。
リリアナ「ええ。鉄道は、人の心を運ぶ道――その原点を教える場所です。」
二人の足元で、風が線路を渡り、鳩の羽が舞い上がる。
それはまるで、新しい旅路の切符が切られた合図のようだった。
――“アカデミー・オブ・レール”。
そこで、また新たな“鉄の物語”が始まろうとしていた。




